君を笑顔にするために
彼女達の表情は幾分良くなったが、笑顔がみえることはなかった。
まだ何かが足りない、そういうことなんだろう。
「君達を笑顔にするためにはどうしたらいい?」
僕がそう聞いた時、人魚の彼女は困って、
「すみません、笑顔ってどうすればできるか知らなくって。」
「悪かった。質問を変えよう。これからなにがしたい。」
人魚の彼女は俯いて、
「叶うのであれば、私達は魔王様に合い伝えなくてはいけないことがあります。」
「わかった、魔王の所へいけばいいんだな。」
僕は、人魚の彼女を助けて初めてうれしいと思った。
それは哀しい目ではない、凛とした真っ直ぐな目を見たからだ。
あれが本来、彼女が持つ目なんだろう。
しかし、書物にあったことはここまでは真実と思わせてくるがなにかひっかかるものがある。
あの真っ直ぐな目に、邪悪な思いは全く感じられない、真実は一体どこにあるのか。
船は今、魔王城に向かっている。
魔王城自体の場所は、誰もが知っている場所で行くこと自体はそんなに難しい場所ではない…、魔人であれば。
魔人であれば、途中で魔族の抵抗を全く受けないのでスムーズに魔王城までたどり着ける。
問題は、たどり着いたあとだろう。
元人である僕を魔王がどう対処するのか、いきなり処刑だって不思議ではない。
魔王城の岸壁までついた僕達は、僕と僕が最初に助けた人魚の彼女が代表で魔王と謁見が許された。
僕等は玉座の間に通されたが禍々しい殺気が満ちていた、魔王というに相応しい殺気を放っていた。
『魔人と人魚の組み合わせとは妙だが何用だ。』
人魚の彼女は、凛とした眼差しで、
「約束を果たして頂きたく参上しました。」
『約束?』
人魚の彼女は、飛び上がると、魔王の頸に自らの体の鱗を鋭利な刃と変えて、
「忘れたとは言わさぬ、我が一族の悲願!」
『わ、わかった。手を下げよ。』
人魚の彼女は、元の場所に戻った。
『人魚族を我が配下に加え未来永劫にその立場を守る、だったかな。』
「はい。」
『忘れてはないが、神との闘いには負けた、約束は守ろう、しかし条件がある。神の戦力を削ぐことに協力しろ。』
「し、しかし我々はもう闘え…」
『では、帰れ!』
人魚の彼女は下唇を噛み締め血が流れてた。
「魔王!それは、僕が引受よう!」
『馬鹿か?神の戦力、即ち人の殺戮だぞ、元人に出来るのか?』
僕はニヤリと笑い、
「彼女のためなら何でも出来るさ!」
人魚の彼女は、呆然とするばかりだった。
『両名とも、名を聞こうか。』
人魚の彼女は、
「零です。」
といい、僕は、
「ハルカ(永遠)だ。」




