君達との出会い
僕は、いつも海岸から君達を見ていた。
君達は余りに無力で、いつも波に打ち上げられ朽ちていく。
人は皆、君達を魔の手先と呼び、蔑んでいた。
僕も、無力で君達を助けられないで、ただ阿呆の様に君達が朽ちていくのを周りの人間と同じく見ているしか無かった。
君達を始めて見たのは、父に上空から海を見に連れて行って貰った時だった。
君達は、ただ何も言わずに手を差し伸べるだけでなにもしない。
僕は父に、
「あの人たちは一体何をしているの?」
と聞いた。
父は僕に、
「見るんじゃない!悪魔に取り憑かれる。お前みたいなこどもは海に引き摺り込まれ食われるんだ。」
と、叱責された。
こどもながら、その言葉は全く入って来なく印象に残っているのは、彼女たちの哀しい目と表情だった。
書物によると、彼女達人魚族はその昔、神に逆らい魔族と手を組み世界を破滅に追い込んだとある。
彼女達の目は、魔族と組むような目はしてなかった、ひたすらに救いを求めていたと、僕の目にはそう、写っていた。
僕は、15歳の夏に心に秘めていた思いを両親に打ち明けたが、壮絶な反対に合い、頭がおかしくなっただの、悪魔に取り憑かれただの言われ、悪魔祓いの儀式やわけのわからない宗教の奴等からわけのわからない説教をされた。
流石に、この生活は耐え難いので、夜中最低限の荷物を持って逃げ出した。
僕は、その後、仲間を求めて色々な所を渡り歩いた。
場所によっては神に反逆する悪魔だと言われたり、新興宗教と間違われたりした。
3年かかって、仲間10人と、彼女達を助ける船を手に入れることが出来た。
仲間は、彼女達は人魚ということも知ってるし、僕の彼女達を助けたいという気持ちも知っている。
しかし、彼らから言われたのはその後のことを考えているのかと問われることが度々あった。
迷信なのか真実なのかわからないが彼女達を助けることは人を捨て、魔人、すなわち魔族に堕ちることを覚悟しないといけないと。
僕は彼女らを助けないものが正義と言うなら、進んで悪になると皆に伝えた。
それで、僕についてこれないのであれば、自らの道を進んでほしいと、そして君達に討たれることがあっても恨むことは決してないと伝えた。
そして、僕達は海に出た。
「あそこだ。」
おそらく、皆初めて間近で見ることになっただろう人魚たちを。
僕は、人魚達が差し伸べた手をしっかり握り、目には沢山の涙を浮かべ、
「遅くなって済まなかった、僕は君達を救う。」
そう言って船に引き上げた。
流石に全員を引き上げることは叶わなかったが20人以上の人魚達を引き上げた。
最初に引き上げた人魚が目に涙を溜め、
「なぜ、あなたはこんな…取り返しのつかないことを。」
「僕は今まで君達を見捨てきた、その罪を償いたい。」
人魚は首を横に振って、
「あなたは、人でいられなくなりますよ!」
「であっても、君達を見捨てるようなものではありたくない。」
僕の体は、次第に黒化していき人とは思えない体に変わっていった。
僕の仲間も同じ様に変わったが、動揺はない。
むしろ歓喜していた。
「君等のためなら、喜んで魔人となろう。」




