〜寂れてしまった商会と繁栄する港町Ⅲ〜
朝、昼めしを食いそびれた俺は仕方ないのであまり行きたくないが動き変化する迷宮大市場へと足を伸ばす
昼過ぎなので市場は閑散としているのかと普通の人は思うかもしれないが
さすがは大市場と言うことあって相変わらず人混みが絶えず怒号が鳴り響く
とりあえず喫茶店でも行くか
大市場の大通りを人混みと突き出た行商人の積み荷に違法増築して飛び出してる建物をクネクネと避けつつ通り抜けて
大市場とお城の間の通りにある喫茶店へと入った
相変わらず閑散とした空間には客は一人もいない
バーカウンタ一にいる1人黒髪に黒ヒゲを生やした割と若そうな男に話しかけた
「やぁマスター久しぶりだな。トーストもらえるか?」
「おっ来たな貧乏商人!トーストを出せって今何時だと思ってる仕事がないからって茶化しに来たのか?」
「仕事は人望のない君と違って私には多すぎて選り好みしてやってるんだよ!あと貧乏はお前もだろ!」
そんな事を言いながら
俺に背を向けながらフライパンを温めに入る
そう言い合いつつもいつも
ちゃんとトーストを出してくれる
そんな優しいマスターだ…口調はあれだが…
マスターの詳しい素性はわからない
わかっているのは3年前にここに突如開業したということと
ここ最近は酒場「ヨイドレ」のマスターにもなったということ
口はこんなんだが優しいやつであるということ
そう冗談を言い合えるというか愚痴を互いにこぼし合ってる仲なのである
「…そうだお前に話したいことがあるんだった…
まぁ座れよ…どうせ客は来ないだろうしな」
さっきとは打って変わって少し落ち着いた声でマスターはそう言った
「え?…お、おう」
なんだかいつもと違うマスターの表情にビビりつつもカウンターに腰を掛けた
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次回は依頼主についての話です
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