〜すべては金貨のためにⅡ〜
「なるほどそれで今回の増税へと繋がるわけか税関長殿が言うならわかりましたよ」
そう皮肉を込めて言ってやったその時
城内に取り付けやれている鐘が時刻を知らせる
「すまんなキルク これから私は行政会議があるから見送りはここまでのようだ」
「いや、わざわざ悪かったな。ではユウマも気をつけて」
そう言いそれぞれ城下の人混みの中に消えていった
城門を6つくぐり抜けると南にある大市場へとつながっている
元々は点在としていた小さな市場がまとまった形で形成されたため中は迷路のようになっている
仕事で何回も来ているが増築のためいつも少しずつ道や建物が変わっていき迷子になりそうになったりしてしまいそうだ
市場はここ最近の軍需景気というやつて鉄や鋼、鉛などの金属、炎や雷、などそれぞれ五種属の力を発動できる魔導書なども軒並み高騰している。
今や平時の10倍の値段である…露店にも少量売っているがこんな品物、もはや買おうとは誰も思わないだろうに
そんなことを思いつつ俺はいつもお世話になってる馴染みの酒場【ヨイドレ】へと向かうのであった
なぜこの酒場が行きつけなのかというと理由は主に三つある
一つはこの酒場は港のすぐ近く海の前ということもありやたら滅多なことがない限り市街地のように場所が変わるということがない
ニつ目はそんなこともあり長年商人や漁師、船乗りなどこの市場に関わる者ほぼすべての人が行き交うそのため商売の大事な情報源を収集することができる
三つ目は…
「やぁキルクじゃないか〜久しぶりだな」
そう言いジョッキを両手に持って更にその上に積んで運んでいるひときわ愛らしい姿の女性が話をかけてきた
「やぁ久しぶりだな!…じゃねぇよ誰のせいでこんな風になったと思ってる」
こいつも学校では世話になったというか世話をした記憶のほうが多いルラさんである