剣士&忍者vs魔女
バトルフィールド自体は一瞬で消えた。
狭かったせいでレアが大蛇を出した瞬間破裂してしまったのだ。
しっかしこの魔術面白いな。
レアことマイア・ナチュレの家系は、生命の探究を行ってきた魔術士らしい。今じゃあ科学的進歩によって基本的な部分は解明されきっているだろうが、彼女の祖先はまた別のことを行おうとしていた。
ソレは、太古に存在していたという幻想種、古代種の復活。今の時代に失われたものを復活させ、ソレらを用いて更なる発展をしようと考えていたらしい。
らしいというのは、今ではもうそんな研究が行われていないだけとのこと。
彼女が先ほどから召喚している大蛇や大鷲、狼などもその一端。擬似的な生命体の召喚並びに操作するというものだ。
ちなみにこの太さだけで大人の身長に張り合える大蛇や、人2人を抱えられる大鷲は、現代に存在する生物なのだが。
「すっごい曲がるなあ!」
大蛇と言えど相手は蛇。柔軟すぎて意外と連撃に優れてる。
噛みつきだけで通り抜け際に90度曲げてまた口を開けるってコッワ。超至近距離なんだけど。
しかも
「おっと向こうもやってきてる」
銃声が二つ、だが狙いが甘い。大蛇の攻撃を後退しながら捌いてる俺の目の前を通り抜ける。
ホントに新戦法試す気あるの?
って突っ込みたいのは山々なんだけど、流石に俺とミストを同時に相手取るという割にはエイムがゴミすぎる。何か策があるに決まっている。
思うところであれば、さっきから同じ方向に銃を向けていることだ。ミストが飛びかかるのを複数体出した大鷲に捌かせていてほとんど動いてなく、俺が特定の方向にいる時以外は撃ってこない。
てことは
「ビンゴだけど、あれマジで?」
目を向けた方向にとあるものが見えた。銃弾の着弾地点だが、コレが新戦法って、確かに思いつかないだろうけど
「飛び越えゴメンでゴザル!」
「バッカミスト、そっち行くな!」
ミストが、大鷲の対処で大蛇を飛び越えて着弾地点に飛び込んだ。その地点は
「ペイント弾で術式刻まれてるんだぞ!」
「発火」
さっきよりも強い銃声。レアのヤツ、ペイント弾の方は左手の自動式拳銃しか使わなかったけど、右手の回転式拳銃は遠距離に敷いた魔術式を起動させるための魔力弾か!
直後大爆発。ミストはモロ巻き込まれたが、俺は大蛇が壁になって事なきを得る。
「いい花火だ」
「人が死ぬ花火なんて全部汚いに決まってんだろ!」
アレ日本じゃあ元々無病息災のお祈りのための道具だからな!
「まあそういう理屈ならまだコレは綺麗な部類だろうけど」
「?」
気付けよ、俺たちがコレくらいで死なないことぐらい。
「ホワアアアァァァ!」
ほうら空から元気な声が聞こえてきた。
大蛇を真っ二つにしながら空を見上げれば
唐傘を担いだミストが落ちてくる。
「シュタッとヒーロー着地完璧でゴザル!」
「膝を痛めるぞ。てか高いところから足から着地すれば関係なく膝に来るんだよなぁ」
マジで膝だけじゃなくて体全体を利用した受け身取って威力を全体的に威力を逃がさないと危ないんだよな。
「とりあえず銃弾コスト低めで面倒な魔術を発動してくるってところだな」
「あとあの服でゴザルね」
その服には、様々な文字や魔術陣のようなものが描かれていた。
ソレは現実でも一応使っているけどあまり用途がなかった服とかにそういう模様っぽく魔術陣とかを刻むヤツだ。
流石にアイツは、一応でも善良な一市民なため使う機会がないが、コレを利用した自爆テロが、一時期(俺たちの生まれるちょい前)流行っていたらしい。
確かに仕込みの手段としては有用だ。まあそのせいか、向こうさん長袖Tシャツにジーンズという寧ろギャップのあるファッションになっているが。
「とりあえず、腹から大蛇が出てくるっていうスタイルなのどうにかなりません?」
「え?コレくらいの大きさじゃないと出せないんだけど」
ああうんそういうね。
「ソレ前見えなくないでゴザルか?」
そうなんだよそこだよ。太さだけで人の身長と同じくらいだから、腹部から出てくる時は平均的なウエストくらいの状態でニョキっと出てから、すぐに太くなるから前が見えなくなってしまう。
「てか今2体目出してるけどすでに前見えてないよね」
「・・・・・・そっちも見えてないじゃん」
「まあ目では見えてないでゴザル」
確かに視認は出来ないんだよねー。ソレでも俺たち気配察知とかのイロハも学んでますから、見えてなくても実質的に視えるんですよ。
「じゃあさっきのお返しでゴザル!」
と一瞬で後ろに回ったミストが傘でぶん殴りに入る。
「ソレが読めるから大丈夫なのよ」
と大鷲が爪で迎撃する。確かに大蛇が前面を占領しているので、後ろからしか攻撃できない。
なんだけど
「阿呆、ソレならサッサとデコイなり置いて逃げればよかったのに」
ミストはさっきのお返しと言った。ならばミストは、さっき何をされたのか。
突如大蛇で阻まれた向こう側が、爆発した。
何したって?
さっきのPK集団捌く時に使ってた手榴弾が1つ余ったから、攻撃阻まれたタイミングに落として爆破させただけだよ。
「フー、やってやったでゴザル!」
まあやってやったんだろうな。
大蛇も出てきた瞬間爆発を受けてのけぞったので、そのタイミングで一刀を加えて倒した。
「あ、あっぶなー。結界が間に合わなかったら流石に落ちてたかも」
向こうも一筋縄では行かないか。
結界を張って身を守ったらしいが、少なからずダメージが通っているようで、服が煤けている。
「というかもしかしなくても大蛇を出している間は動けない感じか?」
術式とかって下手に動かしただけで発動しなくなるし、服にそういうのを刻むデメリットで思いつくのは、そういうところだろう。
実際なんかそうっぽいようで、顔を隠しているのにも関わらず、分かりやすい反応をしている。
「こ…今度から大蛇はやめとく」
言いながらコッチに大鷲を向けてきた。
「チョットミスト、大鷲残りすぎじゃない?」
おっかしいなー、さっきミストに追撃仕掛けようとしてたから爆発に巻き込まれてるはずなんだけど。
「手榴弾1個じゃたかが知れてるでゴザル」
ぐうの音も出ない反論だった。こっちが大鷲の攻撃を避けている間に、向こうは地面に魔術陣を描いている。
「チッ、ミストは向こう行け。コッチは俺がなんとかする」
ソレを聞き、目配せを送ったのを合図に
「一刀流・天照黎明断」
剛の一撃を以て大路を切り開く。その隙を逃さずミストが走り出す。
「くっ、」
だが全ての大鷲を巻き込めたわけでもない。俺が振い終わったタイミングで攻撃を喰らった。
(ん?そういえば)
ココでダメージを喰らって、1つ気になったことがある。イヤ絶対気にしなきゃ行けないもののはずだが
(………俺って今ステータスどうなってるっけ?)
思えばどこから確認してなかった?
プレイし始めて今日で3日目。初心者向けフィールドでアイテム確認ついでにステータス確認して、その後ユニークモンスターから落としたドロップアイテムの武器の装備条件に合わせてステータスを割り振ってそれから………………それから………………………
(それ以降ステータス確認してねえじゃん!!!)
ヤッバ忘れてた!
ユニークモンスター討伐の時に、レベルアップのアナウンスは聞いてたけど………あ、確か1度目はステータス割り振った分しか確認してないし、2度目は早く寝たくて急いでたんだった。
「二刀流・八咫烏落・改」
八咫烏って神の遣いで、道案内したんだって。それにちなんで多方向の攻撃をいなす技だが、コレは改変版。
「おうおう、ぶつかってらっしゃる」
突撃とかをしてくる相手に有効な、通り抜ける方向を上手いこと操作して、お互いにぶつかり合うようにした上級者技。
「そもそもコレ二刀流推奨だから一般の子達にはあまりおすすめできないんだよねー」
「貫風」
武器を傘から小太刀に変更したミストハイドが、レア・レーベンの元へ飛び込む。
だが瞬速の一撃で飛び込んだにも関わらず、避けられた。彼女も、こちらの戦闘能力は理解している。流石に避ける手段の1つや2つあってもおかしくないだろうが
「魔術陣、じゃないでゴザル!?」
それよりもミストが、注目したのは足元。
魔術陣を描いていたように見えていたそこには、種の入った瓶が仕掛けられていた。
陣ならかき消せばなんとかなったろうけども、コレは
「ワ、チョッ!」
そのアイテムを知っているが故、慌て始める。
『剣山花の種入り成長促進ビン』というアイテムがある。剣山花という外敵に対して葉や花弁を鋭くしてダメージを負わせる花の種を、このゲーム内に存在する成長促進剤の入ったビンに入れて一気に刃が飛び出すトラップの役目を持つアイテムだ。毒を持っているのもあるが、単純に受けるダメージ量がなかなかにデカい。
そしてコレは、その中でも衝撃に反応して葉が飛び出すもの。
レアが、そのビンを撃ち抜こうとするが
「ボォォォォォォォゥル!!!」
足元から器を取り出したミストが、ビンにソレを被せる。
その結果、器に銃弾が当たるだけで事なきを得た。
「え、対核ボウルなんて持ってたの?」
「Yesでゴザル!」
レアのビンに対してミストが取り出したのは、トラップ封じのアイテムである『対核ボウル』。
核すら止められると豪語したこのボウルは、手乗りサイズのトラップや爆弾であれば、被せる事で発動できなくすることができるという効果を持っている。
「斬り捨てゴメンでゴザル!」
そこで生まれた隙を逃さず、ミストが投げた小太刀がレアを襲うが
「コレ斬り捨てではないでしょ」
勢いで木に飛び乗りながらも、冷静に小太刀を撃ち落ちした。
「ヤッパリ君たちじゃあ普通の動物相手は意味がないか」
そう言いながら、レアは壁の幹に魔術陣を描き
「人狼」
そう言い放った。
なんでかステータス確認を怠ってたんだよなー
アイテム確認にウィンドウは開くけど、それ以外の用途で開いだことがない。
しかもまだある部分でがば起こしてる




