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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

vsゴリラ男

作者: 西山景山


 交差点で、車が吹き飛んだ。


「うがあああ!!」


 一人の男性と一台の車がぶつかり、車が吹き飛んだ。


「オレの、邪魔をするなあああ!!」


 いや、一台だけじゃない。次々と車が男に吹き飛ばされていく。

 男はそれを右腕一本でやってのけて見せた。男の体よりも大きな、ゴリラのような腕で。


 交差点に、一人の警察官がやって来た。


「はいはーい、落ち着いてくださーい」


 警察官は警棒を一本構え、暴れるゴリラ男へと近づく。


旧人類(きゅうじんるい)が!! オレの邪魔を、するな!!」


 ゴリラ男の巨大な拳が、警察官へと襲いかかる。


「何言ってんだか。俺もお前も、おんなじ人類だろうが」


 警察官は拳を容易く避け、ゴリラ男の懐へと潜り込んだ。

 そして警棒を持っていない方の拳で、ゴリラ男の腹を殴った。


「ぅぐっ!?」


「隙が大きい、パワーに頼りすぎ。もっとスピード上げろ」


 目の前の敵にアドバイスする余裕さえある。


「な、舐めるなアア!!」


 涼しい顔で向かってくる警察官に、ゴリラ男は苛立った。足を踏ん張り、腕を大きく振りかぶる。

 まさにジェット機の如くスピードで、警察官に向かって拳が飛んだ。


「だから隙が大きいって言ってるだろ。大声で叫んで、"今からすごいの撃ちますよ"宣言してどうする?」


 またもや警察官はゴリラ男の懐に潜り込み、追加の一発を送り込む。

 

「ぅぐぅっ!? な、何なんだお前はアアア!!」


 ただの人間のくせに新人類(しんじんるい)であるオレと張り合うなんて、許せない。

 ゴリラ男は怒りに燃えた。


黒龍(こくりゅう)様の、意のままに!!」


 ゴリラ男がそう叫ぶと、人間の腕のままだったはずの左腕も黒く凶暴な腕へと変化する。


「おいおい、戦いの中で成長する系主人公かよ」


「終わりだ旧人類!!」


 ゴリラ男の片腕が近くにあった車を掴み、警察官へと投げつけた。飛んできた車に警察官が気を取られている隙に、もう片方の腕で仕留める。

 隙もないし、スピードもいらない。完璧な作戦の()()()()()


「お前の長所は巨大な腕のパワー、短所は巨大が故に挙動が大げさになってしまう事。つまり読みやすいんだよなあ、次にやろうとしてる事が」


 声は、すぐそこで聞こえた。車を投げつけたはずの場所には誰もいない。

 足を掴まれた。まだ進化出来ていない、ただの人間の足を。


「っ!? ば、化け物がアアア!!」

 

「化け物じゃねえよ、人間だ」


 手錠じゃゴリラの腕は大きすぎて拘束できない。だが、足なら別だ。

 手錠の輪っかは、するりとゴリラ男の両足を迎え入れる。足の身動きを封じられたゴリラ男は、大きな腕と小さな体を地面へと打ちつけた。


「犯人、確保。頼むから大人しくしてくれよ」


「......お前まさか、噂の"獣殺し(アニマルキラー)か?」


「殺してねえよ。捕まえたやつは全員、保護してる」


「人体実験の道具として、だろ?」


「誰からそんな噂聞いた? そんな事やってねえよ」


「信じられるか!! お前ら国の組織は、オレたちの事を丁度いいモルモット程度にしか思ってねえんだよ!!」


「思ってねえよ。お前も俺も、みんなおんなじ人間だろうが」

 

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