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現代の武人は仮想世界を無双する  作者: カンナトウジ
2章:集いし戦士と龍の群
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浮島調査


サンルタからイプトラルまでは電車で戻った俺は、敵情視察のためイプトラル外壁の北部に来ていた。


にしてもあのゼルレア横断鉄道とかいう鉄道だが、システムの分け方が面白い。

各駅、急行、快速、直送の4種類に別れ、それぞれ費用の違う電車を選んで乗るというものだ。


各駅は1番リーズナブルで、名の通り各駅に停車するもの。サンルタ~イプトラル間で、計20駅、3時間という現実からすれば十分早いが、ゲーム内にとっては十分長い時間電車にいる必要がある。


次に安い急行は、各駅より早く、降りる駅がフィールド間の大きめの街や村に限定されているもの。サンルタ~イプトラル間で、計10駅、2時間という長さとなっている。


次の快速は、完全に降りる駅を都市やソレに連なる場所に限定しているもの。サンルタ~イプトラル間で、計5駅、1時間となっている。


最後の直送は他と違い、一瞬で指定した駅まで行けるもの。そのため、他の電車よりも0一つ値上がりしている。


まあならリアルの用事も考えて、値が張っても直送をのった方が良いと考えるものが多数だが、列車内で起きるイベントやそこでしか見られない光景などが多く存在しているため、あえて各駅を選ぶものもいるどころか、そういうのを求めて尽力する『ミグラトリー・トレイン』というクランがいるらしい。


ちなみに流石に直送以外に乗ったとして、長時間いられず途中でログアウトしたい時は鉄道内にあるカプセルベッドなるものを使用してログアウトすることができる。ログアウト中に目的地に着けば、駅に併設している宿屋の一室か、駅構内のどこかに赤サークル(強制ログアウト扱い)として置かれるらしい。


「お、アレか」

「え、アレって浮島じゃないの?」

一緒についてきているセンジュが言うように、イプトラルの外壁からさらに北の上空に大きな浮島が見える。遠目に見てもデカいことが分かるそれは、人工物の地下施設がそのまま浮き上がりましたみたいな感じに上のほうが土の層が出来ていて、下の方に滑らかな壁のようなものが露出している。イヤ龍なのだから体表か。


「みんなーーー!!!ユニーク倒すぞーーーー!!!」

「「「おおおーーー!!!」」」×大多数

ホーン平日昼間だってのに、幾人かのプレイヤーが立ち向かおうとしているようだ。

この時間帯で集まれるってことは、夏休み中の学生か(又はNEET集団)。


「おーいハバキリさーんこっちこっち」

なんか声がした方に振り向けば、そこには仙女ババアの門下生の1人がいた。まあ見た目はバンブスターと同じオートボットで、顔見てもわからないけど声と所作で大体分かる。


「ええっと…クリーム・ストロガノフ?不味そうな名前だな」

「クリームシチューくらいの粘度のビーフストロガノフが好物なんですよ。どのくらいか分かります?」

あーなんとなく分かったわードロドロなくらいが良いってことだな。


「まあ良いけど、アレって飛行手段とか必要だよね」

「そうデスネー、その点でイエバ彼らは及第点なのデスけど」

お、A2もいた。


「てか及第点ねー(チラ見)」


一見すれば相当な防具を装備している者たち

ヴァルフロイアに挑もうとしているプレイヤー達が、人と同等サイズの竜を呼び出した。もうなんかコッテコテのワイバーンな竜。

「ファミリアか」

「ええ、飛行手段として有用なので攻略サイトとかでも1番人気のギャラクシアホルスですね。俺や貴方の弟弟子さんたちも使用していますよ」


「けーどアレで及第点なんだねー、まあ何故かは分かるけど」

「まあユニークモンスターデスからヤバいことになりますとも」

プレイヤー達がある程度飛び立った頃に、浮島の方に動きが出る。


距離のせいで豆粒程度にしか見えないが、多くの、おそらく人間大のモンスターが浮島の内部から飛び出す。

「なるほどな、言うなれば軍艦と戦闘機か」

「正解」

「???どういうこと???」

「まあ結果ダケなら見た通りデスよ」


数分も経たずに指示や気合いの入った声から悲鳴に変わる。

「あーあー乱れてますね」

「比べるのもアレだけど次元龍よりかは遅いな」

「デスが機動性がバッチリデスネー。戦闘機なら無理な旋回を生物トシテの可動域でカバーしてイルようにミエマシタけど」

「え?アレ、速すぎるでしょ」


何がヤバいって浮島が本命なのにその本命に辿り着く前にマッハを超える取り巻きに打ち落とされる。

そして、外壁部分で待機してバフや援護射撃をしているプレイヤーにも、戦闘機が突っ込んだ。


「あれがヴァルフロイア小型戦闘兵ミニオンというヴァルフロイアの取り巻きです」

「アレが?イヤ見た目的にはそうだろうけどなんていうか…」

「人工的、デスよねキリ君」

A2の言う通りだ。


姿形は、プレイヤーにもいる鎧に身を包んだ竜人のようにも見える。龍人と竜人で間違えそうだが、龍人は龍の角と尻尾と鱗が生えた見た目は人間のやつで、竜人は人間のように動ける竜って感じの見た目で肌の色もバリエーション豊かだ。英語だとドラゴニュート、リルドラケンと分かれているのになんで日本語では、読みが同じなのだろうか。

で肝心のミニオンとかいうやつだけど件の鎧に身を包んだというか、よく見たらそういう見た目なメタリックな鱗だった。


「何アレかっけえ」

「ちょっと分かるけど多分竜人じゃないと映えないやつだよ」

そして武器は先端にナイフの付いた銃、というかスナイパーライフルよりも槍くらいの長さの銃とかいうまさにファンタジーな武器に盾を装備している。

で中腰姿勢でプレイヤーを撃ったり、突いたりと臨機応変に戦っている。

「なんとなく分かってたけどアレで小銃タイプなんか」

「マアそうなりマスねー」

「あの武器、気になる!」

「…ってヤバいヤバい!みんな早く隠れろ!」


おっとキョロキョロし出したってことは、最悪俺たちとエンカしるってことか。

サッサと隠れれば武器を持った腕を胸に当てて変形する。

「まさかの()()()()かよ(小声)」

「カッコいいよなあ(小声)」

「ヤッパリあのロマンは分かりますヨネ(小声)」


「それでなんであんな人工的なんだ?思っクソガコンガコン言ってたぞ」

「ああ番来龍ってどいつもこいつも半人工なんですって」


曰く、シリーズ系のユニークモンスターにはちゃんとしたバックボーンがあり、『番来龍(ナンバーズ)』とはこの世界における()()()()()()()()()()()()()()()()()らしい。


例えば、俺たちが倒したホライドラスターは、元々鱗を飛ばして戦う龍に次元に干渉する能力を付与させて、鱗に放ったブレスを反射させられたり、空間干渉によってできた短距離ワープ、別次元由来だと思われる毒素を浴びた者を操るといった能力を手に入れた。


今回のヴァルフロイアも、難攻不落を謳われた繁殖力の高い龍に、完全に落ちないとまで言われた滞空能力と繁殖された個体の武装系統などさまざまな能力を得ている。


「最早原型留めてないのか」

「多分そうなりますね」

「一時期アレがブラフで本体ガ別に存在してイルとか言っていろいろ検証されてイタらしいデスね」

結局は今の所もそういうのは見つかっていないと。


「まあ今後の方針は決まったな」

「ホウ、ワタクシも手伝いまショウか?」

「ああ済まない。俺はソロソロバイトなんで降りますね」

バイバイクリーム・ストロガノフ君、情報提供ありがとう。


「さて、まとめたいから何処か落ち着いたところでも」

「あ、A2いた!………ってハバキリもいる!?」


ん?知らない声のヤツに見つかった。

「あんただr」

「逃げマスよキリ君!」

「うわちょっ!」

「待って落ちる落ちる!」


A2に掴まれたまま外壁を飛び降りた。

「まっずい逃した!みんなコッチコッチ!」

そんな俺たちを追っていそうなプレイヤーの呼びかけとともに、潜伏していたであろうプレイヤーが、飛び出してきた。


「くっ!斥力運動・開始!」

外壁側に踏み込みを入れることで外壁からの斥力を発生させて飛距離を伸ばす。


「フウ、ひとまずの包囲網は抜けれましたデショウか」

「あっぶねえな、センジュが落ちるとこだったろ」

「落ちるの怖い…」

若干センジュが高所恐怖症を患ってきているのを他所に、あたりを見渡したA2は、


「サッサと逃げまショウ。事情は道中で」

「確かに事情を聞くまでは別れるのは得策じゃないな」


さっきから知らないはずの追手連中、獲物を見る目を俺の方にも向けているんですけど


龍人と竜人

公式での読みが同じという二つの種族。

一応ゲーム内でも突っ込まれていることで出生の違いから龍人が『北龍人』、竜人が『南竜人』と区別されている。


龍人:

龍っぽい角と尾を持つ種族。北方のとある山岳地帯で生まれた。


竜人:

見た目は人型の竜。南方の湿地帯で生まれた。見た目自体は蜥蜴族(リザードマン)に近いが基本的な生息地と体系のゴツさが違う。


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