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第3話:ライバルとの出会い


朝の空気はひんやりとして、街はまだ眠っていた。

ゆきみはゆっくりと窓の外を見つめる。

昨日のBランクダンジョン攻略は無事成功。

視聴者ポイントも順調に増え、心地よい疲労感に包まれていた。


「昨日はよくやったね」

たかしが背後から声をかける。

「うん…でも、今日も手を抜けないね」

ゆきみは小さく頷く。

彼女の目には、次の挑戦への決意が光っていた。


今回挑むのは、Bランク上位のダンジョン。

Cランクの次に位置する難易度で、Aランク直前の調整階層でもある。

報酬も多く、ギルドランキングに大きく影響するため、

ランキング上位を目指す二人にとって重要な試練だ。


ダンジョン入口は、都心から少し離れた廃工場地帯。

高い壁に囲まれ、薄暗い空気が漂う。

入口には、すでに何人かの探索者が集まっていた。


「……あれ?」

たかしの視線が一人の少年に止まる。

彼はスリムで整った顔立ち。

黒いコートに身を包み、無言で地図を見つめている。


「今日のライバルかもな」

たかしの小さな呟きに、ゆきみは胸が少し高鳴った。

異世界の勇者として戦った彼女でも、

現代のランキング戦では未知の敵が存在する。


二人は息を合わせて入口に足を踏み入れる。

内部は湿った石畳、壁には古代文字が刻まれている。

魔力のようなものは感じないが、空間全体に不穏な気配が漂う。


「まずは周囲を確認して、安全ルートを探そう」

ゆきみは冷静に指示を出す。

たかしは背後でモンスターの足音を耳に集中させ、

その動きから戦術を組み立てていく。


最初の部屋で、小型モンスターの群れが襲いかかる。

Bランクとはいえ、油断すれば危険。

ゆきみは異世界での経験を思い出し、モンスターの動きを読み取る。


「左の通路を使って誘導するわ」

たかしが頷き、二人は連携して敵を翻弄する。

配信カメラ越しに視聴者も熱狂している。

「戦術がすごい!」

「初心者じゃないな!」

コメント欄が盛り上がるたび、ゆきみは少し微笑む。


次の部屋には、罠が複雑に仕掛けられていた。

一歩でも間違えば、致命的なダメージを受ける。

ゆきみは慎重に足元を確認し、罠の範囲を測定する。


「ここは…慎重にね」

小さな声で呟き、ゆきみは異世界で培った観察力を発揮する。

たかしも後ろで警戒を強め、二人は連携して進む。

視聴者からは、二人の慎重さを称賛するコメントが流れる。


深層に進むと、階層の奥で大型モンスターと遭遇した。

その姿は、先ほど見かけた黒いコートの少年も目を留める。

「やはり、あの二人か…」

少年は独り言のように呟き、戦闘態勢を整える。


戦いは一触即発の緊張感に包まれた。

ゆきみとたかしは知略で敵を誘導し、罠や地形を活かす。

黒コートの少年もまた巧みに戦術を使い、二手三手先を読んでいる。


「今だ! 左に誘導!」

ゆきみの指示で、たかしが動く。モンスターは意図通りに罠にかかる。

視聴者からは歓声が上がり、配信ポイントが急増する。


しかし黒コートの少年も負けてはいなかった。

彼は冷静に状況を分析し、巧妙な迂回戦術で二人の動きを封じる。

「やっぱり、手強い…」

ゆきみは心の中で呟く。

封印されている力では、直接の力比べは難しい。


だが、異世界での経験と戦術的思考を組み合わせ、

二人は心理戦に持ち込む。

視聴者のコメントも、戦略のヒントを与えてくれる。


「少しずつ誘導して…罠で動きを封じる」

ゆきみの指示で、たかしが動き、黒コートの少年も慎重に進む。

互いの頭脳戦が、ダンジョンの奥へと押し上げていく。

勝敗は一瞬の判断にかかっていた。


最終部屋にたどり着くと、ボス級モンスターが待ち構えていた。

黒コートの少年も同じ部屋に入り、三つ巴の戦いが始まる。

力で押すのは不可能。頭脳と経験、地形と罠の駆け引きが試される。


「今よ、たかし! 右から誘導!」

二人は声を合わせ、モンスターを罠に誘導する。

黒コートの少年も素早く対応するが、罠の配置が彼の計算を少し狂わせた。


最終的に、二人は協力してモンスターを倒すことに成功する。

配信カメラ越しの視聴者は絶賛のコメントで溢れ、

ゆきみは初めて感じる達成感と高揚感に胸を打たれた。


「……やったね、たかし」

「うん、でもまだ序盤さ。あの少年もライバルになる」

互いに微笑み、次の挑戦を見据える。


ギルドランキングには、初挑戦でポイントが加算され、

二人は中位から上位圏に食い込む。

ランキング1位はまだ遠いが、希望の光が見えた瞬間だった。


外の光が二人を包み、街のネオンがダンジョン入口を照らす。

新たなライバル、次の戦略、そして視聴者の声。

封印勇者・逢坂ゆきみの現代での挑戦は、

確実に次の段階へと進んでいった。


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