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7品目

作るのはベーコンエッグの為、そんなに難しくはない。なので、10分程で6人分完成した。桃が調理を終え、隣をみると凄い勢いで料理が完成されていた。が、見たことの無い物体が形成されており、料理といってもいいのか分からないものがあった。


「……。それ、なんですか?」

「……これ?これ魚用のご飯。」

「魚用……。」

「……あれが草食動物用で、となりのが肉食動物用。」


桃はこれは調理光景ではなく動物園のようだと思った。


「凄いですね…。」

「……そう?これが普通。」


普通と言った言葉に間違いないらしく、涼し気な顔で十数人分の食事があっという間出来上がってく。桃はすることが無くなったため、ひたすらに洗い物をしていた。


「凄い量ですね。」

「……これでもご飯を食べる事の無い人達もいるから少ない。」

「そうなんですか?」

「……うん。種族的に食べないんだ。」


種族的にってなんだろうと桃が想像しているとカーティが全員分作り終えたようだ。


「……じゃあ食べよっか。」

「そうですね。」


カーティがいつの間にか作っていたトーストに桃の作ったベーコンエッグをのせ、簡単な朝ごはんが完成した。


「いただきます。」

「……?イタダキマスって何?」

「いただきますは、命をいただきますって事だったと思います。感謝の意味を表すとか。」

「……へぇそうなんだ。じゃあ僕も、イタダキマス。」


程よい焼き目の上にのせるベーコンエッグ。ベーコンの程よい塩加減にパンと甘みがマッチしており、桃の作ったベーコンエッグの可もなく不可もなくといった程度のものでさえ、一流の料理人が作ったかのような錯覚を覚えた。なので、すぐに食べ終わった。


「美味しかったです。ごちそうさまでした。」

「……そのゴチソウサマデシタはどういう意味なの?」

「え?えーと、いただきましたって事なんだと勝手に思ってます。」

「……それだとイタダキマシタでいいんじゃないの?」

「そうですよね。多分、意味違います。」

「……わかったら教えてね。」

「はい。」


どうやって調べようか、そう考えているとバン!と大きな音が厨房に響き渡った。


「おっはよー!モモちゃん、カーティ!」

「おはよう、ホト先輩。」

「……おはよ、ホト。」


元気に入って来たのはホトだった。その格好はふわふわした感じのワンピースだった。そして寝癖が酷くついていた。


「モモちゃん早いねー!」

「そう?ホト先輩、寝癖酷いよ?」

「ほんとに?」

「うん。ちょっと触るね。」


桃は手ぐしでホトの寝癖を直せるだけ直したが、元々が天然パーマな為さほど変わらなかった。


「ううーん、なおらない!」

「……ホトだから仕方がないよ。」

「そうですね……。」

「ぷぅ!ホトだからって仕方がないってなにさ!」


ホトは頬っぺたを膨らましながら怒り出した。怖くはないが、今にも泣き出しそうな程目に涙が溜まっている。それを見た桃は泣いちゃうとあたふたした。


「あ、あとできれいにとかし直そうね、ホト先輩。」

「……。うん。あとできれいにする。」


ホトが落ち込んでいるのか俯いたかと思うと、あっと何かを思い出したかの様に顔を上げた。


「モモちゃんモモちゃん!」

「何?ホト先輩。」

「昨日案内しきれなかったところ案内しなきゃだから案内してもいい?」

「うん、お願い。」

「先にご飯食べて来ちゃうね!モモちゃんは食べた?」

「うん。ただ、まだ片付け終わってないから、ゆっくり食べてね。」

「うん!」


元気に返事をしたら草食動物用のご飯を食べ始めた。そして食べ終えたかと思うと凄い勢いで片付けた。


「今日も美味しかったよ、ありがとうね!」

「……どういたしまして。」

「行こ!モモちゃん!じゃあね、カーティ!」

「うん。お仕事頑張ってください、カーティさん。」

「……うん。またね。」


手を振りカーティと別れて厨房を出たが、どこを案内するか決めてなかったらしくすぐに立ち止まった。


「どこから案内しようかなぁ。」

「どこでもいいよ?」

「じゃあ、ホールからにする!」


ホトはすぐ近くにある厨房とは違うドアを開き中へ入っていった。その唐突な行動に桃は驚いたが、すぐに後をついて行った。


「ここがホールね!お客さん達がご飯食べるところ。今は時間じゃないから居ないけど。」

「へぇ、こんな感じだったんだ。」

「あれ?ここ通ったんじゃないの?」

「色々考えてて、周り見てなかったから。」


遠い目をしている桃の事を気にもとめずニコニコとしているホトはキョロキョロと辺りを見渡す。


「すっごいよね。」

「うん。」


ホールには重厚そうな絨毯や煌びやかなシャンデリア、純白のグランドピアノ等高級感の溢れる場所だった。テーブルには真白いテーブルクロスがかけられている。


そんなお店の出入口は昨日桃が入ってきた扉以外見当たらない。


「ここってお客様はあそこの扉から来るの?」

「そうだよ。たまーに、違う所から来るお客さんもいるけど。」

「へぇ、その時はどうしてるの?」

「ここに案内してる!」

「そうなんだ。」


違う所からはどこから来るのだろうかと考えてる時に、ここのお店について説明してくれた。


「ここはね、夜の9時から朝の2時までやってるんだ。あと、配達?もしてるらしいよ。」

「配達?」

「うん。ここに来れないお客さんに頼まれるんだって。」


ここに来れない?なんで?と朝から頭を悩ませる桃だった。

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