剣士は仮想世界を知る
初めまして
今回より連載予定で書かせていただきます
「じいちゃん、山の修行終えてきたよ」
とある廃村と言える場所にある1つだけ立派な建物に1週間ぶりに入った俺は、声をかける。
昨日までじいちゃんの言いつけで山に籠り、いくつかの修行を終えてきた身だ。
報告とかよりも先に風呂に入りたい。
「安心せい、見ればわかるくらいに儂の目はまだ衰えておらんよ」
「流石だね~、てかただ修行させるだけならともかくなーんで台風直後を選ぶんだよ」
「そりゃあ地形がぬかるんでいたり、川の流れが激しかったり普段より危険じゃったろ」
「滝行中に流木落ちてきた時はマジでビビった」
「それ儂も師匠に言ったことあるのう。もっともあっちは意図して投げ込んでおったが」
「仙女ババアマジヤベーだろ」
と修行の思い出はここら辺にしてそろそろ本題に入ろう。
「それよりじいちゃん、修行はちゃんと終えれたんだから報酬としての大家の件忘れてないだろ?」
今回俺が1週間も山に篭って修行したのは、これが原因である。じいちゃんが、そろそろ所有しているマンションの引き継ぎをしようと言い出したので立候補したら、課題として山に篭りいくつかの試練を受けろと言い出したのである。罠仕掛けられまくった山道1日50周走るとか、水中で素振りとか、岩砕きとか…まあ雨上がりのぬかるみと濁流でいつもよりキツかったくらいの感想しか出てこないが。
「安心せい、ちゃんとやり遂げるくらい予見しておったのだからもう手続きはほとんど済んでおるて。あとはお前がやるべき手続きくらいじゃ」
やっぱりやり遂げるくらいは想定していたか。
「もう儂も長くないし、下手な荷はおろしておかんとな」
「それ言ったら仙女ババアはどうなるんだよ。あのババアあんたどころかもうとっくに人間の寿命ギリギリなのに元気に生きてるだろ!」
「生きてるどころか儂と出会った時から見た目変わっておらんからなあ。あれは本物の仙人ということじゃな。とりあえず、今日は手続きしてもう休め。件のマンションへ行く交通費はこっちで手配したから」
「いやいやそれくらい俺が…ってもう払ってんのか」
「いいじゃろいいじゃろ、もうこれからは年金貰いつつ弟子たちをシゴく日々を暮らすだけじゃ」
ワリと災害級の老害生み出されてないだろうか
「あ、そうじゃった。実はお前が修行しておる間にお前のスマホに師匠が何やらメールを送っておったぞ」
「え?なんで仙女ババアが?」
「何やらお前にちょっとした勧誘をしたいということらしくてのう。早く内容を確認しておけ」
それほとんど強制命令なんだよな~
まあ先にアパート引き継ぎの手続きと風呂を済ませてからメールを確認するけど。
〈~拝啓 馬鹿弟子の孫の桐谷よ~ 馬鹿弟子のマンション引き継いだら大家の部屋に置いてある「ディアレスト・エピック・フロンティア」をプレイせよ〉
なんかのゲームの勧誘だろうか。仙女ババアが誘うなら、最近出ているVRMMOというジャンルのゲームとかだとは思う。たまにいろんなゲームに付き合わされることもあるが、最近出ているVRMMOというジャンルは、リアルの体を動かせるような感じでプレイできるらしい。だが、処理能力に問題があり、あまり良作と言えるものが、未だ出ていないらしい。俺はあまり確認していないから分からないが、ちゃんと良ゲーと言われるものはある。仙女ババアはいろいろ探し回っていたし、納得の行くものを見つけたのだろう。
まあ先にこのゲームについて確認してからプレイしよう。
この作品のコンセプトは現実の時点で超強いやつらがVRMMOに来て気兼ねなく大暴れするというものです