第2話 インストール
昔のネットサーフィンはタブレットやディスプレイをスクロールして眺めていたらしい、だけど今は“本当に”ネットワークの世界へ入る事が出来る。
2020年頃にVR技術が発展し、ゲームの世界等に入るだけでなく他の電脳空間への複数のアクセスが出来るようになったのである。
これはどこにいてもそこへアクセスすれば会ったり話しをすることが出来るようになり、従来のチャットやテレビ電話といった物より優れたものでそれによって産まれた利益は一国家のみならず、世界的な規模の高度経済成長期へと向かわせた。
そして…………それを可能とした物が 『VRヘルメット』 これを被り、専用の機械に繋ぐことで文字通り電脳世界へ潜る(ダイブ)することが出来る代物だ。
もちろん経済が成長するだけで無く本来の目的であるゲームの遊べる幅も大きく成長した。
時刻 20XX年 6月13日 19時59分
待ちに待って待ちわびまくったこの日がやってきた…………!!
俺は逸る気持ちを抑えながらVヘルを被り、自分のVRルームに行きファンタジーソリューションの仮アクセスキーを入力してダイブした。
仮アクセスキーはファンタジーソリューションの公式ページから配布されていたものだ。
ただ普段と違う所はだいたいこういった物は受け取るだけなので遅いと感じることは無いのだが若干のラグがあったため、きっと沢山のそれも想像を絶する以上のアクセスがあったのだろう。
俺は一体どれほどの人達がこの日を待ちわびていたのかと思い期待と緊張を膨らませていた。
20時00分 ファンタジーソリューションインストール開始可能時刻。
これほどまでに時間を長く感じたことは無いと思いながらファンタジーソリューションをインストールした。
「これからファンタジーソリューションβをダウンロードをします。お手元のVRヘルメットの充電にご注意ください。お時間は10分程度です。」
いつものダウンロードの定型文を聞きながら少し意識がぼーとしていることに気が付く、興奮や緊張をし過ぎているのだろうか。
俺はまずサーバーが落ちてないことに安堵しながら落ち着くために気を紛らわせることにした。
片手でディスプレイを開きネットでファンタジーソリューションの評判を見る。
そこには高評価がたくさん有り、皆一同にファンタジーソリューションへの期待を膨らませていた。
「いやーやっぱりアツいよな! 早く俺も入りたいぜ!! でもなんで誰もβバージョンのことを言わないんだろ………?」
暫く見続けていたが誰も入れた!という情報は見つけられなかった。
そしてファンタジーソリューションがインストールが完了して開こうとしたその瞬間。
それは起きた。