WIRDS 集結
再度ログイン
「あ、オダイカンサマ戻ってきたでゴザル!」
「オーウキリ君大丈夫でしたか?」
俺がゲーム内で目を覚ますと、強制ログアウトによってできる赤いサークルが目に映った。
「ああ、もう大丈夫だ。ネカマだからって挙動不審にはならんさ」
「ソレならよかった」
声のした方を見ると、ベンチに座って俺がログインするのを待ってたっぽい3人の隣に、もう3人のプレイヤーがいた。
「イヤー兄弟子にあんな弱点があったとは」
「A2さんのそばに他にも人がいるからもしかしたらって思って近づいたらあれだもんね」
「てか兄弟子顔まんまで作りました?」
おっとゲーム内アバターだけどこの声は知ってるぞ
「お前ら金髪巨乳とタッパメカクレと黒髪メガネか」
ウチの性癖暴露三銃士ジャン。
「イヤ兄弟子せめて本名で言ってやって!?」
「いきなりなんか暴露されたんだけど!?」
「ちょっと待ってソレ今振らないでください俺にメチャクチャ効く」
1人鎮痛な面持ちだけど仕方ないじゃん。他の門下生とかもそう言ってるし。
コイツら、今はそれぞれ松茸王、バンブスター、梅酒サムライEXと名乗っている彼らは俺のじいちゃんの弟子。
すなわち俺の弟弟子であり、剣道の世界大会のトップ連中だ。
え?俺は出ていないのかって?
俺剣道家じゃなくて剣士なのでスポーツとかの部類には出る気がないんですよ。
「てかもしかしてお前達も仙女ババアのクランに入るのか?」
「当たり前でしょう。仙人様の鍛錬を直々に受けられるんですよ」
ハッ、それもそうだわ。ただの門下生なら兎も角、俺の弟弟子になってる時点で寧ろこういうのを進んでやるようなやつだった。
「ここで強くなってゆくゆくはあの子にリベンジを…」
「木兎羽のトップだろ?アレはお前無理だって」
「実力とかじゃなくお前が上がったのが悪い」
「あの隙は誰だって打つよ」
「なんだよ!勝たねえと俺の中の何かが納得いかねえんだよ!」
もうちょい正直になれよ。とは思うけど一度でも良いから勝ちたいというのはよく分かる。
「サアサア話はそこら辺にして。ミナサン我らがクランの集合場所まで行きましょうか」
そうだった。なんか集合しとけって言われてたんだった。
ということでちょっと大所帯になってるけど、集合場所に着いた。そこは、普通の街角のバーガーショップ………まではまあ最悪プレイヤーの営むお店ってことなのかもしれないけど、明らかに見覚えのある看板があった。
「バーガーショップ『VRJJ』って…」
「ノーマンチャンのお店でゴザル」
「ちょーっとミストハイドさん。ココでの私はJJ Master ですよ。っとこっちでは初めましてになるね。えーっとハバキリ君?」
店から大柄で金髪の男が飛び出してきた。多分彼であっているのだろう。
「まさかアンタもここに来ているとはな店長。店は大丈夫かよ」
「HAHAHA!甥っ子や他の従業員達も優秀でね、この際に新しいバーガーを求めて新天地を巡る為に、ここにいるというわけだよ」
JJ Master こと本名をノーマン・リードと呼ばれるこの男は、アメリカでトップクラスに有名なバーガーショップ『Jewel Junk』の店長を務めている男だ。何かと懇意にすることが多く、仙女ババアに影響されて料理修行を経て、名実共に行列のできるバーガーショップを生み出している男だ。
「まったく、とんでもねえ同窓会になりそうだな!」
「ソウデスネー、本来なら政府側の問題もありほぼ全員が集まれる機会なんてありませんからネー」
「まあとりあえず店に入りませんか。扉の前でのお話は迷惑がかかります」
「ソレなんだが、俺とミストは一度昼飯を取らなきゃならねえ」
「ああじゃあ俺たちもここで一旦落ちますね」
「そうでしたか。ではここの宿が結構空いてるのでそこを利用すると良いでしょう」
とフレンド登録ついでにここらの詳細なマップを見せてくれた。
「フッフーンオダイカンサマのお昼はなんでゴザルかな〜」
「ミスト、今日の昼はもう仙女ババアが作ってしまった」
そう言った瞬間あたりが少し凍りついた。
「えーっとお、ご愁傷様?」
事情を知らない3バカのうち、バンブスターがそう言った。
暫くして
「ほう、皆集まっておるようじゃな」
一度昼休憩を挟んだ俺やミストなどの、日本在住者がやってきた頃には、ざっと50を超えるほどのプレイヤーがVRJJの前に集まっていた。
まあソレは良いんだけど
「あのー兄弟子、昼飯のお味はどうでした?」
「胸焼けしそう…」
量+大味というダブルコンボを喰らえば、こんな沈んだ表情にもなるさ。
さてさて本章に出てくるメンバーは全員集合
次回のネタバレ:メッチャ走ります




