第5話 入る前に
「どうかな?」
「凄い動きやすいですね」
冒険者の街の広場でユウとフウアはいた。が、ユウの恰好は今までと違う。長ズボンにフード付きのローブに、長い服。それと、白いシューズ。背にはリュックサック、腰には剣を差しており、身軽な恰好をしていた。
「でも、服変えるだけでもこんなに違うんですね」
「えぇ。しかも、服には効果もあるの。ステータス開いてみればわかるわ」
ユウはフウアに言われ、ステータスを開いてみる。そこから、装備の欄を見つけた。
*****
装備
・足長花の皮服
概要
足長花の皮から作られた服。材料名とは裏腹に見た目は普通の長袖。衝撃が和らぐ効果付き。
・フード付きローブ
概要
冒険用のローブ。フードを被ると、気配を多少隠せる。
・青豹の皮ズボン
概要
青豹から作られたズボン。見た目は普通のデニムのようなズボン。やや動きが早くなる。
・白猪のシューズ
概要
白猪から作られたシューズ。見た目は普通のスポーツ用シューズ。やや動きが早くなる。
・魔法効果つきリュックサック
概要
リュックサック。見た目より、色んな物が入る。
・雪結晶の剣
概要
雪結晶から作られた片手剣。非常に軽く誰にでも持ちやすい。
・治癒魔法薬
概要
小さな傷を治すことが出来る魔法薬。個数は3個。
*****
「色々あるんですね」
「そうそう。装備屋とか服屋で買うのもいいし、オーダーメイドでもらうのもありよ。とにかく、自分にあった装備や服を身に着けて、さらに能力を上げることができるの」
フウアの説明を聞きながら、聞きながらユウは思う。ゲームの装備を思い出すなぁと。ゲームの中では装備を自由に選ぶことが出来るのもあった。ユミノクスのゲームでは、装備の1つ1つに多少の効果があった。
何となく、既視感を感じつつもユウは気のせいだろうと判断する。
「じゃあ、ある程度準備もしたし、行こう」
「初心の森ですよね」
「そう」
初心の森。冒険者の街の東側に広がっている森。森内には、レベル1~11のモンスターがいる。これはどこの森も同じなのだが、中心に向かってくほどモンスターが強くなる。この森のボスであるモンスターのレベルは11。
冒険者になる前、冒険者になるためのレベル上げに使われる森。冒険者からしてみれば、この森くらいは余裕で探索できるそう。
「じゃあ、とりあえずまずは森の前まで行こう」
「分かりました」
ユウはフウアにそう言われ、初心の森まで行くことにした。
*****
初心の森前にユウとフウアはついた。なんか目印になるような物はなく、ただただ森が広がっている。おどおどしいところだなとユウは目の前の景色を見てそう思う。
「入る前にスキルと魔法、あと補正を確認しよう」
「スキルと補正」
ユウは最初にステータスを確認した時のことを思い出す。そういえば、そこにスキルと補正の欄があって、何かが書かれていた。やっぱり結構重要なのか、そう思いユウはフウアに聞いた。
「魔法はともかく、ほかのは結構、重要なんですか?」
「もちろん。スキルは手札にもなるからね。どんな能力か戦う前に確かめた方がいいわ。補正も同じような感じ」
ユウはフウアの説明に納得し、ステータスを開く。そこで、まず最初にスキルの欄を見た。
*****
スキル
・■■接続
レベル:100
スキル概要
■■に接続していることにより、魔法行使に対する妨害が効かなくなる。
*****
「あっ、これですか?」
「そう、それ」
フウアはユウのスキル欄を直視していた。その表情はどこか不思議そうにも見えた。これ、そんなに珍しいスキルなのか。
「珍しいスキル何ですか?」
「……まぁ、そうね。このスキルは見たことない。けど、それ以上に■■って何かしら……」
■に文字化けしていて見えなくなっている部分があった。確かに、これ何だろうとユウは思う。スキル概要を見る限り、何かに接続しているらしい。
これ、大丈夫な奴なんだろうか? あまりのよくわからなさにユウは不安に思う。
「スキル自体は結構強いと思う。まだ、魔法自体は使えないけど魔法を使う際の妨害が効かなくなるって結構なアドバンテージだから」
「そういえば、今まで出会ったモンスターって魔法みたいなの使ってましたけど、モンスターってだいたい魔法使えるんですか?」
「結構、モンスターのレベルによって違うよ。だいたい、レベル1~5くらいなら魔法は使えないけど、それより上は使ってくる。あっ、でも6以上でも使わないモンスターもいるから、まぁ個体次第かな」
「なるほど」
今まで遭遇したのは、たぶん場所的にレベル10あたり。だから、魔法をだいたい使っていたのか。ユウはそう納得する。
「少なくとも、今日の場所には魔法使えるのはいないかな」
確か、フウアは今日は初心の森でもかなり外側に行くって言っていた。たしか、外側はレベルは高くないらしい。初心の森にいるモンスターのレベルを考えると確かに今日は遭遇しないだろう。でも、ユウは安心することは出来ない。なぜなら、モンスターと対峙すること自体が怖いからだ。
「じゃあ、魔法を見よう」
フウアがそういうので、ユウは魔法の欄を見ることにした。
*****
魔法
・なし
*****
「ないかぁ……」
魔法の欄に書かれた文字を見て、ユウはがっくりとする。もちろん、何もしてないし、残当の結果なのはユウも分かっている。でも、少しぐらい期待していたのだ。
「フウアさん、魔法ってどうやって使えるようになるんですか?」
「主に2パターンかな。1つは魔導書で習得する。これがたぶん一番メジャー。もう1つが勝手に生まれる。これはいわゆるオリジナル魔法っていうの。ただ、これはあまりないかな」
「じゃあ、魔導書を見つければいいですね」
ユウとしては魔法が欲しかった。別にチートとか無双したいというわけじゃない。それは、とっくに諦めている。だが、剣術とかやったことない以上、魔法もあった方が安心できた。
そう思っているユウをフウアはどこか、申し訳なそうに見ていた。
「ユウの場合そう簡単に行かなくてね」
「?」
「とりあえず、補正の所を見てみて」
不思議に思いつつ、ユウは補正の欄へと行く。
*****
・魔法剣士補正
補正概要
魔法と剣術が使えるようになり、力と速さ、魔力に補正で+の数値がつき、クラスステータスに魔法と剣術が生える。
・闇魔法補正
補正概要
闇魔法が得意になり、数値も高く補正がつく。また、その他にも以下の制約がある。
・■■■■■■■■■■■■■
・■■■■■■■■■■■■■
・■■補正
補正概要
■■と接続しているため、クラスステータスの魔法の数値を闇魔法以外を吸収する。その代わり、闇属性の魔法の数値がかなり高く補正がつく。今回はかなり深く接続しているため、ほかの魔法の数値は0になるまで吸収される。
・■■汚染
補正概要
■■に深く接続しているとつく補正。■■に汚染され、一部の文字が自他ともに文字化けする。ただし、本人のレベル90が上がればこの補正は無くなる。
・□□□□補正
補正概要
□□によって授けられた補正。主に、HP・耐久の初期数値が上がる。□□は秘匿されている。
*****
「これですね」
「そうその■■補正を見てみて」
フウアに言われ、ユウは見てみる。補正概要にはこう書かれていた。
■■と接続しているため、クラスステータスの魔法の数値を闇魔法以外を吸収する。今回はかなり深く接続しているため、ほかの魔法の数値は0になるまで吸収される。が、その分闇魔法を使った場合は経験値がかなり高くなる。
……つまり、どういうことだ? よく分からないままとりあえず、ユウは見ているとフウアが説明してくれる。
「クラスステータスっていうのは、ようはどのくらい出来るかを表している。カンストは999で高くなればなるほど出来るようになり、逆に低ければ低いほど出来ない。クラスが魔法剣士と魔法使い、あと魔法補正がついている場合は闇魔法以外の魔法の所に最初からある程度の数値がつくの」
「……つまり、闇魔法以外が0ってことは闇魔法以外出来ないってことですか?」
「そういうこと。たぶん、本来はほかの魔法の数値もあったと思う。けど、■■に深く接続しているから使えないんじゃないかな」
フウアの言葉を聞きながらも、ユウは内心クソ補正がと呟く。フウアの説明的に本来は色んな属性の魔法が使えたんだろう。が、それがこの補正のせいで使えないようなったのだ。なんでだよとユウは内心毒づく。
そんなユウを励ますように、フウアは付け加えた。
「あっ、でもその分闇魔法が出来るようになるの」
「闇魔法ってどんな魔法なんですか?」
「……」
ユウの質問にフウアが黙った。今までにない様子にイヤな予感がしつつ、ユウはさらに聞いてみる。
「あの……、闇魔法って……」
「よく分からないの」
「?」
「闇魔法ってかなりレアな魔法でね。そもそも使えること自体が珍しいの。だいたいが0のままだから。だから、あんまりよく分かっていなくて、魔導書自体も何冊あるか、そもそもどこにあるのか、本当に存在するか分かっていないの」
「えっ、魔導書があるか分からないってつまり……」
「魔道書での魔法の修得は厳しい。もちろん、どこかの遺跡とか学園にあるかもしれないけど私もどこにあるか分からない。だから、オリジナル魔法が芽生えるのを待つか、闇雲に探すしかないの」
「そんなぁ~」
ユウは再び崩れ落ちた。そんなのあんまりじゃないか。気づいたら見知らぬ世界に来たあげく、魔法も使えるかも分からないんて。やったこともない剣術一本でどうしろと……。ユウはそう嘆く。
そんなユウをフウアは必死で励まそうと、さらに話す。
「でも、それ以外は強いから! ほら、この補正あるでしょ?」
フウアは□□□□補正と書かれているのを差す。ユウはとりあえず、その補正の概要を読んでみた。書いているのは、HPと耐久の初期数値が高いというような物。あと、何やら名前は一部隠されているらしいことだ。
「高いんですか、HPと耐久」
「うん。レベル1にしてはかなり高いよ。これなら、今から行く場所で長めに戦闘できるよ。それにスキルもいいし。剣術はこれから上がるから!」
「そうなんですか……」
そう言われると、少し気分が上がる。確かに、剣術は今あんまりでもこれから上がるかもしれない。魔法はしばらくは使えないだろうけど。とりあえず、やってみよう。ユウはそう思えるようになった。
「とりあえず、やってみます」
ユウはそう言い、初心の森の方を見る。まぁ、ともかくここで経験を積んでレベルを上げないとどうにもならない。とりあえず、ここで頑張ってみよう。ユウはそう思った。
気を取り直したユウの様子を見て、フウアはホッとしたようにした。
「えぇ、私もサポートするから」
その言葉とともに、ユウとフウアは初心の森に入っていく。これから出てくるモンスターに不安を覚えつつ、ユウは一歩一歩いていく。




