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国王との拝謁

「国王陛下な、なぜ、そんなところに・・・」


「それはのう」


国王は髭を触りながら、先日のことを思い出した。






儂はタケル国,国王コンド3世。

王様といえば、楽なイメージかと思うじゃろうが、現実は異なる。

各地からの書類にハンコを押し、多くのものと謁見し自由な時間など、ほとんどない。

月に一度の鷹狩はそんなストレスを発散できる、楽しみじゃ。


「マイケルよ。今日は儂が勝つぞ」


「残念ながら、今日も私が勝ちますよ」


この男はマイケル・ステージャー。タケル国宰相だ。普段は儂に敬意を払い有能な男だが、鷹狩になると儂にも容赦にない奴じゃ。


「陛下、鷹があちらに向かいましたぞ」


「うむ」


護衛を連れて鷹が向かうと儂の鷹を肩に乗せる少女がいた。


「なんだ、お前ここは今、一般人は立ち入り禁止だぞ」


「今すぐ、立ち去らないと拘束する」


護衛が少女に警告するが、彼女は梃子でも動かなかった。


「陛下いかがしましたか?」


マイケルがこちらに向かってきた。


「だれだその娘・・・陛下、お下がりください」


マイケルは儂と少女の間に入った。


「ま、宰相よ。この少女は何者なのじゃ?」


「・・・チェルシーの最後の生き残りです」


アルフレッドの娘か・・・あ奴はバルアスに情報を売っている人間を連れてくるから、殺さないでほしいと懇願してきたが、結局はアルフレッド自分自身が犯人と知った時はがっかりしたものじゃ


「チェルシーの、いや名はなんと言うのじゃ?」


「・・・オリヴィアと申します」


「オリヴィアよ。儂によほど大事な話があるのじゃろうな」


「おと・・・父の汚名返上をお願いします」


「き、貴様――」


護衛は、今にもオリヴィアに切りかかりそうだった。国王の護衛に選ばれる人間は国への忠誠心が強いものが選ばらる。売国奴であるアルフレッドの汚名返上など、かれらは許せなかった。


「オリヴィアよ。それは判決がでているものだ」


宰相はオリヴィアに諦めろと暗に示したが、オリヴィアは一歩もひかなかった。


「・・・オリヴィアよ。何かアルフレッドを無実を証明できるものがあるのか?」


「いいえ今は・・・」


「ならば」


「晩餐会。晩餐会のときに父の無実を証明します。国王陛下には証人になっていただきたいのです」


「無礼者、陛下をなんだと思っている」


「よい、なぜ儂なのだ?」


「父を貶めた人間の内通者が把握しきれていないからです。ですから・・・」


なるほどのう。もしそれが真実ならアルフレッドの無実を証明する方法はそれしかなのう。


「オリヴィアよ。なぜ今、父の汚名返上しようと思ったのじゃ?その理由を聞かせてみよ」


「陛下、この者の言っていることを信じるのですか?」


マイケルは、反対のようだのう。


「少し興味がでてきただけじゃ。さぁ答えて見せよ、噓偽りは許さぬぞ」


「・・・私に心強い味方ができたからです」


「その者はここにはいないようじゃが?」


「いえ、ここにいます」


「私たちをからかっているなら、相応の対応をしますよ」


宰相はいつでもオリヴィアに攻撃できるよう合図した。


「少し下がります。よろしいでしょうか?」


「よいじゃろう」


「ありがとうございます」


オリヴィアは少し下がった。


「シロー様お願いします」


オリヴィアの指輪が剣に変わった。


「なんだこれは」


「妖術か」


「陛下お下がりを」


兵士は動揺したが国王を守るべく取り乱さなかった。


「オリヴィアよ。それはいったい・・・」


「少し長くなるのですが―――」


オリヴィアから様々な話を聞いたが儂は全てを信じられなかった。

彼女の話をまとめると冤罪で裁かれたアルフレッドの名誉と迫害いるオリヴィアを救うために、女神が遣いを出したということもなる。

これは、判断を間違えると大変なことになってしまうな。


「・・・国王陛下、彼女の話、受けましょう」


「宰相、先ほどまでは反対だったのにどうしたのじゃ?」


「あの剣は聖剣バルディオンです。陛下」


聖剣バルディオン。建国の父であり、儂の先祖である、コンド1世が所有していたと言われる代物でコンド1世崩御後、行方不明になったという。


「宰相よ、なぜわかる?」


「王国蔵書に剣の写本集がありまして、そこで確認しました。ここにいるものが知らないバルディオンのデザインを彼女が知っているはずがない、ゆえに偽物だとは考えにくいと思います」


「・・・これを断れば女神に嫌われてしまうということじゃな」


「・・・おそらく・・・」


「オリヴィアよ。儂らはどうすればいいのじゃ」


「私の話を信じてくださりありがとうございます。国王陛下には―――」




「ということじゃ。お主の悪事は女神様が裁けとの啓示がでているといことじゃ」


「そ、そんな、馬鹿な。ありえない」


ファウストは頭を抱えた。今まではうまくいっていたなのに、急に歯車ずれ、絶体絶命の窮地になっているのだから


「なぜだ?なぜこうなっている?どうして?っは!あの女だ。あの女のせいだーーー」


ファウストはオリヴィアに向かってビンを投げつけた。


「危ない、オリヴィアさん」


俺は盾になり、彼女を守った。


「ありがとうご、えっ?」


オリヴィアがシローを見たら一部が溶けていた。


「シロー様、どうして」


「ハウンドが投げつけたのは協力な酸が入っていたようですな・・・」


宰相はそう言い放った。


「そんな!」


「よ、よかった。おり、ヴぃあさん、を、まも、れて・・・」


なんだろう意識が遠のく感じがする。


「シロー様、しっかりしてください。あなたにはここまでしてくださった恩をお返ししたいのです。ですから生きてください」


いいんだ。俺にとってオリヴィアさんと過ごした日々は俺の人生で一番幸せだったんだ。


「私も、お父様が亡くなってからは、絶望の日々でした。そんななか、シロー様に出会い、笑えるようになりました。あなた様いなくなったら・・・」


オリヴィアは涙が溢れだしていた。


オリヴィアさんを俺のために・・・不謹慎だけどうれしいな・・・そうだ最期だし言いたいことを言っておこう。


「そんな・・・最期などとおっしゃらないでください」


「おり、ヴぃあさん、オレは、君を、一目、見たときから、すきだった。い、っしょ、にすご、せて、たのしか、った。ありがとう」


最期に告白できてよかった。オリヴィアさん、幸せになってね。


俺はここで意識がなくなった。




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