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現代の武人は仮想世界を無双する  作者: カンナトウジ
2章:集いし戦士と龍の群
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油断大敵


大鷲と、ついでに狼を倒してミストに合流しようとした時に、レアが喚び出したものだが


「まあソレくらいないと張り合えないか」


レアの喚び出したものは、人よりも大きい二足歩行の狼、すなわち人狼だ。

かつて存在していたと言われている幻想種とまで言われていたもの。完璧な復活には至らなかったようだが、あの家は擬似的な召喚までは可能としていた。


というかなーんかあの家には、そういう生物の文献がある。

人狼が、ミストめがけて飛び掛かった。

人狼の引っ掻き攻撃だが、人の肉体どころか鋼鉄程度簡単に引き裂けるヤバいやつだ。


「シュワッと退避でゴザル」

しかもアイツ体幹が良い。猫背で前のめりというのもあるが、単純に足腰が強い。ガッチリ構えて仰け反らないくせにすばしっこい、ボクサーみたいなやつだ。


「人狼」

「あ、もう一体喚んだでゴザル」

「面倒くせえな!」

ああクッソ!2体は時間がかかる!


時間なんてかければかけるほど向こうの弾幕厚くなるんですけど。


「こなクソォ!」

無理矢理だが、1体目の人狼の両方の手の平に刀を刺す。

向こうは刺さった刀を確かに掴み、俺の得物を封じたようにするが


「仙気・開」

悪いけど、コッチは仙女ババアの技もいくつか使えるもんで。

チョット高い位置にある人狼の首目掛けて、手刀の突きを放つ。


そして内側から弾けるように、粒子が飛ぶ。

そこに続くように、もう一体の人狼が飛びかかるが


「斬り捨てゴメンでゴザル!」


脚の腱から入り、腕、そして首をミストが落とした。


しかしそこへ

「イルム、《エレキネット・ドレッド》」


いつのまにか現れた赤い本が発動した魔法で、俺とミストを巻き込んだ足下に黄色い蜘蛛の巣状の模様が現れる。

「まさか」

「しまっ」

直後、電撃が体を駆け抜ける。麻痺の状態異常になったということだ。


「ふう、セーフでゴザル」

「お前避けきれてるんだな」


「このゲームの魔法って射程圏内なら一言でいきなり発動とかできるでゴザルよ」

マジかい。本来ならこんなことにはならないだろうけど、流石に知らなすぎた。


「てか何その本?」

とレアに向けて話しかける。そりゃあ気になるだろう、いきなり現れてふよふよ浮いている本について問いかける。


「この子はユニ。クラウドブック「隙あり!」っていう魔法とかを「アレ?当たってないでゴザル?」……記録して行使できる本のモンスターなのよ「でも声はちゃんと聞こえてるでゴザルね!」」

説明の合間にミストが斬りかかるが、すり抜けた。というかミスト、ちょっとはしゃべらせてやれよ。


幻影、そういう魔術をアイツは持っていないはずなので十中八九魔法かスキルなのだろうが

「人狼を倒してるうちに隠れたか」


アイツも強くなってるな。流石にそこらのテロリストとは訳が違うか。

ひとまずはミストに集中しているようなので、なんとかこの罠から抜け出そうとするが

「っく、全然動けねえ」


今は麻痺の状態異常を受けている。

状態異常は、CONというステータスを参照してその大きさと掛かる状態異常の強度によって効果時間が変わるというらしいが、コレは相当なものだ。

ステータスを全然確認してなかったのもあるし、個別で耐性を付与できる防具があるらしいが、今の装備にそんなものはない(今は毒と呪いの耐性はあるけど)。


ならば

「センジュ、そのバイクで()()轢いてくれないか」

「頭おかしくなった?」

失礼な、俺は正常だ。


このトラップ魔法だが、未だにエフェクトの消える気配がない。可能性の1つでしかないが、この()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んじゃないかというものだ。

「まあこっちは耐えれるから問題ない……キット多分」

「イヤダメでしょ」


「まあ運転は俺を見ていたから少しは大丈夫だろ」

「キツイこと言ってくれるね」


人間サイズになったセンジュが、バイクに跨り、ハンドルに手を伸ばす。

そして狙いを定めて走り出した。


ソレを見て肉体を堅めて、ダメージを受ける姿勢に


ピチャピチャ


ふと、俺の真後ろに何かが着いたような音がして首を捻ると


「うお!マジか!!?」

背後にレアのペイント術式が、設置された。


「あまり大人を舐めないことだ」


「ゴリラ」

あ、終わったー。


流石にゴリラは、マズいよ。

知能もパワーも体格も実質人間の上位互換だぞ!


コレバイクとゴリラでサンドイッチされる未来しか見えないんだけど。


ヤバいヤバい、手段があるにはあるけど、タイミングが一瞬すぎる。

頑張るしかねーじゃん!




「オダイカンサマ!!!」

ミストの悲鳴と共に、鈍く重みのある音が聞こえた。


幻影を利用して、更に動物を召喚して翻弄しつつ、クラウドブックのユニを利用した魔法に銃で遠方に設置した魔術の行使という単純な手数の中で他の相手を気にする暇があるのはさすがだと思いつつ、レアもそちらに目を配る。


エレキネット・ドレッドは麻痺罠の最上位魔法として存在しており、CONを参照して展開されている罠を踏んだ時に麻痺の状態異常を引き起こすというものだが、思いの外ハバキリには効果があった。

プレイ時間が短いのもあるが、もっと早い段階で抜け出せるくらいには、十分に強くなっていると踏んでいたが故に、バイクに自分を轢かせるという選択を取ったのは予想外だった。


というかバイクに跨っていたやつは誰だ?あんなやつさっきからいたかと思案しつつ、バイクとゴリラに挟まれて無惨な姿になっている彼の姿でも拝もうとする。

「ハーイ潰れたかな!」




………………バイクの通り過ぎる音がした。


「浮かれてるようで悪いけど生きてるよ」


一刀を払う音がした。


そして、自分の視界が落ちていくごとに暗転していった。


その視界に自信のHPが全損したという事実を見ながら


Q.最後ハバキリなにやった?

A.次回を待て。少なくとも勝敗は記した。


魔法のシステム:

ディアレスト・エピック・フロンティアにおいて魔法は『力の神ダイナ』の定めた力の一つであり、持てる力には制限がある。

ゲームシステムとしては、魔法用のストック欄が存在しており、レベルアップによって増えるようになっている。魔法職のみが使えるわけではなく、近接戦闘職にもストック欄があるが、増えるわけでもなく1つしか覚えられない。

初めから強い魔法を覚えられるわけではなく系統別に、初期段階の魔法しか覚えられない。その魔法を単純なレベルアップを含めた様々な要因で強化することがこのゲームの魔法の扱いとなる。


クラウドブック:

魔法職のプレイヤー間で人気のあるファミリア適性のあるモンスター。

魔法職と同じ量の魔法を覚え、プレイヤーの命令で魔法を行使できるので、実質2倍の魔法を覚えることが可能となっている。ただし、魔法の射程や威力などはクラウドブック中心となっているが、MPだけはプレイヤー消費となるので、いつの間にかごっそり減っているなんてことも。


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