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魔人となってもただひたすらに…  作者: 礫(レキ)


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9/9

生まれた意味

僕はもぎ取られた左目に包帯を巻き、この場所を今日限りて去ろうと決意していた。

あの珠から孵った者は間違いなく零達を守る王になるだろう。

その王は、僕など比べ物にならないし僕の使命はここまで、いやあとひとつあるか、それを成して僕は終われる。

朝になると、騒がしくなるだろうから、朝になる前に去らないといけない。

僕は静かに人魚達が住む館を後にして、仲間たちには今日で解散する様に言って、島を後に船に乗ろうとしていた。

「どこに行くつもりですか?」

零が小さな男の子の手をつなぎ、僕の前に現れた。

もう、こんなに成長したのか、もう安心だな。

「役立たずは静かに去ります、お幸せに。」

零は大粒の涙を流しながら、

「あなたのお陰でしょ。私達がここにいられるのは。」

僕は頸を振って、

「樹って人の力ですよ。今の僕には何も出来ない。若き王についてあげて下さい。それじゃ。」

僕は、これ以上話すと辛くなると思ったので強引に

船を出し、魔王城に向かった。

零は、僕が出ていった後、岸壁で泣き崩れているようだった。

『零、行こう。私達は、あの者の最期を見なければいけない義務を負っているようだ。』

「最期は、嫌ですけど。はい、行きましょう。」

僕は、魔王の玉座に向かい魔王のところまで行った。

「ん?どうした、今日は何用だ。」

「参りましょう。冥府まで。」

魔王が目を細め、眉間に皺を寄せ、

「わしを倒すというのか?」

「僕にはそんなだいそれたことは出来ません、一緒に行こうと言ってるのです。」

僕は黒化し、消えようとしている体を全身全霊で動かし、魔王にしがみついた。

「な、何をする。は、離せ!くっ…冥府の奴等か。」

どうやら、上手く行ったみたいだ。

冥府の人たちが捕まえてくれた。

「さよなら、零。ぼくは楽しかった。君に笑った顔が見たかったけど、それは贅沢だね。」

僕が静かに目を閉じようとすると、

「待って!ハルカ!」

零が泣きながら走ってきた。

「零、ありがとう。もう十分だ。僕は魔王と行くから。」

「あなたは、何のために、何のために生まれてきたの。」

零の涙を拭いながら、

「僕は、君に合うために君が希望を持って生きていけるよう生まれてきた、君の礫(石の踏み台)になれたならば、僕の生まれた意味は合ったんだ。」

魔王が僕の体を掴み、冥府に引き摺り込んだ。

「さよなら、零。君が好きだった。」

冥府に引き摺り込まれ、僕の体は藻屑と消えた。

「は、ハルカ〜!!」

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