森の魔女
PvPはカット
サッサと次行こう
予想外だった。
銃に対処できてる時点で気付くべきだったと思うが、全く止まる気配がない。
攻撃魔法も弾丸と同様に斬られるし、ミストハイドの方が盾を持っていたからそもそも防がれる。
接近戦も論外だ。近付けば近付くだけ斬られる。
誰だよ騎乗専用の槍スキルは出が速いし、攻撃を弾くヤツも優秀だから接近戦ならコイツがあれば無敵とか言ってたヤツ。
槍ごと断ち斬られてんじゃん。
「ちょっ、おいラック、この先はマズいって」
いきなり運転しているバギーの助手席に座っているヴェノムアイランドが言ってきた。
「何がヤバいって…」
そこで気付く。自分たちが森の深いところまで来ていることに。
「早く迂回したほうが」
「イヤ、もう手遅れだ」
モンスターの徘徊するフィールドなら当然深いところに行けば行くほど、強いモンスターが現れる。
ココ灰被りの森も同じだが、それと同時に深いところに行けば行くほど、強いPKerと出くわすことになる。
そしてそのラインはもう過ぎた。目の前に1人のプレイヤーが目に入ったからだ。
「お、おいアレ灰被りの…」
「捕まってろ!!!」
アイツはヤバい。相手が何者か知っているが故に止まらない。
あの同業者は、以前知り合いのPK集団を1人で壊滅させたほどのやつだ。
正直逃げたい気持ちがある。だが逃げたところで、追いつかれるか後ろの2人にやられるだけだ。
ならばと突っ込む手段を取るが
「大蛇」
バギーの真下あたりが光出す。
直後、勢いよくバギーが打ち上げられた。
(いつの間に?!)
そう思う暇もなく
「大鷲」
見えた限り相手の手元に魔法陣を出して、そこからこちらに鳥のようなものが、突っ込んできた。
窓ガラスを突き破り、2人とも捕まえられて空に連れ攫われる。
「クッッッソオォ!!!」
「バッ…!」
ヴェノムアイランドが手持ちの銃で撃とうとするが無駄に終わる。
そして急降下。向かう先は
「マジかよクソッ!」
「大蛇ぁーーー!?」
大蛇が大きく口を開けて待ち構えたところに大鷲ごと突っ込み、
「ガァッ!」
噛み砕かれた。
ホイあと一台。
爆弾抱えているバギーが面倒だったが、タイヤを潰しておけばなんとかなった。
あとドリフトしまくりながら火炎放射とかいろんな属性魔法放ってくるやつ。
アレもアレで近寄り難いんだよね。けど飛び込んだら案外行けた。
上からの攻撃に弱すぎでしょw。
「思ったより弱かったな」
「多分それ現実で慣れちゃってるからでゴザル」
ああ、それは分かるかも。
紛争地帯とか横断すると、わりとああいう連中が出てくるんだよな。
加えて相手は、現実では一般的に働いてるか学校通ってるかの奴らだ。今は夏休み期間だから、学生が多いのかも。
そんな奴らが、日常的に戦いに身を投じるわけでもない。
もちろん俺たちもそこまで関わるわけではないが、一応それだけ強いので戦いに身を投じたことがある。
「慣れか〜。慣れって怖いね」
「まったくでゴザル」
雑談しつつ残りの一台を追おうとすると、見たことのある青白い大蛇が上空に口を開け、同じような色の大鷲が2人のプレイヤーを鷲掴みにして大蛇の口に突っ込み。
「うわー食べられたでゴザルよ」
「あーミストさんミストさん、このゲームああいう魔術って存在してる?」
「オダイカンサマ、アレ森の魔女でゴザルよ。加えて言うと、ここでは魔術じゃなくて魔法でゴザルよ」
現実には、魔術が存在する。一般には隠匿されているものだが、それなりの規模を持ち組織化しているところもある。それだけに、仙女ババアやその関係者である俺みたいなやつは交流がある。
その技術は、体内の魔力というエネルギーを利用したありとあらゆるものを体現することである。
あの大蛇や大鷲も、そう言った魔術による形作られた生命体と呼べる存在だ。
少なくともこのゲーム内には、存在してないか、今のところ発見されていないものである故、残された可能性は、アドベンチャーモードによる現実で培われた技術の一端というわけだ。
あれが出来るのは俺たちの知る限り1人しかいない。
「アイツもいるのかー」
意外とやってるもんだなー。
お、姿が見えて
「狼」
突如、周りの地面が光だし、そこから現れた狼が一斉に飛びかかってきた。
「うおっとマジか!」
「オダイカンサマ!」
「えっ、」
バイクごと回転させて武器を振るい、狼の攻撃を躱す。
「アイツ何してんの!?」
「ワタシタチチャンのこと気づいてないっぽいでゴザルな!」
あーダメだこれ完全に警戒モードだよ!
「さっきから言ってる感じ、あの人君たちの知り合いなんじゃないの?」
「最近会ってねーしこの姿で顔合わせてネーもん。てかミーンナ顔隠してるし!」
何あの白い仮面。のっぺりしててすごい表情見づらいんですけど。
そう言ってる間に大蛇と大鷲にも囲まれたよ。
あーもうちょっと説得しねーと。
「あのーマイアさんチョット落ち着きません?」
ピクッと反応したが
「誰だソレは。私はleer・lebenだ」
レアレーベン……ああ『空の命』か。ソレって
「魔女としての名前そのまんまじゃんか。誰だソレはって通用しねーよ」
お、効いているのか完全に手が止まった。
「君たちは誰だ」
「剣士と忍者って言えば誰かくらいは分かるだろ」
さらに暫しの沈黙そして
「ならチョット相手して、私の戦法が君たちにどれだけ通用するのか試したい」
ほーん。そうくるか
「どうするミスト?」
「バイク降りてサッサと戦おうでゴザルよ!」
ま、そうだよな。どうせなら戦おうか。なんか二丁拳銃を携えてるあたり、現実とも違う戦い方をしそうだ。
「あのさあ君たちって戦いを避けたいとは思わないの?」
バイクに置いたセンジュがそのように問いかけてくる。
「センジュ、戦いってのは生物本能に存在すると言われている当たり前のものなんだぜ」
「そうそう。相手を知るってことの上で、ぶつかり合うというのはよくあることでゴザルよ」
なんか白い目で見られた。普通のこと言ってるはずなんだけど。
「けどいいのか?一度に2人も相手取って」
右手に百鬼滅因、左手に次元龍の素材からできた『超次元刀・踏覇』を振るいながら、問いかける。
「構わない。私、一応でもトップクラスの実力者よ」
現実では、使いもしない二丁拳銃を構えて答えた。
「じゃあエンリョーなく行くでゴザル!」
大手裏剣を持ってミストが飛び込み…
「ちょい待て!」
飛び込み途中のミストを止めた。
「え、なんでゴザル?」
「バトルフィールドは一応展開しておこうぜ」
「あ、PKが日常化してて忘れてた」
オイオイ向こうさんかなりやってるねえ。
リスポーンするのは後が面倒くさいからフィールドは出そうね。
この世界は現実も割とファンタジーなのだ。
イヤ前々からそんな感じはあったけど。
今回から魔女…というか魔術師のレア・レーベンが参戦します。




