2
帰宅して準備を進めて居ると、ケールハイトにサプリメントの事を話題に出される。
「例のサプリメントですが、含まれる栄養価過剰の結果、致死量超えの毒物化とはアレですよね。……事情を知らない人から見たら薬物でブーストして能力を使って居る様に見えるので、敵が何らかの手段でサプリメントを奪って飲んで自滅しそうなのが割と酷いです」
「奪われたら痛い事は痛いが、体内の栄養価を対価に消費する能力持ち以外が服用したら死ぬレベルの毒物って奴は、まあ、防犯的には良いよね」
「えげつないですよ」
「対毒物能力持って居ても判定が面倒そう。実際、カフェインとかの通常服用する量だと毒物とは成らない系も毒物に成るから、そう言うのまで弾く毒物除去能力は割と食える物は少なそうだ」
「本当アレですよ……」
「なんか返しが雑に成って無い? ……まあ、良いか。致死量云々が創作では昔からそう言う食事の簡略化アイテムが有っても一般的には実用化されない理由だろうし、しょうが無いだろうさ」
「色々と出来る、但しやるための対価が重いので、別手段で補いますって言う発想は普通ですが、説明を聞いても本当になんで出来るのか、ですよね」
「やって居る事自体は明確な科学だけど、それを自前でやるための技量はファンタジー染みている感じでは有るから、客観視した時のその感想は多分正しい。一つ一つのやって居る事自体は根拠の無い空想と言うには列記とした根拠が有るからアレだけどな」
「本来、重力場の根拠の原子核の大量生成が人体機能だけで出来ますとか寝言は寝て言えレベルだと思いますけどね」
「それを言及するとよく言われるけど、人体に含まれる物質を大量生成しているだけだから、能力としては別に逸脱はしていないけどね。それは只の人体に於ける体重の根拠の物質なのだし」
「人体機能で出来る事を自由に出来る能力……と言うか、人体機能で行われている事を分解して、精査して、通常より自由に行う能力……ですよね。魔法や能力無しだと絶対無理でしょうと言うレベルの物をやっていますし」
「そうだな。だから起きている現象自体は只の科学で再現性が有る物だ。理論上は科学で再現可能なだけで、能力無しに科学でやる方法は知らんがね」
「それ科学で出来るとかドヤ顔出来る内容ですかね?」
「やり方が特殊なだけでやって居る事自体は魔法や異能の絡まない明確な通常の物理だからね。理論上現実でも出来はするはず。同じ形で出来るかは知らんがね」
「と言うか要は詰め込み過ぎて致死量に引っ掛かるレベルの物がアウトなだけで、一食分くらいの奴ならもう何種類か有る気がしますが」
「……そりゃそうだが、ある程度以上盛った奴は致死量に引っ掛かるから無理って事は変わらん」
「まあ、そうですね。後、生物が一度に取り込めるカロリー上限等も有ります。もっとも消化器官の性能次第なので、個人差が有りますし、創作で盛りに盛ったカロリーのアイテムを食べたので暫く何も食べなくて大丈夫と言うのは……ま、まあ、消化器官の性能がとてつもなく高いと言う事だと思います」
「それで良いのだろうけど、消化器官の性能が高いから大丈夫なパターンはそいつの体の燃費がとてつもなく悪そうだけど……」
「ご都合アイテムなのでご都合な解決策でも有るのでは?」
「うーん、リスの頬袋みたいな器官が有れば色々と制限無視出来そうなのだが」
「例えとしてはエネルギー=酒、なら、貯めたら酔いが酷く成る気もしますけど」
「ならエネルギーを酒と言え無い状態にしてしまえば良く無い? ……と、思ったが、エネルギー=酒の構図がそのままならそうしたらエネルギーとして成立し無くなりそうだな」
「ふふ、その言い方だとアルコール=エネルギーの方が良い気がしますね。加熱したら酒から抜けますから」
「うわぁ……、まあ話はこれくらいにしとくか、色々と準備しよう。えーと、まず……」
そして明日の為の準備を行い、翌日、ルド様側からペンタクルさんに連絡を入れて貰い、ルド様の立ち会いの元、再び話し合いを始める事にした。
「まず、最初に言うと、基本的に見た目の変更のベースはナノマシンに依る光学迷彩がベースの技術です。光学迷彩で見せる映像をパターン化して、自分の行動に併せてAIと連携させ、見た目のそれを自分の動きに併せて動かす物です。故に実現に必要なデータは膨大な物に成ります」
「……つまり一つ一つの別の見た目毎にデータが個別に大量に必要って事か?」
「はい。故に見た目のオーダーメイドはかなり値が張る状態に成らざるを獲ませんし、ある程度以上オーダーメイドの値段を下げたら大赤字にしか成りません」
「オーダーメイドの見た目の値段はコピペの見た目の相場の千倍が相場でも、実情的にはぼったくりではないのか……」
コピペの見た目の相場が仮に一万円だとしても、相場は一千万円に成るが、……聞いただけで必要なデータが多過ぎるのが解るのでアレだな……。
「一応モーションキャプチャに事前にお客様の取り得る行動全てを記録し、それを基盤に3Dモデルを組む……とすれば簡単じゃ無いか、と言うお客様もいらっしゃるのです」
「え? 実際はぼったくりと言う事か?」
「いえ、先に話した理屈の前提のAIに登録されていない動きをした場合、ナノマシンに依る擬似的な皮を不自然に動かす事に成るので、見た目上の腕が膨張する等の動きが発生する等の事が起きかねず、それを極力起こさない様にするには、それはもう徹底的に大量のデータが必要です。そのデータ取りの手間賃も含むのです」
うーん? だがそれなら、
「なら、自分の行動を縛って行動するなら、値段を抑えられるって事か?」
「そうですね。そのタイプの注文は、イベントで限定的に運用するパターンのお客様にたまにされますね」
「……ふむ。常時使用をしたい場合に不足分を徹底的に無くしたいなら値が張る、か」
其処にルド様が話に割入って来る。
「こらこら、詐欺は良くないな。先に挙げた問題点なら、映像投影用の固形なスーツを着て、それを基準にする事で何とか出来るだろ?」
「……確かにそれで何とか出来る部分も有りますが、それだと小柄な人を造りにくく成ります」
「映像投影をして別の見た目に見せているだけならそもそも最初より小さくは成らないだろう」
「映像投影形式だけだと確かに無理ですが、透明化、つまり光学迷彩形式を組み合わせば限定的には出来ます。光学迷彩で身体を消した後の見せる映像に見せたい映像投影を追加すれば良いのです。……日常的に使用するのは本来より小さくした分だけ雑踏で人にぶつかりやすく成りますので不便ですが……」
「それ、戦闘だと当たり判定詐欺が出来そうだな。是非造ってくれ」
「戦闘時にも不自然感が無く運用するのは敵側の行動が限定出来ない以上は無理が有るので、戦闘状態にも耐えうる見た目を造れと言われても限界が有りますし、シンプルに不可視にするだけの運用が無難かと……」
「……ふむ、ならそれで良いから後で大量注文させて貰うよ」
「ご注文どうもありがとうございます。……と、前提の話はこれくらいにして、水霧様の提示する物はグラフィックデザインの前提に成るモデルの提供、ですよね?」
ルド様との話を切り上げてペンタクルさんが話を戻して来た。
「ああ、そうなる」
「それが有ればデータ取りがかなり簡略化されるので、低コストでの提供が可能に成ります。提供の対価として私共からすれば一モデルに付き百万円は払えますね」
「……それは冗談ではなく、真面目に?」
「大真面目に、です」
今と成っては片手間で造れる物一つで百万円か……。まあ、相手側はそれを払っても儲けはかなり出るのだが……。
「なら最後に条件として、技術周りを追加で更に教えて貰いたい」
「今の説明以上に求めるのですか?」
「現状じゃ此方の出来る事に依る売り込みが通っただけだからな」
「……ふむ、言いたい事は解りますが、説明した所でそれは水霧様に要る技術でしょうか?」
「俺が使いたい部分は見た目を変更するナノマシンのAI制御のプログラミング周り側だから」
「ああ、其方ですか……それは無理ですね。会社として防犯用の技術にも使って居ますので、お教え出来ません」
「……なら俺が持ち寄るナノマシンに適宜プログラミングをしてくれ。対価は適宜払おう」
「それなら良いですよ。良い関係が結べそうですね」
さて、交渉で得たものとしては悪くはない、かな。最善では無いが、悪くはないだろう。
「さて、じゃあ最初にこれを見て欲しい」
そして俺は懐からある程度の数のナノマシンが入って居る容器を取り出し、見せる。
「はい、これにプログラミングをすれば良いのですね? それでどう言う物がお望みで?」
「戦闘用に使う奴だから空間上に展開する上での操作を楽にする奴を沢山盛って欲しい」
「成程、沢山ナノマシンを空間上に展開したいが扱い切れないので、操作を簡略化する物、例えば一律操作等をプログラミングして欲しいと」
「それが出来るなら是非頼む」
「何個ぐらい制御出来れば良いでしょうか?」
「出来るだけ多く頼む」
「ではそうですね……八百個程を一律制御出来れば良いでしょうか?」
「思って居たより多いな」
「光学迷彩を空中にスクリーンを出す事に使わせてくれと言う注文も有りますので、これでも数としては抑え目ですけどね」
「成程、そう言う需要も有る訳だ……じゃあ八百個を頼む」
「承知しました。後でまたナノマシンを持って来て下さいね。見せられたナノマシンだと流石に八百個は無いので」
其処でルド様が無からいきなりナノマシンを大量に生成して渡して来た。
「ならこれを使え。水霧が持つのと同型だからプログラミングを流用出来るはずだ」
「はい、承りました。……まあ、正直な話、私としてはその対生成の創造の理屈を事細かに解明させて欲しいのですがね……」
「理屈としては塵埃や砂利とかに光を当てて対生成した物をプラモデル的に組み立てただけだ」
「対生成ってそんなに問答無用で出来る物じゃ無いのですが……」
「原理自体は科学説明が付く物だが、即座に何が対象でも出来る様にする手間の省略と言う意味では魔法だな。この世界の物なら大抵の物は創れるし」
「異世界の物なら作れないかと言われると違うくせに良く言いますよね……」
「いやはや別の世界と成ると俺が雑魚の世界も有るのじゃ無いか? まあ、そう言う世界の奴は基本的には一律此方の世界だと雑魚なのだが」
「そうと決まって居る訳でも無いのでは?」
「此方の世界での強い奴が雑魚程度の扱いに成る世界の基準の世界の奴が事前情報も無しに脈略も無く此方の世界と同じ尺度の強さもある程度以上持つとしたら、一律で奇人変人の類いだろう。何故なら相手側の世界だと積み上げても無駄な強さを積み上げている連中だからな」
「カードゲームで強さ度外視なファンデッキを使うくらいやる人はある程度居ると思いますが」
「居はするだろうが、もれなく全員がやる様な事では無いだろ?」
「まあ、それはそうですね……」
……同じ基準で単純に相手側が強いパターンは無視か?とも思ったが、基準を何でも有りルールと同じにしない為に理屈をちゃんと捏ねくり回しているのだろーな、と。そうでも無いと世界中の奴が創造主的な世界が敵なパターンもそのまま対処し無いと駄目だし……。
「ゲーム世界で良くある戦闘力の数値化だが、遥か上の数値の奴を倒せる例を提示出来ないなら、後出しジャンケンのメタ創作的にはその世界の奴全てより強い奴を造るのは簡単だぞ。数値が高ければ高い程良いならその作品で提示されている全ての数値より遥かに高い数値の存在を出せば良いだけだからな」
「……それは身も蓋もないのでは?」
「敵が忖度してくれるとでも?」
「ははは……」
「俺はそう言うメタ視点的な意味でゲーム的な世界と言うのは好きじゃ無い。……ゲーム的な世界に利点が無い訳じゃ無いからやる奴が居るし、止めないけど」
「話を戻して宜しいですか?」
「ああ、すまん、どうぞ」
「では、少し待って居てください。今後造る用の大まかなヴィジュアルのリストを持ってきます。水霧様にはそれを造って頂ければと思います」
「そう言う奴は企業秘密なのじゃ無いのか?」
「なら、契約書、書きましょうか。ルド様、頼めますか?」
「ああ、良いぞ。……正直互いに約束事を破った時の損害が酷いから余りそう言う事は要らない気もするが、要るよな。じゃあこれでどうだ?」
そしてルド様は四枚の契約書を生成して渡してきた。二枚は控え用のか……対生成の精度が可笑しいが突っ込まない事にして契約書の内容に目を通す。……悪くは無い、かな。互いに手にして欲しい事が有るから、契約不履行は互いに早々にはし無いだろうし、これくらいなら、ね。
「二枚サインしましたので片方お渡ししますね」
「おう、解った此方も書いたから渡すよ」
「確認しましたので、持ってきます、少々お待ちを」
そしてペンタクルさんはグラフィックデザインリストを取りに行ったので、ルド様に話しかける事にする。
「ルド様、ぶっちゃけると、俺がやって居る事出来ますよね?」
「まあ、出来るが、それはどうでも良いだろう」
「別の見た目に成れる科学技術……但し実現に必要なデータが膨大なので、ローコスト化や一般普及は難しい。……夢の様な技術では有るのですが、運用のハードルが高いですよね」
「まあ、テンプレートを使わせて貰うだけなら安く済むから、それで満足するべきか」
「……ゲームのキャラの見た目に成れるとか企業のイベントや広報面で需要は有るでしょうし、殿様商売でも十分客は来るでしょうしね」
……現実で常時本来の自分とは全く違う独自の見た目で違和感無く生活する……の、コスト面でのハードルが高すぎる……。それに戦闘とかやって攻撃くらうと破綻し易いしね。其処にペンタクルさんが来てリストを見せて貰い、早速作業に取りかかった所で、ルド様が頭を抱え、言う。
「こりゃあかんな。ちょっとヤバイ奴が来た」
「なにですか、いきなり……ってなんか暑く成って来ましたね……暑いのが何か問題ですか?」
「いや、しょうが無いから地脈龍を動かすか……」
「説明をしてください」
「まあ、少し待て」
するといきなり大地震……いや、大規模地殻変動、か? が起き始めた。
「ちょっ、ルド様がやったのですか? これは」
「俺が命じたが、俺がじゃ無い。後これは必要だからだ。其処の窓から空を見上げて視ろ。光源が空に太陽以外に浮かんでいるだろ」
言われて空を見ると月と太陽以外に何時もは無い恒星がもう一つ有り、それは徐々に大きく成っている。つまり……。
「熱源みたいな星がこの星にぶつかりに来ている、と?」
「ああ、そうだ。だからこの星を動かし、避ける事にした」
「は?何をおかしな事を……」
「星=地脈龍と言うだけ」
「……単に星サイズの生物だから変形と場所の移動が可能、だと?」
「ああ、そうだ」
「……この星の地上に居る奴全員が地脈龍の射程圏じゃ無いですか」
「彼方さんの方が星のサイズが桁外れに大きいが」
「何で近くに来るまで気付かなかったのですか?」
「多分能力の生成物だから」
「……は? 即座の星サイズの生成、ですか?」
「彼方を見ろ、面白い物が見られるぞ」
言われ再び空を見る。……先に有ったはずの月が無くなった、……と、空が暗く成り、満点の星空である。さらに月が地面に墜落している。
「……は? いや、は?」
「月も必要だから引っ張ってこらせて、ついでにオゾン層も上乗せした。太陽から一時的に離れているから暗く成った」
「もう、何がなんだか」
「……この話は星と生物が当たりそうに成ったので、生物側が大移動しただけだよ」
「遠心力とか重力とか慣性の法則とかガン無視ですか?」
「星=地脈龍なのに星として何ら不都合無い時点でそう言うのは全部地脈龍の能力で補えるよ」
「……思考を放棄して良いですかね?」
「要は生物が大移動しただけでそんな事を言われるとは」
「……ははっ、地球より大きい恒星を生成して星にぶつけて来る奴が敵って言うヤバイ状態なはずなのに、応手で恒星の光が禄に届かない位置まで星を移動させる……何て言うか、滅茶苦茶ですね……」
「敵はともかく、巨大生物がダッシュで移動しただけ、みたいな物だが」
「……それより、敵から追撃が来るのじゃ無いですか?」
「どうだろうな。恒星生成能力って簡単に言うがね。……そんなの有るなら小型のそれ造れば大規模なソーラー発電とか楽勝だし、ある程度の技術さえ有れば電力周りで困る訳が無い。だから戦争だとしても余所の資源狙いで振るわれる類いの能力じゃ無いぞ。何が目的なのか」
「では実際は恒星生成能力ではないのでは?」
「……膨大に可燃性ガスを生成して、火を付けただけの天然ガス生成能力って事か?……それはそれで使い道凄く有るのだが……」
「そう言えば電力or天然ガス利用で補える物以外目的なら資源狙いも有り得るのでは?」
「此方がどうにかする前提でも無きゃ侵略対象の星に恒星を叩き付けるとか星ごと燃え尽きるし、資源狙いとかならアホかと……」
「なら、やる気は無かった事故とか?」
「それだと、能力の大規模暴発or可燃性ガスの超大量展開+引火のどちらかはやらかしている訳だが……処されても文句言えなく無いか?」
「……ははは……本当、何なのですかね……」
前者の場合能力の封印対応か、銀河外レベルに遙か彼方への追放対応がベターだし、後者の場合、引火が事故だとしても、天然ガスの大量展開は故意だろうし……。
「ちょっと様子見て来るよ」
「え? 此処は太陽光がまともに届かないレベルに元の場所から離れた場所なはずですが?」
「とは言え地脈龍なら瞬間的に移動可能な範囲の場所だし、太陽光が届かないと言うのが銀河外に出る事だけで可能かと言われると違う。地球より大きな星の裏に移動するのでも良いし」
「……ま、まあ、そうですね。……どちらにせよかなり長距離移動をしていますが」
「それじゃ行って来る」
そしてルド様がいきなり高速で移動したのかいきなり掻き消えた。
「……ペンタクルさん、……ルド様の動き、見えました?」
「……いえ、只、もしかしたら転移系かも知れませんね」
「ああ、そう言えば、転移系も有り得るのか……」
……地脈龍が星サイズの生物だとして、ルド様に言われたから動いたなら、ルド様に従って居ると言う事なので色々とアレな訳だが……そして十分くらい経った頃、ルド様は戻って来て、言う。
「ははは、余所者の能力暴走パターンだってさ」
「えぇ……それでどうしたのですか?」
「能力封印処置+封印が解けたり能力を使用したりしたら解る様に処理した」
「……実際は暴走パターンじゃ無いのに暴走パターンと主張しているパターンだったらアレだと思いますけどね」
「だとしても能力で出来る事全般も封じた様な物だから、相手側に大損害は与えられるので、よし」
「ま、まあ先の説明の利用が出来なく成ったなら確かに……ですが事故で有ろうと一応殺しに来た相手ですよ?」
「能力の価値がもったいなさ過ぎるからね……」
「殺すべきだったのでは?」
「ぶっちゃけると、色々とサンプル取れたから、ね」
そう言ってルド様は片手を前に出したかと思えば小型の太陽を出した。……はい?
「……封印処置ってつまり、能力を盗んで来たのですか?」
「これに付いては対生成した可燃性ガスに指向性をある程度持たせた上で燃やして居るだけだな。勉強に成ったわ」
「敵の能力に依る動きを見て、それを対生成により自前で無理矢理再現した……と、言う事、ですかね? ……地力だけでラーニング能力的な真似をしますか……」
「そりゃ、大抵の物は造れるからね」
「なら何故ペンタクルさんに注文するのですか?」
「既存の物を自己流に落とし込んで別物として造って居るだけでしかなく、参考資料在りきだからな」
「つまり、設計図が有れば何でも造れるが、完全新規の設計図を自由に用意する事は出来ない、と?」
「ああ、そうだ。だから敵がヤバイ物をぶつけて来れば来るだけ設計図のサンプルが増えるから、此方のやれる事の伸び代は増える」
「……インチキにも程が有りません?」
「俺は別に敵の能力を強奪やコピーしている訳じゃ無く、敵は結果的には物を造る上での参考資料を提供していると言うだけだが」
「敵がルド様を殺せる奴を出したら自動的にルド様に伸び代が追加される事がインチキじゃ無かったら何かと。殺しに来られる事が只の強化イベント扱いじゃないですか……」
「制限無く何でも造れる、ではなく、事前に伸びて置くべき部分が敵起因で伸びると言うだけだから、インチキ度合いはまだ抑え目だと思うが」
「自重してそれですか?……十分インチキなのですがね」
「それは良いからちょっと地脈龍を元の位置に戻してくる。仕様なり何なりと煮詰めちゃいな」
「解りました」
「それじゃ俺は帰らせて貰うわ。ペンタクル、注文はこれで」
そしてルド様はペンタクルさんに注文書を渡し、地脈龍を元の位置に戻す為の事を始める為にその場を去った。するとペンタクルさんは言う。
「零を一にする事と、一を百にする事に求められる物は違います。私達の技術は光学迷彩がベースですが、3Dモデルベースの技術も存在します。」
「それじゃ無理的な事を言って居なかったか?」
「……私は其方には余り詳しく無いですが、空間に投影した3Dモデルに全身に付けたモーションキャプチャと連携させ、動かす。パーツの重なりで腕が胸やスカートを貫通とかの不具合を一切出さない様にするには手間取るとか聞きます。例えば3Dモデルの口の動きがリアルタイムに歌う歌に合わさっていれば売りに成るくらいには」
「光学迷彩パターンでそれを出来るか?」
「AIの性能が高ければ基本的な口の動きを一通り記録し、AIに適宜変えさせれば行けますね。AIの性能が低くても、事前に該当の口の動きをデータベースに入れて居るなら、その分に限るなら出来ます。後、録音音声を流し、光学迷彩のデータをそれに合わせるのも行けますね」
「色々なやり方有るのな……」
「自分を光学迷彩で隠して光学迷彩で映像を代わりに貼り付ける、と、モーションキャプチャで入力したデータで投影先に映した3Dモデルを動かす。ですね」
「結局はどちらも対象空間上に適宜の適切なリアルタイムで動かせる立体映像の投影がリアルタイムで出来れば良くない?」
「……それに至る為の技術体系が全然違う物に対して身も蓋もない事言いますね。それが大変だから水霧様の提示する物の価値が有るのですが……」
「生放送じゃ無きゃある程度昔でも出来る気もする」
「確かに生放送じゃ無くて良いなら最早モーションキャプチャすら実現に必要無いですが、技術でやりたい事は自由に変更出来る別の見た目で日常生活を送りたい、です」
「体を弄る訳じゃ無いから、見た目の変更をするのに整形手術失敗のリスクを無視出来ると言うのは確かに大きいよね」
「それとリアルタイムの奴で無くて良い人はMMD動画でも見ていれば良いのですよ」
「流石にそれは違うわな……と、話過ぎた。何を造れば良い?」
「版権周りが面倒なので、既存作品のキャラではなく、古典的な人型の種族周りを模した物を一通り」
「一通りと言う事は、ゴブリンとかオークとかも造るのか?」
「薄い本的な意味で需要が有りそうでは有りますが、後回しですね。まずエルフ系と妖精系と天使系。次に龍人や魔人等のハーフ族等」
「人型をベースにした種族を一通り造りたいのは解るが、完成品が装飾品に頼るタイプだとやる意味無いし」
「では造れる物の自由度を開示して貰えます?」
「じゃあ軽く説明するが……」
そして説明を行った。羽根とか造るのが無理な物も有ったが、見た目だけある程度ちゃんとしていたら良いそうなので、骨を使い代用し、大抵は受注通りに造れた。
「これで合計十一体の納品ありがとうございます」
「俺もデザインの勉強に成ったよ」
角や牙や爪とかの装飾は色々と戦闘に転用出来そうだしな。
「では支払い方法は如何しましょうか」
「これからの回数を考えると銀行を余り介したく無いから、即金払い出来る?」
「解りました。では此方に成ります中に一千万入って居ます」
そうしてペンタクルさんはアタッシュケースを出して来たので、開けて一通確かめる。
「確かに。それでは今日の所は帰るわ」
「ナノマシンの件は良いのですか?」
「ああ、すまん、忘れて居た。ナノマシンは何時くらいに出来上がる?」
「明日の昼前には出来上がります」
「……じゃ明日の昼にまた来る。また明日な」
「では明日もお待ちして居ります」
そして俺はその場を後にした。
VTuberモデルの3Dモデリングの相場は調べたら80万円から100万円程度(何処に何を頼むかでも変動する様なので只の参考値)、らしく、手間が掛かる物とかは物に寄っては数百万円くらいするらしい。
それをベースに値段決めをした場合、3Dモデリングの作業の大幅な簡易化を一体につき報酬が百万円は通常の相場としては高めな値段では有ります。
只、ペンタクル側がそれを使って他所にクオリティの高い奴を連続で納品しまくる前提だとペンタクル側にも結構利益率は高い為、WIN-WINなので、ぶっちゃけ水霧はもう少し報酬は要求すれば上乗せ出来たとは思う。
……AI「Rodin」的な物に付いて言及有るべきだろって?
画像生成AIが有るからとイラストレーターが全滅している訳じゃ無いし。
……メタ的な都合ですが、それ知る前に書いたんですよ、これ……。(白目)