洗礼
僕達は、魔族の下っ端達に案内され一つの島に辿り着いた。
そこは、何もない荒地と森があるだけの島だった。
僕は、魔族に1枚の紙を渡され、次の日には旅立つことになった。
僕は零に一つお願いをした。
それは、零の鱗で二本の剣を作って欲しいということをお願いした。
零は快く引き受けてくれた。
魔族の手紙は簡単に書かれていたが、良く知っていたなと思わせるものだった。
『港町 タウを全滅させ、生首を2つ持ち帰れ』
と書かれていた。
港町タウとは僕の生まれ故郷のことだ、故郷を壊滅させて生首持って来いか…。
ま、試されてるんだろう、当たり前か。
僕は次の朝の早朝、小舟に乗って島を出た。
魔族が島を警備することにはなっていたが、念の為に人魚達のことを頼んできた。
午前中には、タウの町に着いた。
懐しいというと思いにはなれなかった。
僕は海辺に行き、 あの時のことを思い出していた…彼女達を救えなかったあの日々。
剣を構え、町を封印し、街の中心街に走り込んでいった。
街行く人々の頸を片っ端から刎ねていった。
辺りは一瞬にして血の海と化し、阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
片っ端から、老若男女関係なく斬りつけて行き、住宅地に火を放ち廃墟に変えて行った。
1人の老人が僕の前に立ちはだかった。
「ハルカじゃな。もう止めてくれ、儂らが何をした。」
僕は首を横に振って、
「僕を止めることは誰にも出来ない…お前等は救うどころか彼女達を悪魔の手先と罵った、報いだろう。」
バス。
老人の首が宙を舞う。
見慣れた家の前まで来た…僕が住んでいた家だ。
家のドアを開けると怯える両親が部屋の隅にいた。
「は、ハルカ。…おまえ魔人に堕ちたのか。とうさんとかあさんのこと分かるか?」
下らない、下らなすぎる…こんな奴等に僕は。
「助けてくれるのか、助けてくれるんだよな。」
僕はニヤリと笑い、目を見開き鈍い音が部屋の中こだました。
僕は2つの首を持って街が燃え尽きるのを待ち、燃え尽きたあと小舟に乗って魔王城に行くことにした。
魔王城に着くと、玉座の間でなまくひを2つ魔王の前にさしだした。
『確かに…司令はこなしたか。』
「はい。」
『この頸は知り合いか…。』
「両親でございます。」
魔王はニヤリと笑い、
『餓鬼どもが欲しがっているのだがどうする?』
「ご自由に。私は帰ります。」
背後で餓鬼どもが、両親の頸をバリバリと音を立てて食べる音が聞こえたが今となっては何も感じない。
僕は、島に戻り零の顔を見て心底の笑顔がでた。
そのまま、零の膝の上で寝てしまった。




