涙
ピンポーンピンポーン
1人で泣いてたら、いきなりインターホンが鳴った。こんな時間に、なんで。
「はい……」
【あ、花野マイさんのお宅ですか?】
そこには、さっき会ったばかりの同年代の男子がいた。
「あ、朝緋くん!?」
【あ、いた!】
私は、ケータイをとってすぐに外にでた。
私を見た朝緋くんは、ぎょっとしていた。
「ど、どした」
「え、あ、うん……、なにもないよ」
目が腫れてたの、忘れてた。
どうしよ、なんか心配させちゃった……。
「あ、これ。うちに忘れてた」
手渡されたのは、定期券だった。
「あ、ほんとだ。わざわざありがとう」
「……どうしたんだよ」
「……ちょっとね、いろんなこと思い出しちゃって」
朝緋くんは、ぽりぽりと頬をかいた。
「……相談、しろよな。なんかあったんなら。親に言えないことなら友達とか」
「……うん……」
「お前は1人なんかじゃないんだから」
1人じゃ、ない……?
その言葉に、また涙が出てきてしまった。
「え、ちょっ、おい」
涙が止まらない。どうしよう、絶対引かれてるよね。
朝緋くんは、私の頭をポンと叩いて、
「俺もいるんだから」
と笑顔で言った。
彼の背景が、オレンジ色に染まっていた気がした。