カウントダウン6 一般人たちの目線じゃあやっぱり彼らはヤバいそうです
一応表記上ギルド(Gil-D)って呼称するけど、個人名じゃなくて組織のギルド(Guild)と間違えそう
「今日もやってんなぁアイツら」
昨日ハバキリが、タングルに現れたと聞いて目的が同じかと少々心配していたが、杞憂だったと安心しているギルドだが、ソレはソレとしてハバキリが自身の弟弟子らしき3人を切り刻みに掛かっている光景に、一抹の不安を覚えた。
「じゃあ今日も探しますか」
ギルドの探し物は、とあるユニークモンスターだ。
樹海鮫『フルムラク』。割と最近出たばかりのモンスターであり、戦力強化のためにも見つけたばかりのコイツを討伐して、その素材やらで強くなっていこうと言う算段だ。
「しっかしWIRDSって奴らはなんで身内争いなんてしているんですかね?」
「アレは修行だ。どんな攻撃や体の動きに反応出来るようにして、より良く動けるようにしているんだ」
「いやそんなんでスキルを得られるんですか?」
「まあスキルを得る条件って結構不明瞭だからあれで得られるかもだが、今回は素の技術の方だぞ」
「へ?」
そりゃあ一般人からしたらまず理解できないだろう。
「アイツらワイルズだったか?全員アドベンチャーモードに切り替えてプレイしているんだ。だからリアルの技術がダイレクトに扱える」
「はあ!!?正気ですか!?だってアドベンチャーモードは」
「リアルでもレベル90相当に動ける奴らなら問題ねえんだよ。俺もアイツらも素でソレだけ動ける」
「マジですか!?無茶苦茶すぎですよ」
仕方がなかろう。ここまで実力者を生み出す一端になったのが、ギルドの曾々祖母なのだ。彼女が生きているこの1世紀の間に、世界中で相当な実力者が現れている。
「むしろフィクションであって欲しいです」
「そんな奴らの集まりがワイルズってわけ」
「バケモノ集団過ぎる」
ギルドでさえ、同意見だった。そんな奴らが、あと少しで自分たちが達成したと言っていい龍種討伐を先に達成した時も、悔しさより納得感が大きかった。
「まあだからこそかな。クソババアにもだが、ワイルズ全体に勝ちてえって思っちまう」
「マジですか」
「てことでサッサとコイツ討伐して次行くぞ」
「コイツって何処に?」
その時、ギルドが飛べと指示した。
「きゃあああああああ!!!」
地面から牙が生え、飛び遅れて後続の1人が喰われた。
「あー少し遅かったか」
〈ユニークモンスター【樹海鮫フルクラム】とエンカウントしました〉
「いやミナちゃーん!!!」
最悪なことに、本パーティー唯一のヒーラーがやられた。
「どうすんですかギルさん!」
「あー………………そうだ!せっかくだし」
そう言い、ウィンドウを操作する。
「ちょっ、ギルさん!?」
すぐ側にいた者にしか確認できなかったが、アドベンチャーモードに切り替えたのが見えた。
「たまにはコッチでやってやる!」
「ウェエエエいきなり!!?」
「悪いコイツ貰うわ!!!」
そのまま、他のメンバーが静止する暇もなく、突っ込んで行く。
「はあ。スマンな1人で突っ走って」
「い、いやあソレは良いんですけど」
1人で特攻して行き、いつもより遥かに速いスピードで走り出して倒してしまったギルドに、驚いて声が出ない者ばかりだったが、ソレでも1つだけ確認せざるを得なかった。
「それだけの実力を彼らは持っているんですか?」
「いや流石にアイツらの中でも上澄みの方だぞ。自慢じゃあねえけどクソババアの血統って時点である程度は最高峰の武術を嗜んでるってことになるし、そこの剣バカと共に鍛えていたしな」
「だぁ〜れが剣バカだぁ筋肉バカ!筋肉つけ過ぎてまた鈍足になってんじゃぁね〜の〜?」
「上等じゃコラァ!!!一本死合えや!!!」
何故かしれっと合流した剣士との喧嘩が勃発し「いやヤバそうなモンスター来てんですよ兄弟子!!!」
「うっわなんだアレ!?」
合流した剣士たちの背後から来た更なるユニークモンスターに、思考を切り替える。
「ちょっ、サッサと逃げるぞ!」
「でも、ギルさんが」
「いやあ兄弟子と彼がコレなら置いて行って良いでしょ」
「走れ〜」
その対応に、呆然としているギルドのパーティーメンバーをハバキリの弟弟子達が引率して過ぎ去っていく。
そして、残った2人は
「「邪魔すんなぁ!!!」」
なんか迫ってきたユニークモンスターを秒殺したのであった。
樹海鮫フルクラム
地中を顎で食い進みつつ、鰓から余分な土を排出できる鮫。しかも口内に土がなくなると強力な呼吸を用いたジェット並みの風を起こして高速移動してくる。
ギルドに見事に躱されて倒された。
晶灯螂キルア・ブリム
カマから爆炎を放つ結晶をまき散らすカマキリ
流石に秒殺は嘘かもだけど速攻で倒されているのでここでしか名称が出ていない。
 




