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1品目

「ここは…どこだろう。」


少女の目の前には霧で覆われた、立派な洋館がある。しかし、それ以外は見当たらない。


少女は黒い茶色の髪を横で縛り、黒い茶色の目をした平凡な高校生。そんな少女は帰宅途中だった。しかしいつもと同じ道、同じ時間のはずが、こんな所へ着いてしまったのである。


後ろには道も何も無い。あるのは洋館のみ。


「どうしよう。とりあえず行ってみる、しかないよね……?」



ノックを数回したあと、洋館の扉を開けた。開けた先は、


「いらっしゃいませ、当レストランへようこそお越しくださいました。」


レストランでした。


「すみません、道に迷ってしまって。ここは、どこですか?」

「こちらは真夜中に開店致します、レストランにございます。貴方様は初めてのお越しなので、ご説明致しますね。」


説明してくれたのは、20代のような見た目の眼鏡をしたにこやかに笑っている黒髪の、燕尾服を着た青年だった。


「ここは様々な世界と繋がっている次元の狭間にございます。ですので、こちらへいらっしゃる方々は貴方様の様な人の姿をとる者もいれはそうでない方もいらっしゃいます。今ちょうど開店しておりますがお食事になさいますか?。」

「いや、私は家に帰りたいので、食事はしないです。」


しかし、真夜中に開店するレストランと言っているが、少女が学校を出た時間は午後4時半だった。それから少ししか経っていない。だが、ここは開いていて、まさに目の前の青年が”開店している”といったではないか。時間が合わない?と少女は首を傾げた。


「それで真夜中に開店、ですか?今って何時なんですか?」

「今はここでは午後11時を過ぎていますね。貴方様の世界ですと、午後5時過ぎ、でしょうか。」


午後11時。なるほど、納得の暗さである。


「どうしよ。とりあえず、お母さんに帰るの遅くなるって連絡しないと…。」


しかし、電話をかけてみようとするけれどもコール音すらならない。


「っ!なんで!?」


「大丈夫でしょうか?当レストランの従業員のノヴァーリスが貴方様の問題の解決策を持っているかもしれません。ノヴァーリスは中にいますので、よろしければ入りますか?」


青年にそう声掛けられ、少女は頷き恐る恐る中へ足を踏み出した。



+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+



少女は青年のあとを付いて行った。中にいる人達は様々だった。人間ぽいもの、動物ぽいもの、無機物のようなものまでいた。


「.........。にぎやかですね。」

「お陰様で大盛況にございます。」

「あら?オーナーさん、そちらの方は新しい方かしら。」

「これはこれは、シュニー様。本日もご利用頂きありがとうございます。こちらの方はノヴァーリスに用がありまして、只今案内しているところにございます。」

「そうでしたか、忙しいのですね。さようなら、可愛らしい方。また逢う日がある事をねがいましょう。」

「えっと、さようなら。」


少女は戸惑っていた。話しかけて来た人物は耳は大きく先が尖っていて、ところどころ鱗があった。また、手足が棒のようになっていて指がなく、とても同じ人間とは思えなかった。



+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+



しばらく歩くと目の前でオーナーが止まった。よく見ると豪勢な扉の前だ。少女はさっきの事をずっと考えており、周りを全く見ていなかったのだ。


「着きました。ここにノヴァーリスがいます。」


そしてコンコンコンとノックをした。


「ノヴァーリス、今良いですか?」

「えぇ、大丈夫よ。」

「入りますね。」


扉を開け、オーナーは中へ入っていった。その後を少女がついて行く。


「珍しいわね、ゼノ。貴方が人間、それも女の子を連れているなんて。何かあったのかしら。」


中にいたのは、妖艶と呼ばれるような金髪美女がいた。ただ、目は紅く、耳はとがっている。そして、その背には蝙蝠のような羽に矢印のように尖った尻尾がついている。まさしく、悪魔と形容すべき姿だった。


「こちらの方はここに迷い込んでしまったようです。それで、元の世界に戻りたいらしいのですがノヴァーリス、なんとか出来ますか。」

「そうねぇ。」


ノヴァーリスが少女に1歩ずつ近づいて行く。舌なめずりをしながら。


「わっ私は美味しくないです!」

「ふーん?」


ペロッ。


「!?」

「あらほんと。貴方、美味しくないわね。」


そういうノヴァーリスは嬉しそうだった。そして何かをしばらく考えたあと、突然目をキラキラと輝かせた。


「この子の世界には私は行ったことがないから連れていくことは出来ないわ。それに、もうこの世界への出口は閉じちゃってるみたいだし。」

「ノヴァーリスでさえ無理でしたか。さて、どうしましょうか。」


そう告げられた少女は、もう二度と帰れないのかと、もう両親や仲のいい友人達と会うことは出来ないのかと考えた。が、


「いい考えがあるわ。帰れるまでここで働かない?ちょうど人手が少なくなってきてたのよね。あぁ、安心してね?給料はつくし、三食昼寝付きよ。どうかしら。」

「それは良いですね。働いてもらっている間に貴方を帰す方法をこちらで探しましょう。」

「そうね、それがいいわ!貴方もそれでいいかしら。」


そう説いてはくるが、まるで決定したような雰囲気に少女は否と応えられず、只々首を上下に動かした。


「決めてくれてありがとう。ゼノに人手が足りないっていうの面倒だったのよね。それに、この子良い子だし、逃したくないわぁ。」


ノヴァーリスはランランと目を光らせた。

そして、あっと声をあげた。


「自己紹介しなくちゃね。私はノヴァーリス。このレストランの店長をやっているわ。どうぞ、よろしくね。」

「私はここのオーナーをしております、ゼノと言います。この店にいないこともしばしばありますが、よろしくお願いします。」


2人に自己紹介された少女は自分も自己紹介をしようとした。


「私の名前は.........。」

こんばんは。


初連載です。色々と拙いところも多々あるかと思いますが、これからもよろしくお願いします。


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