第0話 プロローグという名の語り場
この作品は、本編世界再生の執筆練習の為に作りました。気軽に書く以上、いい加減になっていまうかもしれませんが、暖かい目でご覧いただけると幸いです。
2013年4/7 全話大々的に変更しました。すみません。
日常。それは往々にして至福の時を表す定義の一つとも言える。
そもそも幸福とは何か。
何かを支配する愉悦や性的快楽、成し遂げた爽快感。または、遊興の満喫や飲食の満足なども幸福に当たる。所詮は、人個人の概念の一つに過ぎない。高校生なら恋愛や夢だろうか?どうにせよ滑稽な話だ。
人は、変わる毎日の中で其々の幸せを見つけ出してゆく。故に、幸せに数は無い。誰もが持ち、誰もが望む幸せは、誰もの傍にある物なのだ。要は其者の心次第。だが、幸せは長続きを望んでこそ価値はある。一時の幸せで満足できる者の居るだろう。だが、本人の意思の今髄には、もっと長く続いて欲しいという願望は必ずと言ってよい程存在する。長く続く幸せ。それこそ、己が称する幸福な日常なのだ。
しかし、恒久的日々が存在しない世界で、永遠など無意味な話だ。誰もが意識するまでもなく、日常に幸せは埋もれていく。これが人の慣れに繋がる。人は、身近にある幸せに気づかず、それでも幸せを求めて先を行く生物なのだ。
しかし、此処に他人によって幸福を掴む変わり者が一人。名は沙河誠。典型的な日本人的外観、肩まで伸び鼻にかかる程の長髪に加え、女顔という点を除けば何の変哲もない唯の高校生である。
彼にとって幸福とは、誰かの笑顔であり、その者が属する日常に値する。幸せの在り方を語る中で、彼は異例な事例である。彼にとっては自身の価値はそもそも論じておらず、常に誰か。に行動の指針が揺れ動く。
彼はそんな自分を理解しながらも、そんな日常を好み変化を嫌う。それは恋愛にしろ、争いにしろ然り。変わらない日常に含まれる人達との毎日を絶対の幸と定めている彼にとって、それを失うのは死に値する。
故に、争いを拒み争いに加担し、恋愛を拒み恋愛を求む。矛盾羅列の日々であった。
――だが、吉か凶か、彼の望む日常は予期せぬ形で瓦解する。無論彼にっては不幸な事例だろう。だが、変わらない日々という殻に閉じこもった彼を解放する一筋の光明にも成り得た。
彼にとって、これが不幸であるか幸福であるか、過ぎ去った先で何を思うか、今の彼には想像すらつかないだろう。最もそれを齎したのは自分である事に自身は気づきもしないが・・・
ルナという異分子を拾い飼うと決心したあの時に、既に運命という歯車は新たな部位に絡まり回り始めていたのだ。