ガバガバな設定を何とかしよう
さあさあガバを回収する時だ。
「えーっとー、なんでぺちゃんこになってないの?その子誰?さっきまでいなかったでしょ」
「いろいろ聞くなよめんどくさい」
戦闘が終わり、灰色の森の中で小休憩をしつついろいろと説明にあった。
まあさっき何があったかというと
俺の持つ超次元刀・踏覇には、2つの効果がある。
1つは、このシリーズ共有の特殊なリーチ効果。
武器ごとにそれぞれ変化し、この刀には通常の刀身に加え、2メートルの見えない刀身が伸びているような形になっている。
そして見えない刀身には通常より高いダメージを与えられるという効果もある。
2つは、「次元交換」というこの刀があるところに転移する武器スキルだ。
リキャストタイムが長めだが、こいつの置いてある場所が分からなくても、持ち主であれば跳べるというものであり、持ち主とくっ付いているものもついでに跳ばしてくれるというスキルだ。
この効果を利用して、轢かれた反動で踏覇を飛ばし、ゴリラの真横を通り過ぎるようにセンジュとバイクごと小転移したのだ。
HPはギリギリというかHPが一気に0まで減った際に、HPを1だけ残してくれる食いしばりが発動した状態になったが、ゴリラと熱いハグを交わすことはなくなり、逆にゴリラが現れた術式に着弾した弾の飛んできた方向に目を向ければ
「顔を出して隙を晒してたから、サクッと」
遠い目してるよーw
ちなみに食いしばりの効果だが、流石に取り返しのつかないダメージの受け方をすれば、発動がしない。
今回俺がレアにやったように首を斬るなどすれば、食いしばりが発動せずに一撃で倒すことも可能だ。
「うぅ、バイク怖い」
まあレアを倒した後、バイクの停め方が分からずに慌てふためいていたセンジュの回収に勤しんでいたんだが。
回復もしながら、センジュについても話しつつ
「ホビットのファミリアとは珍しい。しかも鍛治士ってめちゃくちゃ有用じゃん」
「だよねー」
「てかオダイカンサマめちゃくちゃ麻痺してたでゴザルけど、そんなに耐性なかったでゴザルか?」
「ああうんそれね」
………フッ、笑い事の時間だ。
「実はガングマ火山行くタイミングからステータス弄ってなくてー」
それを聞いた2人は、吹いた。
「待ってマジで言ってる?」
「論外超えた何かになってるでゴザルよ」
ハッハッハッマジで笑うしかねーわ。
「しかも今使った超次元刀・踏覇の装備条件満たしてなかったの気付かずに使ってたんだよねー。イヤやけに降りにくいとは思ってたんだけど」
「オダイカンサマ、それはゼンゼン笑い事じゃないでゴザル」
「君リアルで刀振りすぎて感覚おかしくなってるでしょ」
そう笑いつつもステータスを確認し、いろいろ割り振る。
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PN:ハバキリ lv.59(42)
JOB:軽戦士(刀使い)
HP:118
MP:44
STR:75
AGI:86
DEX:120
CON:79
STM:90
VIT:30(+420)
INT:38
LUK:10
装備
右手: 鬼狩刀・百鬼滅因(必:DEX50/CON45)
左手: 超次元刀・踏覇(必:STR75/DEX120/STM/90)
頭:角折の仮面(VIT+15)
胴:桃源郷の法衣(VIT+150)
腰:桃源郷の腰布(VIT+125)
脚:桃源郷の靴(VIT+130)
アクセサリー
なし
スキル
なし
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ウーンかなりふざけてあった。
「LUK上がってなさすぎだろ」
「そもそも職業や使う装備である程度ステータス上昇補正変わるでゴザル」
「ソレ以前にLUKは上がりにくいからね。そっちにある程度割り振っていれば、上昇するってものだし」
「「へー」」
ミストも知らなかったらしい情報だ。
「しかしこうしてみると、同じユニーク由来の武器でも必要値違いすぎるだろ」
「仕方ないでしょ。片方は龍種由来ってのもあるけど、そっちの鬼由来のものは単純にレベルが低い」
その言葉にセンジュが、答えた。
要するにユニークモンスター由来とはいえ、初期ダンジョンのユニークと龍種のユニークのものでは天地の差があるということだ。
「でもその武器にはまだまだ伸び代がある。今後もっと良い素材があったら見繕うと良い」
ユニーク武器も強化できるんだな。ソレならソレでよかったとも言えよう。
「あと装備で言いたいことがあるんだけど」
どしたんセンジュさん
「なんでみんな顔隠してるの?」
……イヤうんまあ、どっかで突っ込まれるとは思ってたよ。仮面つけてるやつ2人に、帽子を目深に被ってるやつだぞ。
「まあ俺は初のユニーク報酬の1つだから験担ぎにって」
「ワタシチャンはこういう仕様でゴザル。チャント前は見えてるから問題ないでゴザルよ」
「私は街中でレッドネームであることを隠せるからっていうのもあるけど、このゲームを紹介してくれた子をイメージして大人の男性っぽく作ったのは良いけど、あまりに完成度が高すぎてつい」
ああ知り合いを基に作ったのはまだ良いけど後から気恥ずかしくなるやつねー。
うん分からなくはないとも。
………………うん!??男?
「え…えーっと男性アバターってこと?」
「うんそうだけどソレがどうし、ってあ」
「ふぐぅっ!」
「オダイカンサマァ!?」
「なんで?」
『状態異常:心労』
状況はまさにそうだけど、何この状態異常。
状態異常:心労
リアルでの肉体的疲労や、心身的疲労において起きる状態異常。これが一定値を超えるとプレイしている間は強制ログアウトされ、ログアウトしたプレイヤーのいる場所に赤いサークルができる。例としては、長時間プレイし続けるものや、重労働などでめちゃくちゃ疲労しているときに起きる。が、今回のようにめったにないが突発的なストレスによって起きるものもある。
 




