〜寂れてしまった商会と繁栄する港町Ⅱ〜
翌朝
目を覚ますと見慣れた天井、本が山積みの棚、はめ殺し窓から日差しが差し込んで来る…自室だ
昨日何をしたっけな…イーッタタタァッ…
二日酔いで頭が痛い…元々そんなにお酒は強くないのだが昨日の無理が祟った
とりあえず顔を洗いに部屋を出る2階には個室5部屋がある
そこにムロ爺さんと受付嬢のメルタそして会計士のジルキンの4人がそれぞれの個室に住んでいる
残った1つは昔父が使っていた部屋だが今は物置小屋と化している
薄暗い杉の廊下を渡り1階へと続く広いホールに出る
そこの大理石の大階段を降りると玄関、キッチン、商会受付所につながっている
降りるとホール全体を香ばしいいい匂いがする
どうやら朝食を作っているようだ
キッチンを覗くとそこには4人分のホークとナイフとお皿にそれぞれ乗ったパンケーキとが配置されて湯気が出ていた
「キルク様おはようございます」
純白のメイド服の上にまた純白のエプロンを着た我が商会の受付嬢メルタが何故かいる
「あぁ〜おはよう…その…受付嬢としての勤務時間外だと思うけど…?」
「何を寝ぼけてらっしゃるんですか?
先週から食事当番を4人で回すって決めたじゃないですか」
あぁそういえばとうとうコックを雇えなくなってみんなでご飯を作ることになったんだった…
「あぁ…そういえばそうだったな…」
改めて厳しい資金ぶりを思い出して着席したと同時に食欲がなくなってきてしまった…
「いや〜それにしてもないとは思ってましたけど
うちの商会そこまで資金無くなってたんですね〜」
そう言いながらはメルタはエプロンを椅子の背もたれにかけてその椅子に座りパンケーキを食べ始めた
ちなみに4人の中で彼女が一番料理がウマいのだけれどもやっぱりなんと言うか今後の商会の行く末を考えると重くなる…
「キルク様〜食べないなら私が変わりに食べますよ?」
「あぁすまないが昨日から二日酔いであまり食欲がわかないのだ…だけどすこし残…」
と言い終わる前に
「そうなんですか〜じゃあいただき〜」
顔ほどの大きさのあるパンケーキをホークで突き差し一口で食べる
その後まんべんの笑みを浮かべつつ幸せそうに平らげた
「いや〜実は昨日あまり食べてないのだお腹減ってたんですよね〜」
いや、ナイフで切ってすこし残してくれてもいいのでは?
「…そうか…満足してくれたならいいんだ…満足してるなら…」
ちなみに食費、材料費、光熱費は商会で持っているので実質負担は私に回ってくる…
「それではちょっと朝の散歩に出掛けてる来るよ…」
「朝って…もう昼ですよ?いくら休日でも寝すぎは体に毒ですから気をつけて下さいね」
仕方ないので朝食は外で食べることにした
お読み頂きありがとうございます
次回から少しづつきな臭くなっていく展開に加筆修正して行きたいと思います
引き続きお読み頂けたら幸いです