決心
次の日、オリヴィアさんはとある場所に向かっていた。その場所は数日かかったが、
護衛のいる馬車を利用したので、無事にたどり着いた。
そこにはオクタヴィア・チェルシーと墓石に書かれていた。
オリヴィアさんは墓石を磨き、線香を焚いた。
「お母さまの墓です。私、お母さまの思い出がないんですけど、
ここにくるとお母さまが見守ってくれているようで落ち着くんです」
ここには、お墓が一つしかなかった。
オリヴィアさんは長い間、手を合わせながら沈黙した。
「・・・決心がつきました」
「・・・もし、失敗したら、オリヴィアさんは・・・」
「覚悟は決めました。それに私は失敗するとは思っていません。
なぜなら心強い味方がおられるんですもの」
そうだよな。セバスはかなり頼りになる人だ。
「・・・」
「オリヴィアさん?」
「なんでもありません。馬車を待たせているので、もう行きますよ」
オリヴィアさんはすたすたと早歩きをした。
頑張ろうオリヴィアさん。俺も微力ながら力を貸すから・・・
今日は年に一度の王国主催の晩餐会、この催しは貴族だけでなく、
豪商に伝統工芸職人、歌手、画家なども参加する大型イベントだ。
その中に晩餐会が行われている、庭ではなく、王宮のとある部屋に男がいた。
「どうぞ」
ノックの音が聞こえた彼はそう言った。
「失礼します」
入ってきたのは先日お家断絶し、チェルシーを名乗れなくなったオリヴィアだった。
メイド服という今まで着てこなかった服であったが彼女は着こなしていた。
「おお、ずいぶん似合っているよ。わが家にきたら、その服を着てもらおうかな?」
「いえ、私はそちらの家にはいきません」
「それは、どういう意味かな?」
「私はお父様に罪をかぶせ、殺害した男のところには行かないといっているのです。ファウスト・セベダ・ハウンド」