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召喚王 ~異世界ガチャで最強美少女ハーレムを~ 作者:子烏丸天国

極貧時代編

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3.おんぼろ愛の巣・一夜目(前編)

 さっそく、魔王城の探索をしようと思ったら、ほこりまみれのキッチンとトイレ、粗末な寝室しかなかったわけで。
 ちなみに、寝室にはおんぼろベッドが一つしかなく、あとはテーブルと衣装ダンス、姿見の鏡しかない。
 外に出てみれば、井戸はあるものの、強い風が吹いたら崩れそうな我が家。

 季節は夏の盛り。ときは夕刻。西の空が紅に染まっている。
 森の奥深くにひっそりと建つ我が魔王城。
 カラスなんかが屋根にとまっていて。
 まさに、『あばら屋』という言葉がふさわしい。

「本当に、ひどい家だな。これを城と呼べと?」
「そうですね、魔王様」
 ペシェはもう諦めたのだろうか、騎士とはこうあるべきと直立している。
「ああ、そうだ、ペシェ。一つ相談があるんだけど」
「その、なんでしょうか?」
「いやぁ、魔王様って言われてもなんというか、距離をとられているようでさ。もっとフレンドリーにいかない?」
「そう言われましても、これが性分なので……」
 困りましたね、と俯かれてしまった。

「今は私だけの魔王軍ですが、じきに戦力がそろい、統率が必要になります。側近の私が甘えたような口調で話せば、周りに示しがつきません」
「わかった。わかった。しばらくはそれでいい。呼びたいあだ名ができたら、そのときは好きに呼んでくれ」
「はい。しかし、そんな日が来るとは思えませんが」
「それで、風呂はどうする?」
「ご入浴の際には、その……近くに、例の湖がありますので。湯殿ができるまでは、そちらを」
 顔を真っ赤にして続けるペシェ。
 まあ、お互い、すっかりばっちり見ちゃった仲とはいえ、初々しくて、つい頬が緩む。

「む。魔王様、なにかいやらしいことをお考えでは?」
 チンと腰のレイピアを鳴らす、俺の姫騎士。
 ちょっと怖いです。

「だけど、版飯を作るにも、キッチンがあれじゃな。まずは掃除するか?」
「うっ。しかし、その私は……」
 ペシェはなんとも語尾がはっきりしない。
「腹も減ってきたし、急ぐぞ、ペシェ!」


 ……といさんで、キッチンの掃除をはじめたわけだが。

 パリーーーーーン!

 本日、三回目の破砕音が鳴った。
 うっかりと手をすべらせたペシェが陶器の壺を割ってしまったのだ。

「片付ければ片付けるほど、物がなくなり、ゴミだけが増えていく。なぜだ!?」
「……面目ございません」
 先ほどまでの覇気はどこに行ったのか、すっかり涙目になってしまったペシェ。
 お嬢様っぽいとは思っていたが、どうやら筋金入りの家事不得手。

 はっきり言えば、仕事させるだけ邪魔。。。

「ん。もういい。掃除は俺がやろう。ペシェはなにか街で食えそうなものを買ってきてくれ」
 正直、彼女に料理を作ってくれとは怖くて言えない。
「明日から本格的に冒険できるように、なんとかするから」
「はい……。わかりました。かわりに全速力で行ってまいります! それでは!!」
 ピンクの髪をたなびかせ、返事も待たずに走り去ってしまった。
「さて、早めに家事のできる戦乙女を召喚しないと、俺が家政婦になっちまう」
 大きくため息を零してから、彼女が作ったゴミの山に立ち向かった。


 一時間は経っただろうか、ゴミを片付け、雑巾がけをしていた魔王・鷹丸の元に忠臣ペシェが帰ってきた。

「ただ、いま……帰り、ました。まだ、少しは、温かい……かと」
 息を荒げ、汗だくになったペシェは茹でただけのソーセージを六本、持っていた。
 ここの世界の標準的な金額はわからないが、あまりにも貧相な夕食だ。

「もしかして、ペシェもお金を持っていないの?」

「先日、実に可愛いパジャマが売られていたので、ずいぶん高いと思ったのですが、買ってしまって。お財布には銅貨しありませんの……」

「たぶん、絶対、ぼられてるな」

「はぁ。魔王様にこんなお食事しか届けられず、申し訳ありません」
 すっかり意気消沈してしまったペシェ。
 なんだかイジメているみたいで、可哀想になる。
「ま。気にすんなって。明日からダンジョンで稼いで挽回しよう。お前は俺の剣なんだろ?」

「は、はい。魔王様! このペシェ・アントワーヌ・ド・ヴィエルジ・ラ・アルシオン。必ずや、お役に立ってみせます!!」

 急に元気を取り戻した彼女の頭をぽんぽんと撫でてやる。
 ちょっとお高くとまってるけど、なんとなく犬っぽいというか、甘えさせたくなるタイプだ。
「く、くすぐったいです、魔王様。私は、そんな子供では……」
「俺がしたいからしたの。買い物、ご苦労さん」
「まったく、強引なのですから。でも、少しはお役に立てて、よかった」

 そう微笑んだ彼女はやっぱり可愛くて。
 結局、俺たちはテーブルで向かい合い、仲良く三本ずつ、ほんのりと温かいソーセージを食べた。


 そして、夜の帳が降りて――
 あいにく寝室の掃除はできていない。
 そんでもって、ベッドは一つだけ。
 いやぁ、参ったね。これは。

 いやーーーーーーーーーーーーっ、本当に参ったわ、これは(ニヤリ)
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