トレジャーハントイベントとは
「なるほどな。いろいろ事を済ませてから来てくれとはこういうことか」
見りゃ分かる。
A2の2つ隣に酒瓶空けたアルメリアがいるからだ。
「なったのは至闘の狩人って言ったところか?」
「イッエース。コチラのディロイサンと戦ッテワタシもナレタわけデスよ」
そう言って隣を指すと、リアルのA2よりもデカい緑色の竜人が振り向いた。その面には、俺の着けている鬼の面と似た仮面を着けていた。
「ホウ。我輩と同じ鬼の面を履くものか。失敬、先に名を名乗るべきか。我輩はディロイと言う」
「俺はハバキリだ。あんたはコレに着いて知っているのか?」
龍頭の剣は仮面を着けなくとも、顔を隠して食事にありつくと言うコンセプトの酒場だ。実質会員制な酒場のため、あまり必要性を感じないが、そう言うものになっている。
ここで販売しているものもあるが、基本的に自分たちで顔を隠すものを持参している。
のにも関わらず、俺の着けている仮面について知っていると言うものがいたのだから驚いた。
「アレは今から200年ほど前だったか。今ではスプクロンと呼ばれている温泉地の一角にイヅツミの郷と呼ばれる鬼人族の郷があった。そこで強きものへと送られる品として扱われていたものだ。我輩も今となっては老いた身だが、あの頃は随分と暴れたものだ。もし興味があるならばその地へ赴いてみるといい。何も見つからなくとも良い経験を得られるやもしれん」
懐かしみながら、アチチと茶碗蒸しを食べる姿には、確かな年期を感じた。
「お、ハバキリ来たジャーン待ってたよー…アレ?なんで女の子?まあいいか」
既にベロベロ状態のアルメリアは酒瓶片手に振り向く。いやそれでもこの姿についてはちょっとは突っ込め!
「こっち来ていきなり龍を討伐するんだもん。結構驚いてんだよ〜」
大々的にやっていたような戦いだが、よく知ってんなこの人。てかいつも何やってんだろう。バニーガールだけど、そう言う仕事はしていなさそうだし
「ご注文は?」
「おっとその前にこちらを」
そう言いさっき手に入れた蟹と海老を取り出す。
「ほう、コレはなかなか」
「さっき潜った未攻略のダンジョンから手に入ったものでね」
「なるほど、大方の扱いは把握出来ました。しばしお待ちを」
見て表面触っただけで把握はちょっと驚くね。
「イヤーペース早くてお姉さん達も驚いているよー。コレは私たちもうかうかしていられないかな〜」
「ふむ。ではアルメリア殿、今度私の仕事の手伝いでもしてみては如何かな?カイシスの周辺に厄介な大型モンスターがやってきたので討伐を依頼されているのだ」
「いいでよ〜」
ここは意外と平和だな。一応特殊上級職のギルドのはずだが、
「ソウソウキリ君、次のイベントの内容ガあと1時間もセズに発表サレマスけどどういうモノだと思いマス?」
「一応海外リークによるとトレジャーハントイベントだとよ」
「………ソレどこ情報デスか?」
まあ落ち着きたまえ
「ところでトレジャーハントと言っても具体的に何やるんだ?」
「コッチも説明シマスカラ情報の出所教えてホシイねー」
ハイハイとJJ達のことについて説明したあと
「ナルホド、そう言う繋ガリが。分かりマシタ、コチラも教えマショウ」
「ホイ来た!」
「お待たせしました。お持ちいただいたカニのカニ玉、エビのユッケ、それと2つを中心とした天麩羅盛り合わせです。そしてこちら冷酒です」
ホイ来た!
トレジャーハントイベントと呼ばれるイベントは、各陣営に分かれて開放されたフィールドや限定フィールドで価値あるものを手に入れるイベントである。フィールドは入り組んでいるものもあるが、かなり広め。だが、そこにいっぺんにプレイヤーを送ると大変な目に遭うため、サーバー別でもその中で、同じフィールドを複数個展開して、一定量のプレイヤーを送る形式になる。その数は、パーティー単位で25パーティー。最大150人が、入ることになる。この時送られるプレイヤーは、パーティー単位でのステータスや実際の性能を考慮して送られるため、パワーバランスに問題はない範囲内でプレイできる。PVP有りで、手に入れた宝を奪うこともOK。
「マアこれが基本的なイベントの概要ニなりマス」
「陣営ってのが気になるけど」
「陣営はクランというコトではナク、特定のNPCの元デ働く形式デスね。NPCにヨッテ求めるメンバーや人数、トレジャーハントでの最終目標モ変わって行きマスから誰を選ブかは結構慎重にナルベキでしょう。アトクランはクランで纏メテNPCの元で働くコトになりマスので、クランリーダーにノミ選択権が与えラレマス」
てことはうちは、仙女ババアが誰かを選ぶということか。
「他ニ気をつけるベキはモンスターデスね。PVP有りトハいえソレ以外の危険がイッパイですカラ。シカモボスモンスターも条件にヨッテ出て来るノデスよ。フィールドに隠サレテいる手記等にヨッテ出現方法は分かりマスけどね」
「厄介だな。陣営ってどういうのがあんの?」
「有名どころデハ国王軍ヤ商会連合、一部の貴族デスネ。最終目標のクリアデ得ラレル報酬の都合デこれらがトップを争ってイマス」
やっぱりそういうところが人気なんかなぁ。
「君たち盛り上がってるね〜」
そこにアルメリアが割って入ってきた。
「さりげなく俺のカニ玉摘まないでくださいよギルマス」
「ゴメンゴメン。でも君たちの言う予告?だっけ。ソレって私たちの間では神々の啓示なんだけどねぇ。次のイベントがトレジャーハントってのはいいよなぁって思うよ」
おっと予告とかイベントとかに、コッチのNPCは理解あるのか。
「まあこの時期になって来るとみんな活気付くからね。イベントどきはお祭り騒ぎになるから経済ガンガン回せるもん。こう言う陣営に分かれるやつでも、最終的に国が儲かるようになってるもんだしねー」
うんソレは分かってる。
「ソウコウ言ってる間ニ予告映像来マスよ」
「お!私も見よう!」
「オイギルマス!サラッと俺の海老天食ってんじゃねえ!」
「すみませんハバキリ君。コチラ追加の天麩羅です。お代はギルドマスター持ちなので」
「今日は賑わってますねー」
本当にね!(まだ2回目の来店だけど)
「ヨーシそろそろイベント予告始まるよ!」
「もう結構視聴している人いるね〜」
『あの今更ですけど、WIRDSに対処する術って何かあるんですか?』
「ホント今確認するなよベイリー。だがまあ問題はない。この後兄弟子様に彼女がぶつかるようにそれとなく思考操作するし」
「リークが入れば嘘か真か関係なく広がるのが今の社会だからね!」
一応他にも細かいルールがあったりするけど、トレジャーハントはこんな感じ。
次回もちょっと語ることになる。
ディロイさんの話題は推定6章とかそのあたりで触れられることになる予定。




