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現代の武人は仮想世界を無双する  作者: カンナトウジ
3章:海より深き縁
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カウントダウン11 仙人の道


山嶺にて爆発音が響く。


ソレを聞いたある者は恐れ、ある者は今日はやけに激しいなと思いながら思い思いの作業を行なっていた。

「これこれ、そこな者たちよ。仙凛のツレという割に小心者ばかりかのう」

「イヤ師はn………仙凛様がなぜこのような状況になっているか分かっているのですか!?」

「まあやけに闘士が漏れ出ているあたり、楽しみまで我慢できずに当たっているというところであろう。ソレはそうとヌシら、ココまで来おったのだからチョイと試練でも受けてみよ」

ホッホッホと笑いながら煙管を吸う老人と、恐れながらも構えを崩さない2人


「え、試練って」

「まさか」

「そう。ヌシらが言う特殊上級職だとか隠れ上級職とかいうアレに就ける試練」

もとより、そのつもりであることは明白なのだからと2人のプレイヤーは、構えた拳に力を込めた。


()()()()()()()へ招待しよう客人よ!」




シーテイン。そこは、天を突くように切り立った断崖の岩山で構成された山嶺フィールドであり、入り口と推定されている場所でも90度近くの壁に等しい崖を登らねば、まともな足場に着けないような場所である。


そのようなフィールドだが、たまに特殊なモンスターが落ちてくる以外は、大した情報を文献程にしか残していないフィールドでもあるため、その全域を知る者は居ないとまで言われている。


だが、ココにしかないものが確実にある。

その最たるものが特殊上級職『仙人』。

仙人の郷と呼ばれる、特殊な力をその身に秘めた者たちが住まう地が、この山嶺にはある。そして、その地で修行を受けた者は、同じく仙人へと至ることが出来るという。

そんな噂話程度にしかならないような伝説に挑戦しようと、その山に挑む猛者は年間100を越えていた。どころか、プレイヤーと呼ばれる者たちが降り立った時から年間どころか月間で100を越える挑戦者たちが現れたが、プレイヤー内でも1人を除いて登ることは叶わなかった。


単純に、登ることが厳しく、STMを極振りして登攀系統のスキルを鍛えたプレイヤーでも、登るのに苦労する高さを誇っていることに加え、標高500m地点から強力な飛行能力持ちのモンスターに、足場の悪い環境で襲われる可能性がほぼ確定していた。

ならば、飛行能力のある乗り物で乗り込もうという観点から艦長や船長となった者もいたが、肝心の飛行能力のある乗り物を製造できる技術が、アジアサーバーにはなく、そういった乗り物を自作しても、悉く撃ち落とされていた。


他、様々な要因はあるが最もと言える要因はただ1つ。

ソレは、プレイヤーどころかNPCすら知らないもの。


NPC風に言えば『真にその身を極めし者のみが辿れる道』。

プレイヤー風に言えば『アドベンチャーモードでレベルを1から90以上にしたプレイヤー以外は、デバフがかかる』という難度の高いものとなっている。


そんな場所へ行けるものなど、彼らしかいない。




「いやモンスターが襲いくる中で瞑想しつつ鍵を見つけるって」

「まあ鍵はそこら中にあるっぽいけど」


山嶺に辿り着けた2人目と3人目のプレイヤーであるクリームストロガノフ(略称:クリス)と五八一六(ウパイーリウ)が見たものは、文字通り鍵と言えるものがふよふよ浮いている光景だ。

「とりあえずここのモンスターは目は良くない。気配を辿るようだな」

「それだけじゃあ攻略は不可能。鍵は絶対にモンスターや俺たちプレイヤーを避けて動く。それも手の届かない位置を上手く動いている。それ故に瞑想か」


彼らの視線の先に答えがある。

綺麗な座禅と共に、世界に溶け込んでいる炎のような髪を持つ女性。

プレイヤー初の仙人へと辿りついた者、仙凛が佇んでいる。

「————————」

その周囲は他の場所と同じ様に動いている。モンスターがいなければ鍵が近付き、モンスターが近付けば鍵が離れていく。


「なるほど。瞑想を通じて世界に溶け込むことで、モンスターにも鍵にも近くできない様にするのか」

「鍵を取るのがキツイけどね。クリフって瞑想しつつ、近付いた鍵をゲットできる?」

「まあ一応。瞑想していればそこら中を知覚できる様にもなるからね」

「そりゃあそうだよな」

まあそれにしても


「アレでよく止まってくれたよな〜」

「そこは流石に年の功と言いますか、暴れすぎなくて良かったね」

既に仙凛は、仙人への道を通過している。なら何故ここに居るのか。


ソレは先日、別勢力に自身の曾々孫である金龍が参加すると報告を受けたからである。

彼女は、ソレが楽しみで仕方なくなってしまうような老婆なのだ。勢いで暴れ出しかねないので、部下全員が恐怖し、報告すべきかどうかで情報をたらい回しにしたくらいだ(最初にたらい回しにしたのはハバキリだが)。


まあいざ報告したら、誰がどう見ても闘士を燃やしているという状況でココまで上り詰め、案の定暴走してそこら辺で爆発の如き拳撃を起こしていたのだが、今は落ち着いたのか、瞑想している。

「イヤー流石というしかないね」

「そうと分かれば早速」

ソレに倣って2人も座禅を組む。




—————————集中—————————




そして彼らの前には、鍵よりも

()()()()()()


((!!?))

仙凛と………………………いや凛華と金龍の戦いだ。


((()()()()()()()()()()()()()だと!?))

戦っている。闘士を全く抑えていない。


先の暴走が済んだかと思えば、想像の世界の中で今も戦い続けていた。2人が見たのは、その闘士に触れて幻視したものだった。

((イヤ集中しすぎると別のもんに意識割かれるんですけどー!))


そう。この状況、集中しなければクリア不可能であり、集中したら周りの状況を確認できなくなる。


しかもコレ、フィールドのほぼ全域に影響が出ている。

(このままでは)

(クエストクリアは不可能)

正直八方塞がりなために、男2人が取った行動は




「なんじゃお主らまだまだ修行が足りんと見える」

「まあアレに巻き込まれるならそう言われても仕方ないかと」

「あの人の闘士を無視できなかったのについては確かにとしか言えないね」

「アヤツも盛り上がっておるようじゃしココらで少し休んでおれ」

「「「はっはっはっはっはっはっ!!!」」」


仙凛さん

割と老害なほうです

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