第9話 出来ることを
ユウは翌日、すぐに目が覚めた。というか、対して眠れなかった。あの後、フウアはブーゼンと一緒にちゃんと戻ることが出来たのだろうか。そう思うと、中々眠ることが出来なかった。
ベットから降りて、支度する。剣を持った後、部屋を飛び出た。そして、そのまま隣の部屋に行く。隣の部屋にはフウアが泊まっていたから。
日本のようにチャイムはない。部屋のドアをノックして、声をかける。
「フウアさん。おはようございます、起きていますか?」
周りに迷惑がかからないようにしつつ、なるべく聞こえるような声で言う。が、返答はない。物音も聞こえなかった。
まだ、寝ているのだろうかとユウは考えていた時だった。
「あっ、アンタがユウさん?」
横から声がした。ユウがそちらを見てみると、宿屋の人が立っていた。驚きつつ、ユウは頷く。
「そう。えっと、フウアさんから伝言よ。自分は大丈夫だから、休んでいて。だそうだ」
「あっ、ありがとうございます。フウアさんがどこにいるか分かりますか?」
「さぁね。かなり前にどっかに行ったわよ」
「そうですか。ありがとうございます」
ユウは宿の人にお礼を言った後、そのまま階段を降りていく。フウアは休んでいてほしいのはわかる。でも、ユウは何となくそれじゃだめだと思った。
とりあえず、何かするためのエネルギーを得るために、朝ごはんを食べることにした。宿に付属している食堂に行く。
ユウは空いている席に座り、とりあえずパンと豆のスープを頼んだ。何となく、日本でもありそうだと思ったから。人がそこまでいなかったのもあり、頼んですぐに来た。
「いただきます」
ユウは手を合わせて、そう呟く。ここが日本じゃないのは分かっているが、何となくそう言わないと気が済まなかった。そして、朝ごはんに手を付けた。
まずは、豆のスープ。たぶん、日本で言う所のコンソメが近いとユウは一口食べてそう思った。あっさりしていて食べやすい。美味しいなと思いつつ、ユウは食べていく。
次にパンを一口食べた。こっちも美味しいなとユウは思う。たぶん、ライ麦パンに近いであろう。
正直、食事にありつけるだけでも嬉しいが、それはそうと味はある程度合う方が良かった。食事が美味しくて良かった。そう思いながら、ユウは食べていく。
量はそこまで多くなかったので、すぐに食べることが出来た。皿を片付けた後、ユウは宿を出る。
これからどうしようか。歩きつつ、考える。そして、とりあえず冒険者ギルドに向かってみることにした。もちろん、まだ冒険者にはなれないのはユウも分かっている。ただ、もしかしたらフウアとかブーゼンさんとかがいるんじゃないかと思ったからだ。
しばらく歩いて、ユウは冒険者ギルドの扉を開いた。中は結構騒がしい。かなりの冒険者がいた。誰か、知っている顔はいないかユウは人混みをかき分けつつ、探している。
「よう、昨日ぶりだな」
そして、探していた人物に声をかけられた。ユウは声がした方を振り返る。そこには、昨日と変わらない様子のブーゼンが立っていた。
*****
「お前、何歳?」
「18です」
「おっ、なら酒飲めるか。でも、さすがに昼からは飲まんだろ?」
「はい。というか、酒飲んだことないです」
「マジか」
ブーゼンは驚いたようにした後、ギルドの店員にジュースとお茶を頼んだ。ユウはその光景を意外そうに見つめている。
「飲み物頼めるんですか?」
「冒険者限定だけどな。まぁ、俺が頼んだから大丈夫だ」
「すみません」
「いい。喋る時は、飲み物あった方がいいだろ」
ユウとブーゼンは奥の席に座っていた。冒険者ギルドは前に来たよりも賑わっている。朝だからだろうか? ユウはそう不思議に思い、聞く。
「朝ってこんな感じなんですか?」
「いいや。今日はちょっと特別だ。ほら、初心の森がおかしくなっただろ?」
「それ関連の依頼が?」
「そっ。それがたくさん。まぁ、初心の森って割と広いだろ? だから、結構人員いるんだよ。フウアも今、それで初心の森に行ってるしな」
ブーゼンの言葉を聞いて、そこまで驚きはしなかった。深夜にこっそり行こうとしていたほどだ。たぶん、いるとしたら初心の森だろうとユウは思っていた。
「お前さんは行ったら駄目だからな」
「大丈夫です、分かってます。俺じゃ、行っても足手まといですよね」
「あぁ、分かってんなら安心だ」
ブーゼンはどこか安心したようにそう呟いていた。さすがにユウもそれは分かっている。だいたい、初心の森に行くのは怖いし、レベル3で何が出来るんだという話である。
さすがに身の程をわきまえている。それはいい。ユウがブーゼンに聞きたい事はほかだった。
「あのブーゼンさん。昨日の夜の事なんですか……」
「あぁ、昨日のか。お前さんと離れた後、すぐに見つかったよ。怪我とかは無さそうだったな。本人曰く、モンスター件を調べたかったらしい」
なんとなく、予想していた通りだった。というか理由としては、それしか考えられなかった。あんだけ気になってたんだ、行くとしたらそれしかないとユウは思う。
まぁ、怪我が無くて良かった。
「ありがとうございました」
「いいや、大丈夫だ。あのお嬢ちゃんも無事でよかった」
フウアは今、依頼で初心の森に行っている。ユウも彼女の元に行きたかった。心配なのもそうだし、何よりフウアに何かしたかった。ずっと、してもらいぱなっしだから。とはいえ、今のレベルでは何もできない。
「あの、ブーゼンさん」
「んっ? どうした?」
「レベルを上げるのって、どうすればいいですか?」
「あー、そうだな。今は難しいもんな」
今までのやり方が出来ない以上、別の方法を探すしかない。異世界に来たばかりのユウはその方法を知らない。知ってそうなフウアもいないし、いってもたぶん止められる。なので、ブーゼンに聞くしかなかった。
「やるとしたら、初心の森よりさらに外だな」
「あるんですか?」
「あるというか、まぁやるというかだな」
「?」
ユウはキョトンとする。どういうことだろうと思っていると、ブーゼンが一回席を立った。どこにいくんだと思いつつ、ユウは待っている。そして、しばらくしたうちにブーゼンが戻って来た。
「よし、大丈夫そうだ。じゃあ、さっそく行ってこい」
「えっ、どこですか?」
「依頼だよ。実際の冒険者パーティーについていくんだ」
ブーゼンの言葉にユウは困惑した。が、そんなのは気に留めないように、ブーゼンはユウを引き連れて歩いていく。




