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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

vsゴリラ男

作者: 西山景山
掲載日:2024/04/29


 交差点で、車が吹き飛んだ。


「うがあああ!!」


 一人の男性と一台の車がぶつかり、車が吹き飛んだ。


「オレの、邪魔をするなあああ!!」


 いや、一台だけじゃない。次々と車が男に吹き飛ばされていく。

 男はそれを右腕一本でやってのけて見せた。男の体よりも大きな、ゴリラのような腕で。


 交差点に、一人の警察官がやって来た。


「はいはーい、落ち着いてくださーい」


 警察官は警棒を一本構え、暴れるゴリラ男へと近づく。


旧人類(きゅうじんるい)が!! オレの邪魔を、するな!!」


 ゴリラ男の巨大な拳が、警察官へと襲いかかる。


「何言ってんだか。俺もお前も、おんなじ人類だろうが」


 警察官は拳を容易く避け、ゴリラ男の懐へと潜り込んだ。

 そして警棒を持っていない方の拳で、ゴリラ男の腹を殴った。


「ぅぐっ!?」


「隙が大きい、パワーに頼りすぎ。もっとスピード上げろ」


 目の前の敵にアドバイスする余裕さえある。


「な、舐めるなアア!!」


 涼しい顔で向かってくる警察官に、ゴリラ男は苛立った。足を踏ん張り、腕を大きく振りかぶる。

 まさにジェット機の如くスピードで、警察官に向かって拳が飛んだ。


「だから隙が大きいって言ってるだろ。大声で叫んで、"今からすごいの撃ちますよ"宣言してどうする?」


 またもや警察官はゴリラ男の懐に潜り込み、追加の一発を送り込む。

 

「ぅぐぅっ!? な、何なんだお前はアアア!!」


 ただの人間のくせに新人類(しんじんるい)であるオレと張り合うなんて、許せない。

 ゴリラ男は怒りに燃えた。


黒龍(こくりゅう)様の、意のままに!!」


 ゴリラ男がそう叫ぶと、人間の腕のままだったはずの左腕も黒く凶暴な腕へと変化する。


「おいおい、戦いの中で成長する系主人公かよ」


「終わりだ旧人類!!」


 ゴリラ男の片腕が近くにあった車を掴み、警察官へと投げつけた。飛んできた車に警察官が気を取られている隙に、もう片方の腕で仕留める。

 隙もないし、スピードもいらない。完璧な作戦の()()()()()


「お前の長所は巨大な腕のパワー、短所は巨大が故に挙動が大げさになってしまう事。つまり読みやすいんだよなあ、次にやろうとしてる事が」


 声は、すぐそこで聞こえた。車を投げつけたはずの場所には誰もいない。

 足を掴まれた。まだ進化出来ていない、ただの人間の足を。


「っ!? ば、化け物がアアア!!」

 

「化け物じゃねえよ、人間だ」


 手錠じゃゴリラの腕は大きすぎて拘束できない。だが、足なら別だ。

 手錠の輪っかは、するりとゴリラ男の両足を迎え入れる。足の身動きを封じられたゴリラ男は、大きな腕と小さな体を地面へと打ちつけた。


「犯人、確保。頼むから大人しくしてくれよ」


「......お前まさか、噂の"獣殺し(アニマルキラー)か?」


「殺してねえよ。捕まえたやつは全員、保護してる」


「人体実験の道具として、だろ?」


「誰からそんな噂聞いた? そんな事やってねえよ」


「信じられるか!! お前ら国の組織は、オレたちの事を丁度いいモルモット程度にしか思ってねえんだよ!!」


「思ってねえよ。お前も俺も、みんなおんなじ人間だろうが」

 

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