⑤
目を擦りながら、こちらの場所に来て、J.S.Bach, Fuge 12 f-moll, BWV 857を聴きながら、ぼんやりしている。
……争いとか、何も無い世界って、……こういったたった独りの夜の静寂に包まれた時みたいに、温かな暗闇なのかもしれない。温かな包み込まれるような暗闇。……それは、とても温かくて優しいから。眠りに落ちる前の静寂や安寧の、それは、温かな夜。
このまま、明日も、……過去もなくなって、……今だけ、ぽっかりと切り抜かれたように、時空に放り出されればよいのに。……それくらい、何もなくてからっぽで、幸福。
……それが、温かな暗闇の、静かな夜の幸福のような気がする。
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こうして書くことばかり続けていると、どうしても、温かな暗闇、静かな夜と友達にならざるを得ないし、コーヒーは、友達にならざるを得ないような気がしていて、(でもそれは、コーヒーも夜も嫌いな方は、違うものが友達なのだろうと思う)……最近は、……全く、絵を描けていなくて、……描く機会や衝動が減ってきたって、少し寂しく思うけれど、……それは、もしかしたらよいことなのかもしれない。
……私にとって絵を描くことは、無意識を掴みたい欲求の表れで、自らを知る為の手段の一つで……、……それは、……言語化すら出来ないそれを暴き出す手段、引き出す為のものに……きっと過ぎなかったから、描きたい欲求が薄れているということは、無意識の欲求のようなものを上手く言語化出来ている表れなのだろうって想像するから。
―-多分、もう、絵を描く段階は、もう一段階、無意識を言語化出来るようになったら、……また欲求の波が来るのかもしれない。
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……もっと深く、もっともっと深く、抉りたい、っていつもの欲求の衝動が表れた時、……あれは、病気のようなものだから、……衝動に呑み込まれない内は、本当に平和で、本当に嬉しいことのように思えて。……エネルギーを使うことは、封印していたい
ずっと