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君が隣にいれば。  作者: 星野 美織
花野 マイ編
4/5

1人

「……ごめん、マイ、ちょっと頭痛い。帰るね」

凛奈は赤く腫れた目を擦り、疲れたようにそう言った。

「うん。大丈夫? 家まで帰れる?」

「大丈夫だよ。また明日。ばいばい」

大丈夫かな。

そう思いつつも、私はまっすぐ家に帰った。

---------

「ただいまー」

誰も応える訳がない。

だっていつも私1人だから。もう慣れたよ。

ずっと1人。これからも1人。

「ただいま」と言っても「おかえり」の声はない。

本当に、1人なんだ……。

《真衣香》

急に名前が思い浮かんだ。

私の、姉……、になるはずだった人。

本当は、私にも姉がいたんだ。

《ねぇお母さん。この写真に写ってるのはあたしなの?》

《そうね、この子はマイにとても似てるわ。この子の名前はね、真衣香。あなたのお姉ちゃんになるはずだったんだけどね、マイが生まれる1年前に病気で……》

そのお母さんの言葉の続きは、あの頃はわからなかった。

《それで、いま、真衣香ちゃんは?あたしのお姉ちゃんはどこにいるの?》

真衣香。私の名前はおそらく真衣香の"まい"をとってつけられた名前なのだろう。

もし、お姉ちゃんがまだ生きていたら、こんな思いをすることはなかったのかもしれない。

なんで、お母さんもお父さんも、お姉ちゃんも悪くないのに、なんで泣いてんの?バカだなぁ。

「……っ」

涙が止まらない。

なんで、こんなにも寂しいんだろう。

ねぇ、誰でもいい。誰でもいいから……

「私を、1人にしないで……っ」



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