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試験前

 スザクがハンターになってから、約3年がたった頃だった。ハンターになった当時はD級だった彼は、現在A級ハンターになっていた。それと同時に、B級サポータにもなっていた。

 スザクの現在の目標。それはS級ハンターになることだった。

 そして、S級昇格試験まで後二日と迫った日のこと。ギルド内で営業しているレストランには四人の人物が一つのテーブルを囲って座っていた。


「いよいよ、明後日か。S級昇格試験」

「はい」

「あれから、3年か」

「……早いものですね」

「あの頃には想像出来なかったな。スザクがS級昇格試験に挑戦だもんな」

「はははは、それにククルさんも昨年無事にS級に昇格したじゃないですか」

「まぁ、俺の場合はやっとだけどな」

「二人も立派になってきたな」

「ゲオルクさん……」

「今日は私の奢りだ。好きなだけ頼むといい」

「良いんですか?」

「あぁ、構わないよ」


 ゲオルクの奢りである事が分かると、スザク達は色々な料理を注文していく。


「スザクさんは、凄いですね。3年でS級昇格試験への挑戦ですか」


 四人の中では最年少で、つい先日ハンターになったばかりの新人であり、ハンターとしてのランクはE級からのスタートとなった少年である。名をヴェルナーという。


「何を言ってんだよ。俺はまだまだよ」

「謙遜しないでくださいよ、あ、そうだ。明日の事なんですけど……」

「明日?」

「はい。その行きたいクエストがあるんですが、良ければ付き合ってもらえないかと……」

「……悪いな。明日は試験に備えて、色々と準備がしたい。すまない」

「そうですか。それなら仕方ありませんね」

「あぁ、分かった」

「私は少し、外の空気を吸ってくる。皆で楽しんでいてくれ」

「分かりました」


 ゲオルクはそう言って、ギルドを出ていく。


 ◇ ◇ ◇


「もうすぐですよ、アカツキさん。貴方の息子が明後日S級になります。どこで何をしているんですか。スザク君は貴方を探しています。手紙くらいよこしてくださいよ」


 ­ゲオルクは外で空を見上げながら、ここにはいない恩師の名を口にしていた。


 夜は更けていく。


 ◇ ◇ ◇


 スザクS級昇格試験前日。

 陽が登り始め、小鳥のさえずりが聞こえ始めた頃、目を覚ました人物がいた。陽に照らされた赤い髪に薄い黄金色の髪を混ぜた人物の姿だった。そう、スザクである。

 翌日の試験に備え必要なものを纏めていた。


「うーん、足りないものは消耗品か。後で、買いに行っとかないと。それとこの太刀も持って行かないと。試験で使う必要はないけど、お守りとして。後は、大丈夫だな。とりあえず買い物か」


 スザクは、簡素な服に着替えると部屋を出て村の道具屋に向かった。


 道具屋に行くと、ここの一人娘であるカイリちゃんが店の中で椅子に座っておもちゃで遊んでいた。


「あ、スザクのお兄ちゃん。おはよう。今日は何しにきたの?」

「うん、おはよう。早起きだね。カイリちゃん、おじさんはいる?」

「お父さんなら、おくにいるよ?」

「じゃあ、ちょっと呼んできてもらえる?」

「うん、分かった」


 そう言って、しばらくすると道具屋の店主が出てきた。


「お、どうした今日は何のようだ?」

「えっと、明日からの試験に備えて、消耗品を買いに来たんですけどね」

「明日からか、試験って1週間くらいだっけ?」

「だいたいそのくらいだったかな」

「じゃあ、色々と必要だな。よし特別に今日は全品半額だ」

「それ大丈夫なんですか」

「おう、大丈夫に」

「何が大丈夫なんだい! また勝手に半額にして! あたしの目が黒いうちは勝手は許さないよ!」


 店の奥から女性が怒鳴りながら出てきた。店主の奥さんだ。


「あら、なんだスザクかい。全品半額どころか欲しい物タダで持っていきな」

「な、なに勝手な事言ってんだよ!」

「なんだい、文句あんのかい?」

「いえ、ないです。そういう事だからタダでいいぞ」

「さすがにそれは悪いですよ。それにそんなに多くはないんで」


 さすがにタダでは悪いので一応半額分の値段を払って消耗品を買い揃えた。


「明日から1週間もいないんじゃ村の子供たちも寂しがるな」

「そうですね、でも1週間なんてあっという間ですよ」

「まぁそうだけどよ。子供らにとってみたら1週間は長いからな。だから、これは俺からの頼みじゃないけど村の子供たちと遊んでやってくんねぇか?」

「ハンターへの依頼でしたら、ギルドに出してくださいよ」

「おい、勘弁してくれよ」

「冗談ですよ。それくらいでしたら、いつでも引き受けますよ」

「でも良いのか。この後の予定は大丈夫なのか?」

「ええ、大丈夫ですよ。元々今日は予定は入れてませんから」

「そうか。と言っても、まだ陽が昇り始めたばかりだから完全に陽が昇ったら頼むわ」

「分かりました。じゃあまた後で」

「おう」


 そう言って一度自室へと戻る。

 陽が完全に昇った頃、再び道具屋に行くと村の子供たちが待っていた。


「お、来たか。村の子供たちは全員集まってる。頼んだぞ」

「分かりました。じゃあ、行こうか。みんな!」

「「はーい!」」


 子供たちを連れて村の広場に向かうと、追いかけっこやかくれんぼなどの遊びをして、陽が暮れるまで楽しい時間を過ごしていた。


「さてと、そろそろお家に帰ろうか」

「やだ、もっと遊びたい!」

「まだ遊び足りないよ〜!」

「うーん、でもお家の人たち心配するよ」

「でも……」

「じゃあ、また今度遊ぼう」

「今度っていつ?」

「そうだな。1週間後かな。それまで我慢できる?」

「うー、本当に1週間後にまた遊んでくれるの?」

「もちろん。約束できる?」

「……うん」

「じゃあ、約束。1週間後また遊ぼうね」

「「うん!」」


 そうして、子供たちを一人一人家に送って行く。


 そして、S級昇格試験当日。

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