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現代の武人は仮想世界を無双する  作者: カンナトウジ
1章:鉄打つ乙女と次元の龍
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道なき電車旅で


今俺は、機関車の中にいる。しかもこの機関車、道なき道どころか空中を走っている。


ユニークモンスターを討伐した後、俺は仙女ババアに他にも刀を置いてないのか?と尋ねた。俺リアルで二刀流使いだから、正直もう一本欲しい。


「まあ言うと思ってはおったがのう」

先ほどの笑いから立ち直った仙女ババアが言う

「実は他のユニーク候補とか用意してないんじゃよなー」

「えー」

「イヤそんなにユニークで固めるものほうが少ないのじゃ」

「あんたシリーズユニーク独占してるじゃん」

「まあ細かい話はよい。今からガングマ火山へ行くぞ」


ガングマ火山、火山というだけあって良質で様々な用途に対応した鉱石が、沢山手に入るということだけでも武器を作りたい者たちにとって優良な場となっているがそれ以外にも利点がある。

ここには、ドワーフの里がある。


ドワーフとは、北欧に伝わる神話の妖精とか言っても通じるかはわからないが、要は小柄で鍛治が得意な種族だということだ。それゆえに、様々なファンタジーゲームに鍛治師の枠で登場することが多い。

このゲームでは、銃器もあるからそれを作っている連中もいるんじゃないだろうか。

ちなみにこのゲーム内では、ヒト種族として存在しておりプレイヤーが選択できる種族の一つである。メイン褐色の肌に、ゴワゴワと硬く濃い毛、最大でも150cmくらいの身長でずんぐりむっくりと形容するような見た目が、一般的な特徴となる。


「そこには鍛造できる奴もいるってことか!」

「わあー良い表情じゃのう。というかあそこにはプレイヤーやNPCの出店しておる鍛冶屋が多くあるんじゃよ」


どんな表情してるとかは知らないが、一つ懸念点がある。

「で、そのガングマ火山ってどこにあるの?」

「うむ、ここより直線で大体東北東に30キロじゃな」


遠ォッ!実際はフィールドを幾つか越える必要があるからもっとかかると言っているものだ。山とかあれば、さらに時間がかかる。


「うーんこのまま行ったら明日になるな、イヤ確か列車とか乗れるはずじゃあ」

「イヤ?ガングマのドワーフの里には列車は通っておらんぞ」

マジデスカ、ならなんか乗り物レンタルとかできたはず

「まあそこは儂に任せよ」

「ナニナニー?バイクとか持ってんの?」

「それもあるがもっと良いものじゃ………出よ猫凛(マオリン)!」


「はいニャ!ご主人様お呼びでしょうか!」

仙女ババアが、猫…否、二足歩行だからケットシーか?………を呼び出した。

「ひょっとしなくともコイツって」

「ああ、コヤツが儂のファミリアじゃ」

「初めまして旅の人よ!吾輩はケットシーの猫凛と申します」

ちょっと大袈裟にお辞儀をする。


ファミリアとは、プレイヤー1人1人が手に入れられるお供枠のモンスターだ。基本的には、そこらのモンスターなどにファミリアになれるものがいたりするが、たまにNPCにもクエストを経てファミリアになれるものがいる。しかも、ファミリアにもユニークがいる。

「おいおいまさか移動手段って」

「察しがついたようじゃのう。猫凛よ()()()()()()()()を出すのじゃ!」

「了解しました~。さてお二方吾輩より前へ出てはなりませぬぞ!」

そう言い俺たちを下がらせた後、首に掛けていホイッスルを鳴らす。


鳴らした瞬間、俺たちから見て左側に魔法陣が浮かび上がる。そしてその中から機関車が出てきて俺たちの目の前に停まった。

「ハハッ、マジかよ」

「マジじゃよマジ。ホレ!はよう乗らんか」

「ああご主人様、乗り込むのは車掌であるこの吾輩からでしょう」


中に入ったが、まあ機関車の先頭部分だけなので、運転用の機器と簡単な座席しかない。それだけでもすごいものだが

「この機関車はのう、つぎ込んだMPの分だけほぼ好きなところへ行けるという優れものなのじゃ!」

「マジかよ。てかコレって絶対ユニーク案件だろ」

「ああ、そうじゃ。コヤツもユニーククエストで手に入れたもんじゃよ」

やっぱりか、そりゃあ大型の移動手段というだけでめちゃくちゃ優良案件だ。このゲームはどこへでえも行けるが、とにかく広い。歩きで別の都市に移動しようとすれば、最悪それだけで1日を使ってしまうこともある。そのためこんなのが汎用とかだったら割とヌルゲーになりかねない。

「さて、行くぞ猫凛。場所はガングマ火山じゃ!」

「かしこまりました!ではお二方、席についてくださいね。ではシュッパーーーーーーーーーツ!」

ポッポーーッと機関車らしい汽笛を鳴らして動き出した。


道なき道を進むどころか空中を走っているとは、ホントユニークの恩恵がでかい。

ある程度進んでいるところで仙女ババアにつつかれる。

「ん?どうしたんです?」

「実は少し思い出したことがあってのう。性別を違えて作ってしまった装いがあるんじゃが、童が着てみてくれぬか?」

「またユニーク案件じゃないだろうな」

「まあそうじゃけど、今回のやつは他のプレイヤーも取れてるものはいるぞ」

ナーンかこの人ユニーク案件めっちゃ持っているんだけど。いったい幾つのユニーク案件に手を出しているんだこの人?


「えーと確かこっちに」

「ちょっと待て、そっちには何もないだろ?」

仙女ババアが、機関車の後続のほうに行こうとする。だがこの機関車は、先頭車両しか出ていなかったはずだ。

「ああこの機関車はな、好きなタイミングで後続用の車両を出せるのじゃよ」

「マジでか」

「ああ、そしてその車両は()()()()としても使えるのじゃよ」


マジかよすごいなユニークファミリア。もはや猫凛の方が、おまけ要員になってきてるぞ。いろいろ思案しているうちに、仙女ババアが後続車両から戻ってきた。

「あったあった。ホレ、コレを着てみよ」


と渡してきたのは、桃色を中心とした軽装の防具一式だ。

「コレは「桃源郷の法衣」シリーズ。「桃源郷の贈り物」という比較的簡単なユニーククエストで作れる材料が手に入るんじゃ」

「なんでそんなもん持ってるんだよ」

「オーキス、あ童なら蘭花(ランファ)と言ったらわかるじゃろう。アヤツが作りすぎた分の一式を貰ったのじゃが、男物と女物を間違えてしまってのう」

「蘭さんもプレイしてるんだ」


李・蘭花、仙女ババアの曾孫であり裁縫の道で有名になっている人だ。

「蘭のような輩はアイデア作りのためにプレイしておることが多くてのう、結構プレイしておるらしいのじゃ」

「確かにここなら新しいアイデア浮かびそうだしな」

そう言いつつ、ウィンドウを操作してもらった防具を装備する(頭装備以外)。

「なんというかその仮面がなければ桃太郎って感じの見た目じゃな」

「そんなに桃太郎っぽいか?」

確かにこのシリーズ、メインカラーが桃色だけど、ちょっと鏡を見てみたくなる。


猫凛:

読みはマオリン。ケットシーのファミリアで、ユニーク個体。というかNPCのファミリアは、基本的にユニーク個体。今後出てくるかもしれない工業国家で仙凛が仲間にした。MP10消費するごとに1kmを走ることが可能な機関車「シャム・グレイ号」を乗りこなすライダー系上位職業の「車掌」をメインとしている。


桃源郷の法衣シリーズ:

桃源郷の贈り物というユニーククエストで、手に入る設計書と製作アイテムで作れる防具一式。クエストの内容自体は、危険なモンスターの徘徊する専用フィールドで行う採集クエストとなっている。この防具は、軽装として最高クラスの防御力を持つだけでなく、毒と呪いに対して耐性を持つ。見た目は、メインカラーがピンクということもあり、着る人によっては桃太郎みたいだというプレイヤーもいる。

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