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紫竜の花嫁  作者: 秋桜
第1章 枇杷亭編
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夫たちの悩み

「龍希。朝からすまんな。」

龍希は新年会の翌朝、族長の執務室に呼ばれていた。龍栄は先に来ていた。

「黄虎が来る日が決まった。2月の10日だ。午後から会合をして、夜は宴会だ。お前は妻子と一緒に朝から本家に来てくれ。会合中のお前の妻子の警護は竜湖と竜紗、龍海と龍栄がする。」

「え!龍栄殿は会議に参加されないのですか?」

「ああ、黄虎が拒否してきた。虎どもはうちの後継問題に口をだしたいらしい。」族長が不愉快そうに唸る。

龍希も眉間にしわを寄せた。

「虎の要望など無視すればよいでしょう。」

「お前ならそう言うと思った。だが、龍栄が会合には参加しないと言うんだ。」

龍希は思わず龍栄を睨んだ。

「虎の要望に応じるわけではありません。私が会合に参加するよりも枇杷亭の奥様と若様の警備をする方が一族のためになると考えたからです。虎どもは信用なりませんから。」

龍栄は真剣だ。龍希は悩む。確かに一族内でも力の強い龍栄が居れば龍希の妻子は安全だ・・・だが

「龍栄殿が不参加となると虎もそれ以外の主要取引先も馬鹿な勘違いをしましょう。」

後継問題に決着がついて龍栄が一歩下がったと勘違いされては困る。

「勘違いさせておけばいい。わが一族に不利益は生じません。」龍栄はニヤリと笑う。

「俺は反対です。龍栄殿も参加させるべきです。」龍希は族長を睨む。

「今、お前が言った以外に理由はあるか?」族長は両腕を組んだまま龍希を見る。

「これ以上の理由はありませんよ。俺は後継者ではないので。」

「ああ、お前を族長後継と決めたわけではない。だが、息子がいるか居ないかは大きいのだ。シリュウ香は雄竜にしか作れない。龍栄をお前と同列の候補者と扱うわけにはいかないんだ。」族長は断言する。


龍希は悔しさのあまり唇を噛む。

「同列に扱ったことなんてないくせに」

「・・・まあ、そうですね。」龍栄は苦笑いしながら龍希に同意した。

族長は気まずそうに顔を背ける。

「お話は終わったようですので、私は失礼します。妻が待っていますので。」龍栄が部屋から出ていく。

龍希は無言で龍栄に続いて部屋を出た。



「・・・。龍希殿の客間はそちらでしたか?」

「機嫌を直してから妻の元に戻ります。こんな顔を見せると嫌われてしまうので。」

「・・・羨ましいです。私の妻はそんなこと気にしないので。」

「羨ましいですか?」龍希は思わずきき返す。

『嫌みか?』

「妻は私に無関心ですから。」龍栄はさみしそうに笑う。

異母兄のこんな表情は初めて見た。龍希は居心地が悪い。

「奥様が妻を気にかけるのは龍栄殿のためでは?」

「いえ、夫の一族からの命令だから・・・と。嫌われるよりも無関心の方が辛いですよ。私は・・・」

龍希は舌打ちしそうになった。

『馬鹿猫が・・・そこはうまく言えよ』

「父のように妻から憎まれ嫌われるよりもですか?」俯いている龍栄に龍希は尋ねる。

「まあ、あのレベルになると・・・さすがに。」龍栄様は苦笑いした。

「なぜ父は熊の奥様をリュウカの部屋に戻さないのですかね?俺は気にしないと言ってるのに。」

「・・・母が拒否しているのです。自分はもう妻ではない、子のために妻のふりをしているだけだと言って。」

「う・・・」龍希は真っ青になる。

「すみません。こんな話を。失礼します。」龍栄はそう言うと廊下を歩いて行った。


『贅沢な悩みだな。母に愛され、無関心でも妻から夫と呼んでもらえて・・・やっぱり嫌いだ。』

龍希は異母兄の後姿を睨んだ。


別作品として

紫竜の花嫁の登場人物紹介

を公開中です。

定期的に更新していますので、こちらもよろしくお願いします。

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