オリヴィア
「君はオリヴィアっていうんだね」
「はい、キツチ様」
「あ、キクチです」
「ごめんなさい。何度も言い間違えてしまって」
オリヴィアは何度も何度も頭を下げた。
「いや、気にしないでいいよ。言いにくいよね?だったらシロウって呼んでほしい」
「・・・」
「あ、初めて会った男?の名前を呼ぶなんてはしたないよね」
金色の髪にエメラルドグリーンの瞳、透き通った白い肌・・・すごい美人だ。こんな女性初めて会った。
俺、この娘救えてよかった。
「だ、大丈夫です。し、シロー様・・・」
顔を真っ赤にして、俺の名前を呼んでくれた。彼女には失礼だけど、すごくかわいい。
「はぅ~~~」
声もきれいだ。
「シロー様何者なのでしょうか?」
オリヴィアは今までで一番大きい声で聴いてきた。
「俺は・・・」
この世界とは違う世界から女神様のおかげでくることができた・・・こんなこと信じてくれるかな?
「大丈夫です、シロー様の言うことは信じます」
「わかった。実は・・・」
俺は今までの経緯を彼女に話すことにした。その間、彼女は何も言わずに話を聞いてくれた。
「そうですか・・・大変でしたね」
「いや、そもそも俺が言い間違えのが悪いから気にしてないよ」
それに剣になったおかげでオリヴィアさんを救うことができたし。
「あ、あそこが私の家です」
彼女が指をさした先には赤い屋根の小さな家があった。
「あ、シロー様はどこに置けばいいんでしょうか?イスですか?テーブルですか?剣のお客様は初めてなのでどうしたらいいのか・・・」
「イスに立てかけてくれればいいです」
オリヴィアさんが寝ているベットも捨てがたいが、今は彼女と正面で話したいからな。
「オリヴィアさんはずっとここに住んでいるんですか?家族は?」
俺がそう聞いた瞬間、彼女は顔を伏せた。
「・・・」
やべ、まずいこときいちゃったのか?どうしよう・・・
「い、いや別に話さなくてもいいんだ。ごめんね変なこと聞いて」
「い、いえ。いいんです・・・私の母は幼いころ死んでしまいました・・・」
はい、しくじりましたー。俺、デリカシーなさすぎ。どうしよう。せっかく仲良くなれると思ってたに嫌われるかな?
「そして父は・・・」
この暗い雰囲気・・・毒を食らわば皿までだ。どんなことでも受け入れる。
「父は、売国奴で・・・数か月前に亡くなりました」