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四日目 事件発生1

ペースを上げるという自分の言葉をどこへやったのか。。。前回から間が空いて申し訳ないです。

 色々なことを考えすぎて疲れていたせいか、翌朝はドアのノックと、もうすぐホテルの朝食が終わるという知らせで目を覚ます。


「うおお、まずい、はい、はいはい、起きました。今行きます」


 ドアの向こうのホテルのボーイに寝起きの声でそう言って、ベッドから飛び起きる。


 危ない危ない。下手したらロウトンへの移動にも遅れるところだった。

 慌てて身づくろいをしてレストランに行くと、もう既に客の姿はほとんどない。数名が食後のコーヒーを楽しんでいるくらいだ。その数名の中に、明らかにまだ半分くらい寝ている状態のヴァンの姿を見つけたのでこれ幸いと近寄っていく。


「どうも、ヴァンさん」


「ああ、ココア」


 大あくびをしてからコーヒーを口に運び、


「眠い……遅かったな」


「いやあ、寝坊しちゃいましたよ」


 へへへ、と照れ笑いしているとウェイターがメニューを手にやってきたので、


「えーっと、このセットでお願いします」


 と注文してから、改めてヴァンに向き直る。


「何か分かりました?」


「ココア、意味がよく分からないんだけど、寝て起きたら何か分かることってあるの?」


 伸びをしたヴァンは、テーブルに折りたたまれた紙を広げる。

 何かと思えば、それは地図だ。それも、ロウトンの。ぱっと見たところ正確な地図ではなく、かなり雑な地図で、しかも何か色々な情報も地図上に所せましと載っている。よく見れば、美術館の場所と、その美術館の情報が書き込まれた地図のようだ。つまり、これは。


「ホテルのフロントでもらってきた。観光用のパンフレットと一緒にな。これがあれば――」


「今日と明日の予定がたてられますね。あ、ありがとうございます」


 運ばれてきたプレートを受け取り、さっそくパンにかぶりつく。


「起きたばっかりだろうに、凄い食欲だな」


 呆れるヴァンに、


「急いで食べないと遅れちゃうじゃないですか。もうすぐ出発でしょ?」


「ああ。でも、結局のところ、ほとんど全員ばらばらで移動するみたいだからなあ。多少遅れても何とかなるんじゃない?」


「え、そうなんですか?」


 スクランブルエッグを一口。


「うん。どうも、月華劇団のスターたちの護衛やプライバシーの尊重も兼ねて、移動は全員まとめてスケジュールが組まれてたらしいけど、ここからロウトンは大した距離じゃないからなあ。徒歩でも一時間程度だろ? だから、自由にさせてほしいってハルルやらルイルイからリクエストが出たんだってさ」


「はあー……慌てて損した」


 そういうことなら、と一気に食べるスピードをダウンさせる。味わって食べよう。


「それで、だ。ココア。この地図だが」


 コーヒーを飲みつつヴァンは広げた地図をとんとんと指で叩く。


「ああ、はいはい。どこの美術館巡るか決めないといけないですね。僕的には、有名な『太陽の美術館』って言われる咲夜記念美術館に――」


「別に俺はそれでもいいけど、ココアは気になってるんじゃないの?」


「えっ」


 何が?


「劇だよ。どうせ美術館を巡るなら、ほら、大体どんな美術館かの情報も書かれてるし、まずはここで可能性ありそうなものに絞ってから、どんなもんか実際に行ったら面白いんじゃない?」


 何の話だろう。寝起きだからかまだ頭が働かない。


「はあ」


 と気のない返事をしながら、コーヒーにたっぷりと砂糖と入れて、ゆっくりとそれを飲み下す。飲んでいるうちに、コーヒーの熱さと苦みが眠気を吹き飛ばし、糖分が脳にまわって、そうしてだんだんとヴァンの言っていることの意味が分かってくる。


「ん、んんん、ん……ああー! そういうことですか」


 興奮して思わず声が大きくなる。


「そうかそうか、あの劇の舞台になっている美術館――あれだけ現実とリンクさせてるんだから、当然現実のロウトンにあるかもしれないですよね、そのものじゃなくてもモデルとか。なるほど、まずはその候補をこの地図で絞り込んでから、実際に行って芸術鑑賞しながら本当に劇の舞台かどうかも調べる……いやー、最高じゃないですか、ヴァンさん。なんだなんだ、こんな超面白そうな企画を立ててたなんてー。月華劇団の許可もいるでしょうけど、この話丸ごと記事にして連載にしても面白そうですよねー」


 記者魂が燃えてくる。

 メモも足りなくなるだろうから、買い足さないと。ロウトンにもあるだろうけど、一昨日買った店があるんだからどうせならこっちで移動前に買っておくか。ついでにペンも。


 そうと決まれば、とまた食べるスピードをアップしてあっという間に平らげると、プレートを下げてもらって地図に集中する。さて、どの美術館が怪しいか。


 あまりにも一気に食事をかきこみ、地図に顔をくっつけんばかりに集中する僕の姿に思うところがあるらしく、明らかにヴァンの若干引き気味の視線を感じる。だが気にしない。


 呆れるなら呆れろ。これが敏腕記者、ココアの生き様だ。

すぐ次を今度こそ……!

あと、ペテン師4もよろしくお願いします。

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