宴と就職と方針
「ニャハハハハハッ!!!宴じゃー!エルメスお酒ジャンジャン持ってきて!」
「いえまだまだやってないことがあるので酒はお預けです」
ちぇーっと手持ちの酒を煽るアルメリアを静止しながらエルメスがこちらに向き
「まずはおめでとう御座います。まさか私は一本取られ、アルメリアさんは相打ちに持ち込まれるとは」
「まあ俺たち強いからね!」
「ワタシチャンたちにコレぐらいなら、仙女サマに到底及ばないでゴザルよ」
「仙女………まさか大仙人の仙凛様でしょうか。流石にあの方に比べれば私たちもまだまだなのでしょう」
認知されてるだけなら言ってる奴がいたってことで分かるんだが、公式最高クラスのNPCが勝てないとか言ってるのはヤバすぎでしょ。
イヤワンちゃん流星院の入れ知恵の可能性も
「兎も角、こちらの書類にサインしていただければ、我々のギルド所属となり、其々に適した至闘士への転職が行われます」
「ちょっと待って、其々に適した至闘士ってどゆこと?」
「あーソレは私が説明しよう」
なんか説明部分アルメリアに取られるのがテンプレ化してきた気がする。ちょっとエルメスさんがムッとしてるし。
至闘士とは、龍を討った者たちに、更なる道を示す称号である。コレを持つ者は、自身が特化させてきた職業を基に至闘の◯◯という名の職業を得ることになる。アルメリアは全ての武器スキルを手に入れることができる戦練士を基とした至闘の戦練士に、エルメスは打撃武器スキルに特化した格闘家を基とした至闘の格闘家になっている。
そしてエルメスが渡した書類は、資格者が触れるとその職業を元手に至闘士の職業名が判明するようになっているのだが
「ワタシチャンは至闘の忍者となっているでゴザルけど、オダイカンサマのソレは」
「なんで至闘の???ってなっているんだ?」
そう俺のは判明していないのだ。何故そうなっているのか、原因は一度確認したアルメリアが気付いた。
「もしかしてだけど、君今なんて職業になってる?」
「えーっと軽戦士だな」
あちゃーっという表情でアルメリアとエルメスが頭を抱えた。
「そうかそうか、君って無所属なのか」
「なんか悪いの?」
「つまるところ、ハバキリ様は無職ということなので至闘士として表示される職業がないという扱いなのですよ」
あちゃーそういうことか。
周り回って現時点まで軽戦士でいたが、コレって無職扱いなんだ。確かゲームを始めたら、ゲールファでチュートリアルを行うことが普通だが、これの中に下位職業へ就くものがある。そしてその下位職業から派生する形で上位職業へと成り上がる。ソレをこなしていないまま進んだ俺は、未だに無職ということだったのだ。
「じゃあ私権限で決めちゃうけど、君刀振るっているし私と同じ戦練士にしよう」
そう言いながらアルメリアが、俺の前に出された書状を取り書き出した。
再度出された書状には、???の部分が斜線を書かれ、その上に戦練士と書かれていた。
「イヤコレで行けるんかい!」
「いけちゃったでゴザルね」
「なら早くサインしちゃえば?」
「ソシテ今回は宴デスよ!」
「飯!飲み物!最高!」
なんかセンジュが変なテンションになってるけど、まあサインを入れる。
〈至闘士に転職しました〉
〈称号:初就職を獲得しました〉
〈称号:限界突破者を獲得しました〉
〈称号:至闘士を獲得しました〉
「じゃあ本題に入ろうか」
冷酒を飲み、思考を切り替える。
「ソウデスネーいっそココでパーティー組んじゃいまショウ」
まだ食うのかと突っ込みたくなるようなデカいステーキを食べながら片手間にA2がパーティー申請する。
「確かヴァルフロイアとの決戦に向けて準備しようって話でゴザルね」
俺のところの刺身を貰い茶を啜りながらミストが言う。
「まあまずは飛行手段の獲得だね。私は持ってるけど他に飛行手段のある人いる?」
生ビールを豪快にイッキしつつレアが質問する。
手を上げたのは、A2だけだった。
「ワタシチャン滑空しか出来ないでゴザル」
「一応空震脚である程度は飛べるけど、あの距離はなー」
「ヤハリ目下は飛行手段デスネー」
まあソレだよな。人気どころの飛行手段は、どれもファミリア由来だが、俺もミストも飛行能力のあるファミリアを持っていない。
「とりあえず他に何かしておきたいってヤツいるか?」
方針を完全に決めるよりも他の目的と併用出来るだけしておきたいので聞いておくと
「じゃあ私」
センジュが手を上げた。
「そろそろちゃんと戦えるようにハンマーを新調したかった」
「ん?センジュって戦えるのか?」
「オダイカンサマ、生産職も戦闘は可能でゴザルよ」
聞くところによると、生産職はメインで生産関係のスキルを得られるだけで、戦闘用のスキルも覚えられるらしい。しかし特定の武器スキルしか覚えられず、裁縫系職業なら槍、料理系職業なら短剣というようになっている。鍛治系職業の場合はハンマーで、戦うんだと。
「ならばいい感じの鉱石等の素材も必要か」
そう意見を纏めながら何処に行こうか試行錯誤していると
「ならばコチラなどどうでしょう」
カウンター越しにエルメスが1枚の依頼書を渡してきた。
「なになに?大量発生したペガサスの討伐?」
「ええ、コチラ場所がサウザンリークというここより南西にある盆地の秘境なのですが、ペガサス達が大繁殖期に差し掛かったようで、近隣の村人達が大変迷惑を受けているご様子でして」
「え?ペガサスって湖とかにいる神秘の獣でしょ。なんで一々倒す必要が?」
「マアそういう印象もアルのでショウセンジュサン、しかしイメージとは違イ作物を荒らしタリ普通に襲いカカッテくる獣デスよ」
うーん獣はどこまで行っても獣ってことか
「ですがコレを受ければワタシチャン達の目的も達成できるでゴザルよ。言うなれば一石、何鳥でゴザルか?」
「十鳥くらいでいいでしょ」
「まあソウダネ。この依頼受けてサクッと対策しますか」
っとその前に腹ごしらえを
空震脚
これ仙女ババアこと凛花が地面も空気も同じように物質が通ってるなら踏めるよねってことを頼りに、思い切り踏んでみたらできたっていう偶々の産物なんですよ。しかも感覚的な教え方で桐谷の祖父とかが伝承していってるっていう。まあこれ自体は飛距離は兎も角継続がしにくいので滞空そのものは無理。




