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現代の武人は仮想世界を無双する  作者: カンナトウジ
3章:海より深き縁
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カウントダウン4 プラチナ商会はフリーダムな職場です


「資金繰りはこんなところで十分でしょうね」


プラチナ商会。

全サーバーで比較してもNo.1とされる商会クラン。今回のような金策をメインとしたイベントでは、資金繰りで更なる富を得る事を目的にしているのだが


「そういえば何処かの陣営に入るのは初めてでしたな」

「考えてみればそうでしたわね」

「まあ君たちには父上も四苦八苦してたからね〜。協力してくれるのは有難いよ」

「こんなこと言うのもなんですけど結構()()でしたので」

オホホホホホホホホホと笑う2人の間に、ちょっとした腹黒さを感じつつ、黒筋肉は思い返す。


昔、プラチナ商会が所詮はゲームだと調子に乗り、国の財政を急激に傾かせてしまったことだ。

その時は、国家存亡の危機が裏で動き出しかけ、もしや取り返しのつかない事態になっているのではないかと気付かなければ、この国を潰していたかもしれないのだ。


「いやーあの時から思ってたけど味方になってくれるとマジで心強いね!」

「それもそうですが貴女の手腕も結構なお手前で。足腰などの肉付きにペンダコ、確かな努力と才能で勝ち取る商人の作りですよ」

「分かるもんなんですか?」

「親父殿がペン書きの方が得意でしたので。癖とかが似通って分かるのです」

得意げに笑うプラチナに対して、バリバリ現代っ子の黒筋肉は良く分かっていなかった。


まあそんなことよりも

「あーまだ近くに髑髏チャンズのメンバーが居ますね」

「あのイカレ集団ここら辺まで来ちゃっているのか」


髑髏チャンズ。可愛げのある名前とは裏腹に、かなり有名な犯罪者クランである。

今回のイベントでは、なぜか商会連合陣営に所属し、現在他の陣営を潰すために動いている。

「勢力争いの一環ですね。私としては顧客が逃げていってしまいかねないのでサッサと立ち去って欲しいのですけど」

「済まんねヴィルキスさん」

「いえいえ。この時期になると毎年こう言うことは起きるようですので、ある程度は覚悟していましたとも」

「それにしても今回のはやり過ぎじゃとおもうんじゃが」


現在、剣の紙片がある黄金都市『ゼーリィン』は、そこら中に髑髏チャンズメンバー………の死亡エフェクトが飛び交っている。


きっかけは単純。

エリシアが、第一王女陣営として名乗りを上げ兵士たちが送られたことで、エリシアが黄金都市のどこかにいるということが確定してしまった。

そこで、髑髏チャンズのメンバーが捜索をしていたところ、突然暗殺され始めるようになったのだ。


その犯人は

「ハバキリさんに、レア・レーベン、リルネアにくノ一小隊の子達が影ながら暗殺しているようですの」

「ハバキリや魔女の2人は分かるのじゃが、くノ一小隊とは何じゃ?」

コチラ側(現実)での諜報活動等を得意とする連中でしてよ。まあワイルズのメンバーだと思ってくださればよろしいかと」


黒筋肉はよく分かっていなかったが、含みのある言い方をしたプラチナは、よく知っていた。

くノ一小隊も、ハバキリも現実で活躍している実力者である。


そのため

「お陰で髑髏チャンズは最近後手に周りがちのようですわ」

「確かワイルズに負け過ぎて今No.1の犯罪者クランじゃないって言われているんですっけ?」

「そのようですね」


言いながら、自前の紅茶で一息ついたところに、エリシアが突っ込む

「あのーそこまで行くとヤバくない?」

「ヤバいですわ」

「確かに格下げはねー」

コレには黒筋肉も同意する。


何せ、髑髏チャンズのリーダーのドクロチャンは

「自分の可愛さをアピールするために悪逆非道の行いをするっていうイカレ少女じゃからなぁ」


「「そんなに怖い人なの?」」

そこに、紅茶を飲みに来たジュリウスとナディアが、質問してくる。


「自身の可愛さをアピールする為ならば何だってやるといった方でして」

「その為にNo.1の犯罪者クランと呼ばれるだけの悪行をこなした女というだけでどんな相手かは誰でも想像できるものじゃよ」

その言葉の意味を正しく理解したであろう子供たちは息を呑んだ。


50人を超える犯罪者クランである髑髏チャンズだが、その悪行の99%をドクロチャンが個人で引き起こしている。他の連中は、その悪行に惹かれた者やドクロチャンの可愛さにホイホイついて行った連中だけである。


「彼女の起こした10の殺戮事件とか有名だからね」

「これ以上は子供には刺激が強すぎるかと」

「そうじゃね〜」

確かに、これ以上は語るべきではない。


可愛さの誇示という目的のために、殺戮という手段を取った。

それだけでヤバい相手であり、そんな彼女のために非道な手段を厭わないというのが髑髏チャンズというクランなのだ。

「まあコレで少しは髑髏チャンズの動きも治るでしょう」

「今は動くだけ消耗するってことが証明されましたからね」


そう語っていたところに1人のプレイヤーが現れる。

「プラチナチャン迎えに来たでゴザル!」


ミストハイドだ。万が一場所が特定されないように特定の誰かが入ってくるまで、出ないようにしているのだ。

「では私たちはこの辺で。資金繰りは十分ですので今後は訪れる機会が減るかもしれませんが」

「構わんよ〜。そもそも君たち自体の目的は私たちへのコネを手に入れることじゃろうに」


それを言われて、プラチナは静かに笑った。


今更だけど、黒筋肉は一般的な老舗の店長というだけで一般人サイドのため、プラチナの言う含みのある言い方について良く分かっていない。


ドクロチャンの引き起こした10の殺戮事件:

髑髏チャンズのクランリーダーであるドクロチャンが引き起こしたちょっとした社会現象も引き起こした10個の事件。

詳細は省くが、業界で可愛いと言われていた要人の娘(NPC)を殺すために、館の正面から不法侵入して立ち向かった衛兵どころか、その時館にいた者を皆殺しにして、その後件のNPCを拉致して公衆の面前で公開処刑した事件。

この内容だけでも、詳細の3割しか語れていないほど凄惨なものだった模様。

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