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断罪

「なにを言っているのかわからないな」


「あなたはバルアス帝国に情報を売り、その見返りに金品を受けっていたのでしょう?」


「バカな。証拠はあるのかね?」


オリヴィアは一枚の紙を取り出した。


「そ、それは・・・」


ファウスト、一瞬動揺した。


「このメモにはこう書かれています。『5月31日20時ヤジール峠  B.R』と」


「・・・」


「このB.Rとは、バルアス帝国のバルドル・ローゼンバッハ将軍ではありませんか?」


バルドル・ローゼンバッハ。最近頭角を現し、『慧眼』とも言われる観察眼で常勝無敗の男だった。


「そんなのは君の推測だろう。それにそのメモはどこにあったのかね?」


「それは、あなたがよくご存じなのでは?」


先日、バウント家に使用人に偽装し、潜入したセバスがファウストの机の裏にあったのを発見し、セバスが書いたものを本物があったところに戻し、本物をオリヴィアに渡したのであった。


「そんな物なんの役にも立たないよ」


「そうでしょうか?これを子どもの嘘すら調べる、と言われる我が国の諜報部に渡せば有効かと・・・」


諜報部に渡されれば、筆跡鑑定をされ、ローゼンバッハ直筆だとバレるだろう。そして明日、ヤジール峠にきたローゼンバッハの手下が捕まり、我々の関係をはくかもしれない。ファウストは焦った。


「わかった。たしかにバルアスに情報を売ったのは、私だ。1つお願いがあるんだ」


「なんでしょう?」


「妻や子供たちに話すために時間がほしい。頼む」


ファウストは頭を下げた。


「そうやってお父様を殺したのですね」


「なにを・・・アルフレッドは第3騎士団が殺したんだ」


「お父様に家族に分かれる時間ほしい、と言って時間を稼ぎ繋がりのあるものを差し向けたのでしょう?」


「でたらめなことを言うなーーー」


ファウストは大声で叫んだ。


「あっ、すまない。怒鳴るつもりはなかったんだ」


「いいんです。出頭していただければ」


「出頭・・・だと・・・」


ファウストの雰囲気が変わった。


「チェルシー家の人間はなぜその言葉をつかいたがるんだ?」


「ファウスト様?」


「あー、もうやめだ。お前には通じないみないだな。父親はうまくだまされたんだかな~」


「やはり!」


「そうだ、僕がアルフレッドを殺させた。







「ファウスト、これはどういうことだ?」


ファウストの前には言い逃れができないほどのファウストの不正の証拠の束が置かれた。


「あ、アルフレッド、こ、これは・・・」


「まさか、やっていないなんて言わないよな?」


「・・・」


「出頭しようファウスト」


アルフレッドはファウストの肩を抱き、諭すように言った。


「出頭!そんなことをすれば僕は死刑だ」


「大丈夫だ。王に掛け合ってある。今出頭すれば懲役ですむ」


「懲役・・・何年いや、何十年入ることか・・・」


「私は何十年でもお前が帰ってくるのを待っている」


「ほ、本当か?」


「ああ、出てきた時には、ノールシー産ワインを飲もう」


「僕の大好物だ。だけど時間をくれないか?家族に話をしたい・・・」


「そうか。わかったなら待とう」


「いいのか?」


「ああ、俺たち友達だろ」


「ありがとう」


3日後


「アルフレッド様、この程度の護衛で大丈夫でしょうか?囚人の護送がこの人数で」


今アルフレッドと数人の護衛がファウストを連行していた。ファウストが前にいてその後ろにアルフレッドたちがいた。


「あまりに多いと囚人護送とばれてしまう。あいつに惨めな思いはさせたくはない」


「いずればれると思いますが・・・」


「それでもしばらく俗世の景色は見られないんだ。今だけはいい景色にしてやりたい」


「お優しいんですから。敵に襲われても知りませんよ」


「ここはタケル国内なんだぞ。敵に襲われるわけがないだろう」


「そうで」


アルフレッドと話していた兵士の胸に矢が刺さっていた。


「なっ、フレッドーーー」


「アルフレッド様をまも」


次々と降りかかる矢にアルフレッドの部下は全滅した。1人矢を防ぎ生き残ったアルフレッドは前にいたファウストに駆け寄った。


「ファウスト、何者かに襲われている。にげ」


ファウストは隠し持っていたナイフでアルフレッドを刺した。


「なっ、まさか・・・」


「悪いな、僕はまだ俗世を謳歌したいんだ」


馬から落ちたアルフレッドは二度と動かなかった。






「あなたは・・・」


オリヴィアは両手を握りしめ、唇からは血が出ていた。


「ん?なによく聞こえないな~」


「あなたには人の心がないのですかーーー」


オリヴィアは殺気をファウストに向けたが、ファウストは気にしていなかった。


「仕方ないだろう。金が必要なんだから」


「お金?お金のために友達だったお父様を・・・」


「友達?あいつは僕を売ろうとしたんだ」


「売るどこにです?」


「国にだよ。あいつは僕を国に献上して名声を高めようとしたんだ」


「お父様はそんな人ではありません」


「そう、僕ならそうするけどね」


「あなたは・・・」


「オリヴィアさん、もうこいつと話しても不愉快になるだけだ」


オリヴィアさんの意思を尊重して今まで黙っていたが、もう我慢できなかった。


「そうですわね。ファウスト・セベダ・ハウンド。あなたを憲兵に突き出します。逃げたとしてもこちらには証拠がありますから無駄ですよ」


「憲兵ねぇ。こっちには本当の友達がいるから、返り討ちにしてあげるよ。可哀そうだから、墓は作ってあげるからね『罪人親子ここに眠る』ってね」


「それは、無理じゃろうな」


「誰だ?」


壁から人が出てきた。その人物は黒髪黒目で王冠を被った男が出てきた。


「ま、まさかあなたは・・・国王陛下」


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