事後報告
ちょっと連投しようかと
PART.1
ジンちゃん…ギルは、途中で降りてもらってそのままゼーリィンまで飛んでいった。
流石に、彼女の居場所が知れ渡って起きる問題が多すぎる。
あとSNS内では、今の俺の衣装での姿しか出回っていないそうなので、前まで着ていた桃源郷装備+鬼の仮面で一応の変装をする。
「なんというかお主も難儀じゃな」
「済まんね」
「構わんよ。有名になると良くも悪くも目をつけられるのはどこでも同じじゃ」
だよねー。ともかくエリシアの言う地下工区にやって来た。
バランスどうなってんだ?って突っ込みたくなるような多重構造のこの街じゃあ、地上よりも地下に多くの店が立ち並んでいる。
エリシアが案内したのは、剣に本が立てられているような意匠の看板の店だ。
「いらっしゃいま………おやエリちゃんですか。お待ちしていましたよ」
そこにいたのは、長い金髪に耳の長い礼服の男。一見するとエルフのように見えるが
「ああ、エルフのようでそうでないと気付いていますねお客人。小生はヴァンパイアのヴィルキスと申します。ここ『剣の紙片』という名の骨董品店を営んでおります」
「ハバキリだ」
「早速ですが護衛抜きに、正確には傍付きではなく冒険者同伴でこのような場に来るということは、タイミングを考えるとまたお父上から逃げ出して何か企てるおつもりですね?」
「そうじゃ。今回は冒険者クランがもうついているのでな、お主にも協力してもらうぞ」
どっちも話が早いな。
商売人としてのヴィルキスに政治家の卵とでも言うべきエリシア。要点だけでも十分に話が進む。
「前も言いましたけど、保証が無ければあまり助力できませんよ?」
「ここにいるハバキリは至闘士だと言ったら?」
「なるほど………ソレならば差し支えないでしょう」
「早いねえ」
「ええ。商売も情報も時間が命です。情報交換を迅速にこなしたいのでしたら、1を聞いて10を読み解くくらいはできなければなりません」
いやそれ探偵とかのスキルでは?って思ったけど、探偵も商売だわ。
「で?この後は何を?」
「あーそれならそろそろ」
「失礼する………やっぱりココか」
そこに来たのは、長身の麗人だ。
「ハローミリナ!やっと来たね」
「あーエリシアの従者か何か?」
「初めまして冒険者の殿方。私はミリナ・シュラウド。エリシア様のメ………執事です」
今メイドって言いかけたよね!?
確かに今執事の格好しているけど、その人メイドなのでは?
「あのヴィルキスサンコレはいったい(ヒソヒソ)」
「確かミリナさんがメイド服なのが気に食わないとエリちゃんが(ヒソヒソ)」
うんアイツ頭おかしいわ。
もしやコイツの親父さんが手放したくないってのも、アイツの主観が入っているだけで割と正当性ある理由でも含んでんじゃねえだろうな。
「俺はハバキリ。コイツと契約したクランの副リーダーだ」
「ヨシでは、ミリナを伝達役として度々主らの船に送るために彼女にパスポートをくれてやってくれ。吾らと連絡が出来る状況であれば、今は特にやる事もない。存分に」
「ちょっとちょっとエリちゃん」
「エリシア様。参加の書状と一応陛下へも書状を送るべきかと」
「………あーソウダネ」
ココで面倒臭い顔するべきではないだろう。マジでやっとかねえといけないヤツじゃん。
事後報告でもいいから参加権は手に入れておかないと多分俺ら出られないでしょ。
「とりあえず書状はコチラでなんとかしておきます。ハバキリ様は私のことを他のクランメンバーの方々にお話しして頂ければ、後は開催までご自由にしていただいて申し分ありません」
「まあやれることといったらソレくらいだもんね」
「ああどうせだから出るメンバー全員最高クラスまで強くなってねー」
「それはもう大丈夫」
てことでパスポート渡して、サッサと帰って来ましたよ。
「まあそういうわけで連絡とかがあるかもだけど当日までは自由にしていいってさ」
「分かりました。師範にはなんと申しておけば?」
「ジンちゃんは別陣営とだけ」
………
………………
………………………
「あのーそれが師範に直接言いたくない理由ですか?」
「そそ」
あー頭抱えちゃったよ。そりゃあこの後に何がくるかって考えるとね。
絶対闘士爆発させて誰かに当たってくる。
それも思い切りだ。何せ楽しみなのだから。
あいつあの家系の中で現状仙女ババアに1番近付けている者だ。
まあ何度やっても勝てなくてコンプレックス生じる思春期になった結果絶賛家出中なのだが
余談1
ヴァンパイアはエルフに近い見た目で、牙とかよくよく見ると違いがよくわかるようになっている。
余談2
ミリナ(38歳)さんは本来はメイド長である。
余談3
ハバキリが最後にお話ししたお相手は群族龍確認へ行ったときに出会ったクリームストロガノフさん




