お題:カウントダウン 「天ぷら」(未完)
「3……2……1……よしっ」
油からさっと上げて、網に盛り付けたら、天ぷら盛り合わせの完成。
揚げたてのししとうはほんのりと香り立って、かりかりした衣は思いっきりかぶりつきたくなるほど、キラキラと輝いている。
「じゃあ、加奈ちゃんもやってみよっか?」
「はっ……はいっ!」
うっかり見入るのも束の間、沙織さんから箸を手渡されて、私の番。
水気をしっかりとって、下粉をつけたら、衣はさっと絡めて。油に浸すときはそうっと優しく、油の近くで、衣が華を咲かせるように。
浸したところからぱあっとはじける泡立ちは、ぐつぐつと油が衣を作るたびに、少しずつ、少しずつ弱くなって……ぴったりと、同じ間隔になった、ここから。
「3……2……1……えいっ!」
さっと上げて、出来あがり。
「どうで、すっ……か?」
「あふっ、あふふ……ふぇ?」
緊張いっぱいで沙織さんを見ると、さっき自分で揚げた天ぷらをほくほく食べていた。
「あふ、あふ……ふう。ごめんね、食べてた」
「……そんな満面の笑みで言われましても」
「じゃあ、加奈ちゃんのも味見してみるね」
さてさて、と言いながら、一口でぱくり。
「ほふ、ふむふむ…………んっ」
「……ど、どうでしょう?」
「……ぜーんぜんだめ!」
「やっぱりー!」
まにあわない。