罪の告白
私はオリヴィア、チェルシー家の一人娘です。母は私が物心つく前に病気で亡くなってしまいましたが、母を愛していた父は再婚せず、仕事しながら、わたしを育ててくれました。
チェルシー家は由緒ある侯爵家で、父は平民にも優しく接し、使用人にも領民にも慕われていました。私はそんな父を心の底から尊敬していました。
ある日、夜中に物音がしたので、起きてみると、慌てている父がいました。そして私を見つけるなり
「父さんはこれから大切な話があって、すぐに出かければならなくなった。お留守番できるね?」
「はい、お父様。セバスや他のみんなと一緒にこの家を守ってみせます」
「はっは。それは心強い。すぐに帰ってくるからね」
父は何人かのお供を連れ出ていきました。それが私が生きている父をみた最期でした。
父が出かけて数日後に
「チェルシー家に関係する者は全員捕縛する。抵抗はするな」
大勢の兵士がやってきて私たちを捕らえました。
捕らわれた先で衝撃的な話を聞かされました。
父が敵国に情報を売っていたというものです。
信じられませんでした。そして父は亡命しようとして見つかり死んだと知らされました。私は泣くことを許されませんでした。
そして、チェルシー家は廃絶されました。
「これが私の過去です・・・軽蔑しましたか?・・・」
な、なんて悲しい話なんだ。もし人間の姿なら、号泣し鼻水も垂らしていただろう。
口調といい品のいい姿勢、動きだったので、生まれはいいと思っていたが、ここまで悲しい過去があったなんて
「た、大変だったんだな。俺なんて全然ましだな・・・」
「軽蔑しないんですか?」
オリヴィアは縋るようにこちらに来た。
「どこに軽蔑するところがあるんだ?」
「お父様は国を裏切ったんですよ」
「それはオリヴィアさんの父親であって、あなたは加担していなかったんでしょ?」
父親の罪で娘が被害を被るなんて許せない。
「はい・・・」
「なら俺はオリヴィアさんを軽蔑しないよ」
「ありがとうございます。ちょっと花を摘みに行ってきていいですか」
「そうぞ」
彼女は家から出て行った。彼女が歩いたところには所々濡れていた。