群れなす龍を穿て7
アナウンスの直後、それぞれの艦から中央艦という丸みのある浮遊物体に光の橋がかかる。
「おめでとうございます。あなたたちは新たな主となる権利を得ました」
頭部が無くなった状態でも、流石機械というべきかヴァルフラウが話しかけてきた。
「うわ怖」
「ラシイと言えばラシイですケド」
まあ人によっては不快感を得そうな状況だけどなー。このゲームのPG12だから、コレくらいは目を瞑れそう。
「てか今報酬にこの艦手に入るってこと?」
「発言的にそうだよな。兄弟子はどう思います?」
「まだクランハウス設置してなかったし貰えるなら全員入れるようにして欲しいな」
「ですがお気をつけを、コアを倒せなければ新たな主へとは至れませんよ」
「あのーそのコアってヤツを倒しちゃったらこの艦落ちるってことはない?」
あ、忘れてた。今センジュが言った通り、コアと名がつくってことは文字通り心臓部。
だとしたら、艦全部が動力を失ってそのまま落ちる可能性もある。
「問題ありません。コアといっても動力を動かすための鍵の役割を持つものですし、仮に動力が停止してもいくつかの予備動力で地上まで安全に落ちるよう設計されておりますので」
ああ、ちゃんと親切設計がされていた。
「問題ないなら早速行くか」
「「「おー!」」」
で橋を渡って来たわけなんだが
「なんもいなくね?」
「ベンタブラックくらい黒かったからか半球状なの分からんかったな」
「ワタシは渡るタメの橋ガ吊り橋ダッタノガダメデスね」
そういえばA2は昔吊り橋から落ちたんだったな。
何もなさすぎてとりあえず歩いていると、突然地面が波打った。
「っ!?来るぞ!」
全員武器を構えると同時に波打っている中心部分、半球の中心から波と一緒に広がってくるものがあった。
「なんだコレ?フィールドが変わってる?」
「ああコレあれですね。アニメとかであるコンピューター内の世界みたいな」
「あの基盤の上に町並べてあるみたいなやつね」
「オーウ、ジャパニーズヒーローが戦っているバトルフィールドデスカ!」
ヤッベー創作あんま読まねえから分かんねえ。ミストとかの付き合いでマギアシリーズ見るくらいだぞ。
それもなんかおかしい気がするけど。
ともかく、機械の基盤と摩天楼を組み合わせたような建造物が形成されてゆくが、コレ範囲どうなってんだ?
「あ、オイアレ!」
目の前のココでは1番高そうなビルの上に、ソイツが現れた。
全体的に黒一色の刺々しいフォルム。
下半身部分には足というものはなく、ジェットエンジンでできたゴツい形状。
龍らしさを思わせる翼にも、ジェットエンジンが取り付けられており、高機動なのが伺える。
遠目に見ても、今までのデカブツよりも遥かに大きい龍の頭から一つ目が開きギョロリとこちらに目をつけた。
「うわカッケェ」
「バンああいうの好きだよねー」
「兄弟子俺の愛称がバンで広まってるんですけど」
「そんなことより来たぞ!」
咆哮ではなく駆動音を鳴らしながら、前脚部分についた爪で引っ掻いてくる。
「センジュ、一旦引っ込め!」
「う、うん」
小さくなったセンジュを肩に乗せ、全員散り散りになるように避ける。
そして一気に飛び上がり、ビームを飛ばしてくる。
避けつつ互いに目配せをして、やるべきことは決まった。
「しっかり掴まってろよセンジュ!」
「なんとなくやること分かったけどマジで出来るの?」
出来る。何せ俺たちはそういう修行もしていたから。まあおふざけ半分にやっていたら仙女ババアにマジでやらされたんですけど。
1番近くのビルに一直線に走り、側面を駆け上がる。
「うわーツルッツルの90度側面は登りづれー!」
なんか苦戦している声が聞こえるがそれは無視。
「1番乗りデスねー!」
まあA2は律儀に登る必要ないもんね。
A2が惹きつけているうちに登りきり、跳び上がる。
「ヨシセンジュぶち込みな」
「キャッチはよろしくねマジで!」
わあかってますとも。
センジュが元の大きさになって構えると同時にこちらも構える。
「A2!」
「バッチリデスよ」
A2が退避すると同時に龍の首がこちらを向くがもう遅い。
「《タイタンインパクト》!」
「一刀流・赤龍ノ顎!」
急降下スピードでハンマーを振り下ろせるスキルに、仙女ババア直伝の空震脚で落下スピードを上げ、さらに回転を付けた剣術。その二つが龍の頭にクリーンヒット。
「流石にまだ動けるよな」
さっき言われた通りにセンジュをキャッチしつつ相手を見る。
「アレ?ハバキリ、もう一本の剣は?」
「あ、そこに気づいたか」
と言い上を指差す。
「………マジで?!」
その意図に気付いたセンジュが顔を歪ませると同時に、
また龍の上空に飛んだ。
「もう一発撃てるように踏覇をさらに高く飛ばしてたのでしたー」
「ちょ、準備できてない」
今度は俺たちを追うために、下に首を振っていた龍が突然いなくなった俺たちを探すようにキョロキョロしだす。
「じゃあセンジュは掴まっておくとしてもう一発だ!」
センジュが掴まったのを確認して空を踏み込む。
「二刀流・白龍ノ威光!」
今度は、上空から一直線に二刀を叩き込んだ。
自分より年下のステラが壁のぼりの練習をしていたのを見て自分も負けていられないと思った桐谷君が練習しているうちに凛花に見られて超ガチの練習プログラムを作られてやらされまくった。
結果より立体的な戦闘ができるようになった。
因みにヴァルフロイア・コアの見た目は黒くて翼をもったソ〇ックヒーローズに出てきたメタルオーバーロードです。




