協力者
「先ほどはお嬢様に,大変失礼なことをしていまい申し訳ございません」
店主は深く深く頭を下げた。
「あなたにも立場があるのはわかっています。なので気にしないでください」
「ありがとうございます。ではこちらに」
「ありがとうございます。セバス」
セバスに案内され、地下室に入った。
「ここは戦時中用の避難所なので、誰もいません。ここならば大丈夫でしょう。さて、私に何の用でしょうか?」
「話をする前にある方に会っていただきたいのです」
「それは・・・お嬢様の良い人ということでしょうか?」
「ち、違います。その方とは、そん、なななな関係ではありません」
オリヴィアさんは顔を真っ赤にして否定した。・・・俺ちょっとショックだな・・・。
「あ、違うんです。あ、違わないいえちが、あれ?よくわからなくなりました・・・」
「・・・どうやら複雑な関係な方のようですね」
「そう、複雑なんです」
オリヴィアさんは、うんうんと頷いた。
「その方はどちらにおられるのでしょうか?ここに連れてきてくださるとありがたいのですが」
「心配ありません。ここにおりますよ」
オリヴィアさんは指輪をセバスに見せた。
「この指輪が会わせたい方ですか?」
セバスはどう対応すればいいかと困惑した。
「シロー様」
「よし。出番だ」
俺は指輪からブレスレットになった。それを見たセバスは腰を抜かした。
「お、驚きました。このブレ、いえ・・・」
「驚かせてすみません。実は―――」
オリヴィアさんはこれまでのいきさつを話した。セバスは口を挟まずに聞いていた。
「そんなことがあったのですね。お嬢様を助けていただきありがとうございました」
「おう、気にするな。俺が好きでやったんだからな」
まぁ俺はオリヴィアさんに振り回されただけなんだがな。
「私はセバス・チャンと申します」
‼セバスチャン。とういことは絶対執事だ。
「お嬢様の護衛をしておりました」
あ、違った
「私は28年生きていますが、武器に変化できる方にはお会いしたのは初めてです」
セバスチャンあんた、28なのか。30代後半かと思った。
「しかし、お嬢様にだけ声が聞こえるというのは不思議ですね。私には全く聞こえません」
「今はセバスが年齢より老けているって言ってますわ」
「なっ。よく言われます・・・」
「あっ、気にしていたの?ごめんね」
「今度は謝っていますよ」
「しかし、お嬢様を介さないと会話ができないのは、少し不便ですね」
「ええ。だから私、これを用意しましたの」
オリヴィアは包みを開き、中にあった木の板を出し、広げていった。
「これは、子どもに文字を覚えさせるための玩具ですね」
「その通りです。この中心にシロー様を置けば」
『どうだ、うまくつたわっているか』
俺は鉄棒になり、文字を指していった。
「おお、これなら私も意思疎通ができますね」
「道端で遊んでいる子ども見て閃いたの」
「さずがでございます」
セバスの拍手にオリヴィアさんは照れているようだった。
「ところでお嬢様、お風呂に入りたくはないですか?」
「えっ?急にどうしたのです?」
「先代の事件以降まともに風呂には入っていないのでしょう?」
たしかにオリヴィアさんは、鍋で沸騰させたお湯で体を拭いたり、頭を洗っているらしい
俺はその時は玄関の外に置かれているから、見ていなんだけどね。
「今日はわが家のお風呂を使ってください」
「い、いえ私はそんなこと・・・」
オリヴィアさん本当は入りたいはずなのにセバスに気を使って・・・いい娘だ。
「今日は新月で暗いので大丈夫でしょう。私の妻が入口におりますのでお早く」
「・・・いいのでしょうか?」
「はい・・・」
「わかりました。では甘えさせていただきます」
オリヴィアさんは鉄棒を拾い上げようとしたが、セバスに阻まれた。
「お嬢様、これから湯あみをするというのに殿方を連れていくのでしょうか?」
「あ、たしかに・・・」
「私とシロー殿はここで待っておりますので、どうぞごゆっくり」
「はい、シロー様、少し席を外しますね」
オリヴィアさんは入口の方に歩いて行った。その足取りは浮き出しだっているように感じた。
『さて、おれになんのようだ?」
「・・・気づいていましたか・・・」
セバスは鋭い眼光で俺を見ていた。