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第2話:初めてのBランクダンジョン


朝の光が、窓からゆきみの部屋に差し込む。

昨日の初配信の余韻がまだ心をくすぐっていた。

彼女はゆっくりとベッドから起き上がり、深呼吸する。


「よし……今日は本格的に行くわ」

自分に言い聞かせるように、ゆきみは小さく頷いた。

大輝はすでにPCの前で、ダンジョン情報を解析していた。


「今日のターゲットはBランクだよ。リスク高めだけど、

報酬も視聴者ポイントも大きい」

大輝の指先が画面を滑る。モンスターの配置や罠、

階層構造が3Dマップで表示されている。


「うん……でも、私、弱いままだし」

ゆきみの声は少し震えていた。

しかし、真壁たかしが玄関先で笑顔を見せる。


「大丈夫、ゆきみ。君は頭がいいし、経験もある。

戦う力は弱くても、工夫でカバーできる」

たかしの言葉には説得力があった。

異世界で戦った勇者の姿を思い出すと、心が少し温かくなる。


二人は装備を整え、ダンジョン入口へ向かった。

都心郊外の古びたビル群の一角に、Bランクの入り口が浮かぶ。

光を帯びた空間がぽっかりと口を開けていた。


「さあ、行こう」

ゆきみは剣型のバトルアプリを握る。

封印されているため本物の力は使えないが、

頭脳と経験で戦うことを決意していた。


ダンジョン内部は薄暗く、湿った空気が漂う。

足元の石が軋み、どこからともなく呻き声が聞こえた。

配信カメラを起動し、視聴者に向けて話しかける。


「みなさん、こんにちは。逢坂ゆきみです。

今日はBランクダンジョンに挑戦します!」

コメント欄にはすぐに視聴者の反応が流れ始める。


「緊張するけど、楽しんで行こう」

ゆきみは深呼吸をして、慎重に足を進める。

たかしは後ろで周囲を警戒し、地形やモンスターの動きを解析する。


最初の部屋に入ると、小型モンスターが群れをなして襲いかかってきた。

ゆきみは剣型アプリで攻撃を仕掛けるが、封印されているため力は弱い。

しかし、モンスターの動きを冷静に観察し、迂回路を発見する。


「ここを通れば安全だわ」

ゆきみが指差すと、たかしが頷く。

二人は連携して、モンスターの群れをかいくぐる。

配信者としても、視聴者がコメントで応援してくれる。


「すごい! 戦略的!」

「初心者なのに頭いい!」

コメント欄が歓声であふれ、ゆきみの緊張は少しずつ和らいだ。


深層に進むと、罠が仕掛けられた通路に出くわす。

「この床…怪しい」

ゆきみは異世界で培った観察眼で判断する。

小さな石を踏んで、罠の範囲を測定する。


「よし、安全に通れる」

たかしも同意し、二人は慎重に進む。

罠を避けることで、視聴者の注目がさらに高まる。

配信ポイントも順調に増えていった。


やがて、階層の奥で大型モンスターと遭遇する。

その姿は視聴者のコメント欄に緊張感を与える。

「これは…強敵ね」

ゆきみは剣を握り直し、心を落ち着ける。


戦闘は力任せではなく、頭脳戦になった。

モンスターの動きを読み、たかしと協力して罠や地形を利用する。

一瞬の判断が、命運を分ける。


「今だ! 右に誘導して!」

ゆきみの指示でたかしが動く。モンスターは罠にかかり、

二人は辛くも突破に成功した。

視聴者からは歓声と称賛のコメントが流れ続ける。


「やった…」

二人は肩で息をしながら、互いに微笑む。

この感覚――封印されても、戦略で戦える喜び。

それが現代のダンジョンでの戦いだった。


帰還時、ギルドに報告するためポイントを送信する。

「ランキングは…?」

画面に表示された数値を見て、ゆきみは驚いた。

Bランク初挑戦で、すでに中位に食い込んでいた。


「まだ力は封印されてるのに…これならやれるかも」

ゆきみは心の中で決意を新たにする。

異世界の勇者としての経験と知識、現代の戦術、配信者としての工夫。

それらを駆使すれば、ランキング1位も夢ではない。


「たかし、次はどのダンジョンに挑戦する?」

「うーん…次はAランクの手前のCランクに挑戦しよう」

二人は肩を組み、次の挑戦を楽しみに歩き出す。


外の光が二人を包み、街のネオンがダンジョン入口を照らす。

新たな挑戦、新たな戦略、新たな配信。

封印勇者・逢坂ゆきみの物語は、少しずつ現代に溶け込みながら進んでいく。


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