第零話 「プロローグⅠ~全てはここから~」
――今、天変地異の真っ只中に居る俺達は
この先に待ち受ける、とても大きな、とても悲しい、そしてとても美しい物語を
心の何処かで待ち続けていたのかもしれない。
だからこそ俺は、受け入れることにしたんだ。この世界の終焉を。
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全身に力が入らない。俺は成す術もなく地面に倒れる。ダメだ……このままじゃ、ダメなんだ。
地面に血溜まりが出来る。身体から血が流れる度、腹の奥底が熱を帯び、意識は遠のく。
立て、立ち上がれ。せめて、アイツを。アイツだけは、殺さなければ。
――俺から、この世界から、すべてを奪ったアイツを。
「……ぐふッごほッ!! ……待………て……ッ!!」
「ではではでは、世界の終焉をお楽しみ下さいまセ」
そう言うと、ヤツは手に持った無装飾のナイフを逆手に持ち替える。そして足元に横たわる彼女へ向けて腕を振りかぶった。
綺麗な弧を描いて振り下ろされるナイフは、吸い込まれるように彼女の心臓へと向かう
「やめろぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
せめてもの抵抗をと、熱を帯びた身体を震わせ、絶叫する。声と同時に、血塊が口から噴き出す。
喉が痛い。苦しい。熱い。辛い。それでも、叫ぶことをやめない。やめては、いけない。
しかし、その声がナイフを止めることはなかった。
勢いよく振り下ろされたナイフは、無慈悲に、彼女の軟らかな皮膚を突き破り、真っ赤な心臓を貫く。ドクンドクンッ、と動いていた心臓は、やがて活動を停止する。それを見て満足したのか、悍ましい声を響かせてヤツが笑い出す。
「あは、あは、あはははははははあっはははあっはあはハ!!!」
そして、そのナイフを……何度も、何度も、何度も何度も何度も彼女の心臓へと突き刺す。
「この野郎ぉぉ……ッ!!」
どうしようもない怒りが、憎しみが、悲しみが、全身を駆け巡る。
俺は、何もできなかった。考えが甘かった。意思が弱かった。
それまで己がしてきた甘い行いのすべてが憎い。どうしようもなく、憎い。
全てを糾弾するように、俺は叫ぶ。
大切な人を奪ったアイツを、俺は絶対に許さない。
「このぉぉぉぉおおおおお!!殺すッ!!殺す殺す殺す殺す!!絶対殺す!!この野郎ぉおおおおお!!殺してやる!!俺が!!てめぇを!!殺してやる!!絶対に!!絶対にだ!!ぜってぇお前を殺してやるぅぅぅぅぅっぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
俺は諦めない。どんなことがあろうと、決して、絶対に、諦めない。
それが、たとえ世界の終わりを意味していても。
友達と休み時間に考えた趣味全開のお話です。
展開と更新頻度がスローペースですので、気長に読んでくださいね
誤字脱字、感想やアドバイス等いつでもお待ちしております。