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第18話 目的

「それで、変態じゃなかったら何なんですか?」


「はい、哀れな女神です」


 私は引いた目で改めて問うと、女性店員は真顔で答えて見せた。

 あの選択肢の中で、一番現実味がなかったのだが、用意してくれた軽食のポテトフライを摘まみながら彼女は言葉を続ける。


「気持ちは分かりますよ。いきなり女神だと名乗っても、何言ってんだこいつと頭のおかしい綺麗な女性だと認識されてしまいますからね」


 本当は素直に女神と名乗ればよかったのだが、あんなクイズ形式で遠回しに女神へ辿り着くどころか変態に行き着いてしまったのは誤算だったようだ。

 どちらにしろ、この時間が停止している状況は紛れもない事実であり、人智を超えた力を行使する彼女が普通の人でないのは確定している。


「その……色々と訳分からないことが続いて混乱しそうだけど、あんたが女神なのはこの際いいでしょう。それで、その女神様が何の用でこちらに?」


「目的は二つ。一つ目は謝罪で、貴女ともう一人異世界転生した皆川瞳についてです」


「異世界転生って、じゃあ本当に女神様なんですね」


「ええ、転生する際に誤って前世の記憶を残してしまったのが全ての始まり。こうして探し当てて謝罪に参りました」


 しょんぼりした顔で頭を下げる女神。

 そうなると、もう一つの目的は前世の記憶を消しに来たのだろうか。

 本来、前世の記憶は消えた状態で転生されるのが通常のようなので、消されてしまったら瞳との関係も自動的に消滅するかもしれない。


「じゃあ、謝罪も済ませて次は私の前世の記憶を消すのね?」


「いいえ、消せませんよ。部分的な記憶消去は残念ながらできないのです」


 下手に記憶を消せば、自分自身が何者なのか分からなくなり最悪の場合は廃人になってしまうと女神は付け足して告げる。


「目的の二つ目は監視です」


「監視?」


「はい、雪さんと瞳さんの二名を監視対象として、しばらく私が監視役を務めます」


 これは意外な回答だった。

 前世の記憶だけを消すためではなく、監視するために現れたのだから反応に困ってしまう。


「監視されて何か不都合なことでもおありで?」


「別にそんなことはないけど……いきなり監視するなんて言われて良い気分になれる人間がいると思う?」


「前世でお姫様だった貴女なら、監視される立場になるのは苦ではないかと。頼りになる騎士が傍にいると思ってください」


「わ、分かったわよ」


 いきなり現れた女神は私と瞳を監視すると告げて、半ば強引な説得で仕方なく私は了承した。

 断ったところで、おそらく監視は続行するだろう。

 条件として、私や周囲に迷惑になるようなことはしないで欲しいと付け加えると「善処します」と淡々とした声で女神は頷いて答えた。

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