集いし戦士たち
新☆章☆開☆幕
イプトラル、ソレはディアレスト・エピック・フロンティアの舞台となる大国ギルレア連盟国の中央都市。
その北側上空には、月をも覆ってしまえそうな巨大な浮島、否巨大な船のようなものが浮かんでいた。
そしてソレを背に、イプトラルの外壁に集まるもの達がいた。
桃色の衣装に鬼の面を付けたもの………毛深い鳥を模したような帽子を被る魔法少女………若干透けた体にジーンズのような格好のもの………海賊風の帽子にロングコートを着込んでいるがその中は薄着の正に変態と言いたくなる格好のもの………
その他数十人に及ぶ統一感のない格好のプレイヤー達が集まる。
彼らは性別も職業も種族も、なんなら今プレイしている国自体もバラバラで少し前に出会ったばかりのものなのに、全員リアルでの知り合いであり同じクランに所属するものであった。
皆がワイワイやっていると、全員を繋ぎ上げた1人の女性プレイヤーが外壁の塀の部分へと上がる。
「さて、こっちじゃ初めての大掛かりな作戦じゃからのう、少し音頭を取らせてもらおう」
そのプレイヤーが喋り始めると、さっきまでの喧騒が嘘みたいに鎮まる。
「では紳士淑女諸君、仕事があるかもしれんというのに集まってくれたことに感謝しようぞ」
「大丈夫ですよ仙女様、星を見た限り数時間は皆暇そうですので」
ネカマを隠す気もない女プレイヤーが、話に割り込む。そうかそうかと仙女と呼ばれたものは頷き
「なら構わん。正直時差のことを忘れ、日本時間20時に集合をかけたことは儂の久々の過ちだったのじゃが」
バツが悪そうに苦笑しながらも続ける。
「では改めて、今宵我らが討ち取るは『番来龍』No.10軍族龍ヴァルフロイア」
親指で背後に存在する巨大な船のようなモンスターを指差す。
「何故を問うものはいるか!」
「イヤ〜正直そんなことは」
「金や経験値がうまいとかでは?」
ちょっとした問答が始まる。皆コレが通過儀礼とでもいうかのように思い思いの言葉を交わす。
「まあ理由は3つあってのう」
さて、答え合わせの時間だと全員身構える。
「1つは単純に儂がレイド戦をしたかったからじゃ!」
一部、大体5人くらいがよっしゃあというポーズをした。
「2つ目はコヤツはシリーズ系ユニークの中でも分かりやすい位置におる。」
それもそのはず。このゲームの基本チャートとしてプレイヤー達は基本の拠点としてイプトラルを目指す。そうすれば、イヤでも目にすることになるのがヤツだ。
「そこでヤツを倒そうと躍起になり戦ったプレイヤー共は全て敗退しおったがのう」
ソレもそのはず、見えてる強敵に興味が惹かれるもの達は結構いる。だが、その尽くが戦いに赴いたとしても、未だ浮き続けていることこそが証明であるというように、倒せたものは1人としていない。
「まあ倒せんかったプレイヤー共にいい顔したいというものじゃ」
「たまにあの人性格邪悪になるよね」
「ありとあらゆる人のなんたるかを見てきた人よ。面構えが違うわ」
ちょっと陰口を言ったプレイヤーに鋭い眼光が飛んだ。
「まあともかく最後の3つ目じゃが」
ゴクリと唾を飲む。ゲーム内だからおかしいかもしれないが、このゲームではそこまで再現できるのだ。
「どうせじゃからのう」
ちょっと俯き、そして笑みをこぼしながら話し出す。
「皆で楽しんだ方が面白いじゃろう」
その言葉を聞いて、感嘆か驚嘆か
皆叫んだ。
あるものは武器を掲げ、あるものは力を入れ直す。
そりゃあこんなところにいるのだ。違いが確かにあれど、皆同じ穴の狢だ。
今宵戦うために集った。ならば戦いを楽しまずしてどうする。
「では行こうかワイルズ諸君。」
更にデカい雄叫びを上げ、皆位置に着く。
「では前述通りいくつかのパーティーに分けて向かおう。接敵できんでも己の出来ることすべきことを忘れてはならん」
そう言い、何人かを引き連れ空飛ぶ列車へと乗り込んだ。
ソレを聞いた鬼面のプレイヤーと彼のパーティーであるプレイヤー達は
「はあ、やっぱり仙女様は凄いっすね!」
「そりゃあ長年生きてるし、やっぱ経験が違うんだろ」
「あ、そういえば兄弟子は空の移動手段持ってるんですか?」
「…ああまあ持ってはいるけどさ」
はあ、とちょっとため息を吐く。
「正直届くかどうかの問題が出てきたんだよね」
「なんなら俺たちが運びましょうか?」
「イヤァ、手段自体は他にもあるからまあ大丈夫」
ならいいですかと思い、4人ともバフをかけて貰ってから動き出す。
「さーてと上陸1番乗りはいただくぞ!」
「そうですね!」
「1番は取りたいですね!」
「というかあいつの胴体とかの情報が出ていないのですけど」
「知るかそんなもん。現地で調べればいいだろ」
そして思いっきり空に跳びだす。
ここでキャラクターが一気に増えるかもしれん
イヤする




